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【笑顔のレシピ】Vol.96 目標に向けて最短ルートで突き進むだけが必ずしも正解ではないと思います

メジャーチャンプ・渋野日向子を育てた青木翔が“コーチング”のこだわりを語る連載「笑顔のレシピ」。ゴルフだけでなく、仕事や育児などでも役立つヒントが満載!

TEXT/SHOTANOW

秋になると、子どもたちが具体的に進路を決める時期がやってきます。決めるのはあくまでも選手本人。進路の決定も普段の練習と同じく、本人が主体的に考えられるのがベストです。

今は、僕らの時代とは環境が異なりオンラインの授業もあれば、ジュニアでもプロのようなハイレベルなレッスンを受けることもできます。このように学び方の選択肢が広がり自由度が高まれば、物理的な通学はせず、プロになるためゴルフの練習に注力するという選手が増えてくるかもしれません。

決めるのは選手自身ですが、周りにいる親やコーチは、時に本人が望まない選択肢を示したり、回り道をさせることも必要だと思っています。


たとえばプロを目指していれば、学校へ通学するという選択肢は時間も体力も負担になる。けれどもこの負担をあえてすることで、人として大きな成長につながると僕は思っています。

学校には自分とは違った価値観を持った人がたくさんいます。一緒に過ごせば、当然自分の思い通りにいかないことがいくつも出てくるでしょう。そのような環境で、関係の築き方や周囲とのバランスの取り方を学んでいくことができます。

また、学校では共同生活をスムーズに送るため、義務が生じます。言い換えると、自分が好きなこと以外の経験に無理やり出合い、それをやり遂げなくてはいけない。この義務を果たすというのは、努力の大切さを知る作業でもあります

このように学校では、ゴルフ以外のことで、やりたくないけど続けたら身に付いたとか、できないことができるようになったという成功体験を得られる。その経験は、この先プロという夢を断たれたときにも、別の道で努力することにつながります。

人生は長く、思い描いていた計画には何度も修正が入ります。そのときに、自分の手で次のステップを決められるにはどうしたらいいか。そんなことを考えながら進路を決めるサポートもしたいと思います。

目標への最短ルートだけでなく、いろんな選択肢があることを示してあげましょう(PHOTO/Hiroaki Arihara)

青木翔

あおきしょう。1983年生まれ。福岡県出身。渋野日向子をメジャーチャンプに導き、三ヶ島かななどツアープロや、全国トップレベルのジュニアゴルファーの育成に努めている

週刊ゴルフダイジェスト2021年10月5日号より

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