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【笑顔のレシピ】Vol.92「感動の“種類”が増えてきた」五輪を見て感じたこと

TEXT/SHOTANOW

メジャーチャンプ・渋野日向子を育てた青木翔が“コーチング”のこだわりを語る連載「笑顔のレシピ」。ゴルフだけでなく、仕事や育児などでも役立つヒントが満載!

前回のお話はこちら

スポーツは感動を生む。

五輪を見ていて、改めてそう感じた人も多いのではないでしょうか。僕もそのうちの1人ですが、加えて感動には“たくさんの種類”があって、その種類が増えているんじゃないかなとも感じました。

競技である以上、勝利したことにスポットが当たりがちです。

一方で、惜敗した選手にも心を揺さぶられるシーンがたくさんありました。

そして、国やその競技という大きなものを背負って戦う選手もいれば、小さいころからの夢を叶えるためにがんばっていたり、世界の舞台でプレーできること自体を楽しんでいる選手もいる。みんな五輪での活躍という同じ山を登ってはいますが、そのルートはさまざまです。

僕はプロゴルファーになりたいというジュニアたちに、日ごろから「どんなルートでその山を登るのかイメージをしてほしい」と伝えています。つまりそれは、どんなプロになりたいのかということ。

たとえば、10代のうちに優勝する、メジャーを制覇して世界で戦うプロになる、などなど。賞金をたくさんもらって両親に大きな家をプレゼントする、なんていうことでもいいと思います。

正解はないのですが、見ている人、応援している人にどんな感動や勇気を与えられるのかを、明確にイメージしてほしいのです。若くしてプロで活躍すれば、同世代の選手は「あの子ができるなら」と奮起するし、メジャーに勝てば、日本だけでなく世界中のゴルファーに感動を与えられるでしょう。そういった具体的なビジョンを思い描くことで、今、何をがんばるべきなのかが見えてきます

今後は、子どもを産んでママになっても活躍するプロになりたいとか、他の競技と二刀流をこなすアスリートになりたいなんていう選手が出てくるかもしれません。五輪を見ていて感じたのと同じように、ゴルフでも感動の種類が増え、いろんな目標を掲げる選手が出てくることを楽しみにしています。

ただ「プロになりたい」だけでなく「どんなプロになりたいか」が重要だと思います(PHOTO/Hiroaki Arihara)

青木翔

あおきしょう。1983年生まれ。福岡県出身。渋野日向子をメジャーチャンプに導き、三ヶ島かななどツアープロや、全国トップレベルのジュニアゴルファーの育成に努めている

週刊ゴルフダイジェスト2021年9月7日号より

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