【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.922「8年の間に6人のメジャーチャンプが誕生したことは誇らしく素晴らしいことです!」
岡本綾子「ゴルフの、ほんとう。」
米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。
TEXT/M.Matsumoto
>>前回のお話はこちら
- 米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。 TEXT/M.Matsumoto >>前回のお話はこちら 左右ドッグレッグ、打ち上げと打ち下ろし、ティーショット4つのシチュエーションで、右ドッグ以外はどれも苦手にしています。 景色に惑……
AIG全英女子オープンで桑木志帆選手が初優勝。昨年の山下美夢有選手に続いて2年連続でメジャー制覇を果たしました。解説の岡本さんも感激されておりましたがあらためて感想をお伺いできるでしょうか。(匿名希望・44歳)
まず何よりも今回の令和8年熊本地震で被災された方々に心よりのお見舞いを申し上げます。
ちょうど十年前のことを思うと、まさかの再来に驚くと同時に自然の猛威に対して、やり場のない悔しさと恐ろしさを感じます。
猛暑の続く被災地での後片付けや復旧作業の大変さはいかばかりか。
どうかお力落としのないよう一日も早く生活の再建がかないますようお祈り申し上げております。
地震や台風の報が続くなか、海外からは桑木選手の快挙が伝えられ、力強く励まされるような気もしました。
最後はプレーオフにもつれ込み、先にピンチに陥りながらも諦めずに落ち着いて自分のプレーを守り、よく我慢したと思います。
大会全体を振り返ると、前半戦はユ・ヘラン選手が頭一つ抜けた力を見せつける展開。
メジャーでの経験の浅い桑木選手は、焦ることなく地道に淡々とホールを進めていた印象があります。
今回の舞台は男子でもジ・オープンやライダーカップなど名勝負を歴史に刻んできたロイヤルリザム&セントアンズゴルフクラブ。
イングランド北西部にあるリンクスは、例年の全英とは打って変わった好天に恵まれ、4日間を通して風雨に悩まされることがありませんでした。
とはいえ、コースには174のバンカーが配され、壁に囲われたポットバンカーが選手とボールの行く手を阻みスコアメイクを難しくする。
また、ヨーロッパを包み込んだ異常熱波の影響は英国にも及び、雨の少なさでフェアウェイはこれ以上ないほどに硬くなっていてプレーヤーたちの距離感を惑わし続けました。
こうした条件を考えると、上から落とすボールで攻めてくるタイプの選手は勝てないのではないか、大会が始まってすぐにわたしはそんな思いでゲーム展開を眺めていました。
今年、シェブロン、全米オープンとメジャーを連勝したネリー・コルダ選手が、初日を2オーバーと出遅れていたこともその根拠とも言えそうでした。
2日目、3日目と進むうちに優勝を狙える候補が絞られていくのがたいていのトーナメントですが、今回は最後まではっきりしなかったように思います。
最後の最後まで複数の選手にチャンスがあったという意味で、この大会はスリリングな名勝負を演出してくれました。
そしてその勝者が日本の桑木選手だったことはほんとうに喜ばしいことでした。
最終日のラウンドでも各選手ショートアイアンでグリーンを狙えるケースが多かった割にバーディラッシュで順位を駆け上ってくるプレーヤーがいなかった。
それは飛ばし屋有利といった単純なコースではなく、距離の出る選手にはそれなりのメリットと罠が用意されており、飛距離が出ない選手でもナイスショットには大きなチャンスをつかめるルートが約束されていたからでしょう。
これは歴史のある洗練されたコースならではの深みなのでしょう。
桑木選手の勝因は、終始無理をせず自分のできる限りのプレーで愚直にチャレンジを続けたことにあるのではないか、わたしはドキドキしながら観戦していてそう感じました。
2019年に渋野日向子選手が全英女子のタイトルを獲って以来、8年間で日本人選手のメジャーチャンピオンが6人も誕生したなんて夢のようです。
しかも昨年と一昨年は年間5大会のうち2つを日本人選手が占めたことを考えると、誰かが言っていましたが、これから数年以内に「年間メジャーを日本人選手が独占する」のもあり得ないことじゃないのではと思えさえします。
全英女子オープンは、メジャー昇格以前の1984年にわたしも優勝しているのですが、その時のコースが2019年に渋野選手が勝ったときと同じウォーバーンで、昨年の山下美夢有選手が優勝したロイヤルポースコールはウェールズ、今回のロイヤルリザム&セントアンズもやっぱりイングランドと、実はスコットランドではないのですよね。
とはいえ、日本人とスコットランドの相性が悪いのかどうかは単なる偶然なのでしょうけど、不思議な縁を感じちゃいますね。

「これから桑木選手がどうなっていくのか期待して見守っていきたいと思います」 (PHOTO by AYAKO OKAMOTO)
週刊ゴルフダイジェスト2026年9月8日号より


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