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【さとうの目】Vol.214「アイアン巧者が上位に来る」佐藤信人のメダル予想は?

鋭い視点とマニアックな解説でお馴染みの目利きプロ・佐藤信人が、いま注目しているプレーヤーについて熱く語る連載「うの目、たかの目、さとうの目」。今週は東京オリンピックに出場する注目選手について。

全英オープンが終わり、いよいよ東京五輪の開幕です。顔ぶれを見てまず感じたのが、地球規模でのジュニア育成の成果です。というのも2014年、軽井沢72ゴルフで開催された第29回アイゼンハワートロフィー、いわゆる世界アマチュアゴルフ選手権に出場した選手が、ボクが確認できただけで13人、母国の名誉を背負ってオリンピックに出場します(※編集部注:欠場により2人減)。ゴルフは今、アジア、南米、それにこれまであまりゴルフが盛んでなかったヨーロッパの国々など、世界的な広がりを見せています。それを最前線で牽引しているのが、今回、出場する彼らなのでしょう。

さて、オリンピックという特別な大会のため難しいのですが、少し予想をしてみましょう。会場となる霞ヶ関CCは距離はまあまあありますが、フェアウェイは広めでOBも少なく、何度も練習ラウンドが必要なほどトリッキーではありません。ドローヒッター、フェードヒッターどちらが有利といったコースレイアウトでもない。夏場のベントグリーンが硬くなることもないと思われ、ある程度ボールも止まる。となると、サプライズ優勝は出にくいのではないかと思います。たとえばメジャーでサプライズ優勝が出やすいのは、フェアウェイやグリーンが極端に硬くなったり天気が荒れて難しくなった場合や、やさしいコースセッティングで技術の差が出にくい場合などでしょうか。

ですから試合はやはり世界ランク上位の選手を中心に展開されるでしょう。具体的にはジャスティン・トーマス、コリン・モリカワ、ザンダー・シャウフェレらアメリカ勢、ローリー・マキロイ(アイルランド)……といった名前が挙げれられます。

もう1つ、ピンを狙うアイアンの精度の勝負になることは間違いありません。コース改造によりグリーンは、いくつかの「面」で構成されるようになりました。違う面に乗せてしまうと3パットの可能性が出てきます。アイアンの上手い人が生きるコースと考えると、ショット系のスタッツがいい選手、全英オープンで優勝したC・モリカワやコースも知っている松山(英樹)くんの名前が出てくるでしょう。

もちろん、国をまたいでの移動の疲れ、想像を超える暑さ、すでに有観客に慣れている選手たちには無観客で多少テンションも下がるかもしれません。

それでも、何が起きるかわからないのもオリンピック。国を背負った選手たちです。ゴルフが発展途上にある国や地域の選手は予想以上の力を発揮するかもしれません。また、韓国ではメダルが、今後の兵役とも密接に関係してきます。無観客とはいえ開催国の応援を背にした松山選手や星野陸也選手の金メダルも期待したいです。東京五輪男子のテレビ解説はボクも行います。ぜひ楽しんでくださいね。

クラレット・ジャグに続きメダル獲得なるか

全英オープン優勝を引っ提げて日本に来るC・モリカワ。FWキープ率が66.7%(11位)、パーオン率が71.6%(2位)、ショット貢献度は1位というスタッツにも表れる“ショット力”に改めて注目したい

佐藤信人

さとう・のぶひと。1970年生まれ、千葉出身。ツアー9勝。海外経験も豊富。現在はテレビなどで解説者としても活躍中

週刊ゴルフダイジェスト2021年8月10日号より