森守洋「レッスンは受けるな」Vol.33 細かい部分にこだわりすぎると一番大切な部分を見落とします
森守洋「レッスンは受けるな」
堀琴音、柏原明日架、香妻陣一朗ら多くのプロを指導する森守洋が、自身が行きついたゴルフスウィングの本質を語り尽くす。
PHOTO/ARAKISHIN
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- 堀琴音、柏原明日架、香妻陣一朗ら多くのプロを指導する森守洋が、自身が行きついたゴルフスウィングの本質を語り尽くす。 PHOTO/ARAKISHIN >>前回のお話はこちら File.32休息について 湯に浸かり深呼吸しながらのイメージトレーニングは効果絶大 いきなりですが僕は温泉が大好きです。「たまにはゴル……
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細部について
細かい部分にこだわりすぎると
一番大切な部分を見落とします
前回は突然温泉の話で驚いた人もいるかもしれませんが、僕自身は至って真剣な話をしたつもりです(笑)。今後も温泉とゴルフの深い関わりをお話しさせてください。
今回は改めて運動を習得するために大切だと感じている「動作を習得するタイミング」について話させていただきたいと思います。「神は細部に宿る」という言葉を耳にしたことはありますか?
僕のゼミでこの言葉に関する質問がありました。確かにこの言葉には深い意味が込められています。細部へのこだわりが全体の完成度を高めるという考え方は、スポーツに限らず芸術など多くの分野で共有されているものです。ただ、これはゴルフにとっても特に重要なことですが、細部にこだわるまでのプロセスやタイミングが重要なんです。
運動という観点で言うと最初から細かい部分に意識を向け過ぎると、全体の流れや基本的な動作のパターンをつかむことが難しくなる可能性がある。たとえば、テニスのサーブを学ぶとき、いきなり手首のスナップの角度や足の微妙な位置に集中するよりも、まずはラケットを振る基本動作や体の流れを覚えるほうが自然に上達しやすい事実があります。
初心者がいきなり細部のテクニックにこだわると、動きがぎこちなくなったり大きな枠組みを見失う可能性は大いにあります。一方で細かいポイントに意識を向けることが、逆に基本を深く理解するキッカケになる場合もあるのも興味深い点です。良い例がランニングで「ひざをどのくらい曲げるか」を意識することで、全体のフォームが改善されるケースです。
とはいえ、ある程度の経験や感覚が育ってからのほうが効果的なことは間違いありません。最初は考えるより動くほうが大事で、慣れてきたら「動きながら考える」という段階に移行するのがいいでしょう。
ただ、どの段階で細部にこだわるかは、その人のレベルや目標次第になります。初心者なら原則的なパターンを体に染み込ませることを優先し、中級者以上になったら細部への気づきが上達の鍵になります。そのため僕がプロにレッスンする内容といえば細かい部分のことがほとんどなんです。
要はプロや上級者は源流となる「振る動作」を体得しているから細部にこだわることが上達のヒントになるわけで、その源流が理解できていない人が細かい部分にこだわると上達を妨げる要因になる。だから動作を習得するにはタイミングや順番が重要なわけです。
源流とはクラブを振ることであり、それは素振りや連続素振りで誰もが無意識にできる動きです。運動における段階的アプローチについて考えると、やはり上達へのプロセスはステップを踏んでいくのが自然で、運動スキルを身につけるには、段階ごとに焦点をずらしていくのが効率的だし無理なく進める方法だと考えています。
大きな木で例えると、まずはしっかりとした根幹を築いてからでないと枝葉は付けられません。そんな段階を踏んでいくことが運動を正しく習得するために必要なことだと思っています。
ゴルフのレッスンに関しても上達できず長い間悩んでいる人ほど、枝葉の部分をどうにかしようとし続けているわけです。段階を踏まずに、枝葉の部分だけにフォーカスして練習を続けても、なかなか上達しにくいのです。細部の動きのレッスンというのは、耳当りのいい言葉が多いので耳を傾けてやりたくなる気持ちも分かりますが、上達を阻むことになりかねません。
ちゃんと上達するためには段階を踏む、当たり前のことですがとても重要なことなのです。次回で段階的にどうアプローチすればいいのかを少し具体的に話したいと思います。
形は動きの流れによって作られるものなのです


解説/森守洋
もり・もりひろ。1977年生まれ。静岡県出身。堀琴音、柏原明日架、香妻陣一朗ら多くのツアープロを指導。原理原則を謳い文句にゴルフスウィングの核心に迫る
週刊ゴルフダイジェスト2026年10月13日号より


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