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森守洋「レッスンは受けるな」Vol.37 年齢と身体の変化によりスウィングとヘッドのリリースポイントは変わる

堀琴音、柏原明日架、香妻陣一朗ら多くのプロを指導する森守洋が、自身が行きついたゴルフスウィングの本質を語り尽くす。

PHOTO/ARAKISHIN

>>前回のお話はこちら


File.37
ヘッド軌道について


年齢と身体の変化により
スウィングとヘッドの
リリースポイントは変わる

今年メジャーリーグで大谷翔平選手のドジャースは、残念ながら3年連続のワールドチャンピオンに輝くことができませんでしたね。つい先日、お客さんからも聞かれたことがあるんですが、野球の世界では『フライボール革命』とか言われているらしいんですけど、昔はバットを上から下へタテにダウンで振れって言われ続けていたのが、今はアッパー軌道のような下から上に振るような振り方になり、野球もスウィングが変わってきたなんてことが言われているそうです。確かに大谷選手のスウィングを見ると下から上に振っているようには見えます。

でも野球もゴルフも一緒なんですが、このスウィングの変化は要するにヘッドのリリースポイントの差のことを言っているだけなんです。野球で言うと、ヘッドを上から下へ動かすことで体の近くを最短距離で通して、体の正面でインパクトするように指導をされてきました。

ちなみに王貞治さんが畳の上で素振りをする映像を見たことがある人もいると思いますが、その振り方がまさに上から下へ振るイメージですよね。

それが少しヘッドを遅らせて水平もしくはやや下から上へ振ることで、ヒッティングポイントが体から遠い位置になって大谷選手のようなスウィングが増えているだけなんです。


ただ、リリースポイントを遅らせるためには、身体的な強さが必要になってきます。

言い換えるとゴルフも野球も今の選手のほうが圧倒的にアスリート化しているわけで、ヘッドのリリースポイントが遅くなっている選手が増えているというだけのことだと思います。

往年の名選手であるベーブ・ルース選手も大谷選手もボールを打つという理屈が変わったということはあり得ないことで、振り方が変わっているわけがありません。

以前にも少し話しましたけれど、ジャック・ニクラス選手は当たり前ですが、今は昔のように振れません。でも本人はきっと同じように振っていると思います。

スウィングの見た目が変わっただけで、ニクラス選手もスコッティ・シェフラー選手もスウィングに関する理屈は全く同じ。

ではなぜ今の選手のほうが圧倒的に飛ぶのか。ギアの進化もありますが、加えて身体能力の向上やパワーの出し方などが研究されて具現化できてきたからです。

そしてメジャーリーグでこのアッパー気味に振るスウィングについて言われ始めた頃、僕もいろいろと勉強したのですが、その違いはやはりヘッドのリリースポイントの差だとわかりました。

でもリリースポイントが変わるということは、選手本人にとって動作的に真逆のことをしているような感じでとんでもない違和感になります。おそらくアドレスから、その他感覚的なことから全て真逆に感じるはずです。ただ、大きな動きの中で見ると、同じ動作をしていることには変わらないんです。

なぜこのアッパー気味のスウィングが主流と言われるのか、その理由の一つは「円弧が大きくなる」からです。スウィングの円弧は大きいほうが当然飛距離は出ます。

ゴルフも同じです。飛ばし屋やホームランバッターは以前のようなヘッドを上から下へ振り下ろすスウィングではなく、ヘッドのリリースポイントを遅らせて下からヘッドを入れてミートするアッパー気味のスウィングにすれば、円弧が大きくなるのでこのタイプが多いだけのことだと思います。

でもこのスウィングをするには肉体的な要素が非常に関係しているので、選手が年齢を重ねることでヘッドを上から下へサッと振るように変化してくるのが普通です。

本人は同じスウィングをしているつもりだけど、年齢と身体能力ともにゆっくり見た目が変わっていく。クラブを使ってボールを打つという理屈は変わらないけれど、感覚論が変わることは間違いないので、どっちがいいかという論争になるのもある意味では理解できることですね。


今のスウィング理論は、よりボールを遠くへ飛ばすために自然に生まれたものです

解説/森守洋

もり・もりひろ。1977年生まれ。静岡県出身。堀琴音、柏原明日架、香妻陣一朗ら多くのツアープロを指導。原理原則を謳い文句にゴルフスウィングの核心に迫る

週刊ゴルフダイジェスト2026年11月10日号より

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