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【笑顔のレシピ】Vol.93「ゴルフ以外の道にもどんどん挑戦してほしい」

TEXT/SHOTANOW

メジャーチャンプ・渋野日向子を育てた青木翔が“コーチング”のこだわりを語る連載「笑顔のレシピ」。ゴルフだけでなく、仕事や育児などでも役立つヒントが満載!

前回のお話はこちら

日本には「道を究める」という考え方があります。柔道や剣道というスポーツから、書道や茶道といった芸術活動にもこの「道」は使われています。技術的に上手くなるというだけでなく、そこにある真理を求めるという考え方は、スポーツに携わる者としてとても共感できます。

一方でこの考え方が曲解され、プロスポーツ選手に対して「目指している道以外のことにチャレンジするのはけしからん」という意見を耳にすることがあります。

たとえば、プレーヤーの延長線上としてイメージしやすい指導者などになることは理解されますが、まったく関係のない分野への挑戦はモッタイナイと言われたり、ましてや現役時代から別の分野の造詣を深めようものなら、競技に集中できていないとバッシングを受けるなんていうこともあります。

僕はそうした考え方は大反対。競技以外のことにチャレンジすれば、選手としても考え方やプレーの引き出しは広がります。

ましてや、プロは一生涯ツアーに出続けて賞金を稼ぎ続けるというのはほぼ不可能。プロスポーツ選手にとって“生涯現役”というのは、聞こえは美しいですが生きるための現実的な選択肢ではないのです。

女子ツアーのように、20代中盤でも“若手”ではないという競技で一線を退いたとき、次のキャリアについて何も考えや用意がないとその選手はどうなってしまうでしょうか。

そんな事態を避けるため、僕はプロを目指しているジュニアの段階から、勉強はしっかりやって、ゴルフ以外にも夢中になれるものに挑戦してほしいと伝えています。

ただ、プロで飯を食っていくことだけを考えている若い選手たちには、これがなかなか伝わりづらい。ゴルフを教えるコーチが他の道を勧めるなんて、何考えてるんだと思われるかもしれませんが、このスタンスは変えずに彼らが競技から離れた後も幸せになれる道を示していきたいと思います。

違う視点がゴルフに役立つこともある(PHOTO/Hiroaki Arihara)

青木翔

あおきしょう。1983年生まれ。福岡県出身。渋野日向子をメジャーチャンプに導き、三ヶ島かななどツアープロや、全国トップレベルのジュニアゴルファーの育成に努めている

週刊ゴルフダイジェスト2021年9月14日号より

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