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森守洋「レッスンは受けるな」Vol.20 女子プロたちのスゴさはスピンコントロールにあり!?

堀琴音、柏原明日架、香妻陣一朗ら多くのプロを指導する森守洋が、自身が行きついたゴルフスウィングの本質を語り尽くす。

PHOTO/ARAKISHIN

>>前回のお話はこちら


File.20
女子プロについて


女子プロより男子プロのほうが
ゴルフが難しく感じているかもしれない

先日の日本プロゴルフ選手権で23歳の細野勇策選手がツアー初優勝を飾りました。僕らアラフィフ世代だとレフティといえば羽川豊選手でしたが、レフティの優勝はその羽川選手以来35年ぶりとのことです。日本を代表するレフティにこれからますます強くなってくれることを期待したいですね。

その細野選手が今年の前澤杯で青木瀬令奈選手と同組でプレーした際に話していたらしいんですが、女子プロのショットの精度の高さに驚かされたと。池越えでグリーン手前が受けて傾斜になっているホールでのこと。


青木選手の残り距離は180ヤード近くあって、おそらくウッドやユーティリティだったはずですが、「どうやってグリーンに乗せるのかな」と思っていたら、その手前の斜面に当てて乗せてきたらしいんです。

男子プロならその距離は7番とか8番アイアンで打ってくるので、そんなところを狙う必要はないですが、自分らがフェアウェイウッドやユーティリティを持つ場面で、そのようなショットができるかどうか問いかけたんでしょう。

確かにあの試合での青木選手の活躍は見事でしたし、感化された男子プロも多かったはずです。高い技術力があることは間違いのないことです。それを前提に今回お話しするのはスピンコントロールに関してです。

以前、菅沼菜々選手がクラブ主役で上手くなった選手だという話をしましたが、最近の進化したクラブやボールから考えると、実は女子プロくらいのボールの回転量が一番コントロールしやすい。もちろん女子プロの技術の高さはありますが、これは男女の技術差という話ではなく、言い換えると今のクラブやボールから得られるスピン量は、男子プロにとっては扱いにくい代物だということです。

今年の中日クラウンズや関西オープンがそうでしたが、今のツアーの中では距離が短いと言われる設定のコースでも少し風が吹いただけで100ヤード以内のショットがビタッとピンに絡んでこない、それどころか乗らないこともある。

細野選手が言っていたように180ヤードくらいのショットにしても、男子プロなら7番や8番アイアンくらいで打ちますので彼らにとってはショートアイアンですが、風が吹くと思うように絡んでこない。それを同じ条件で女子プロに打たせたら5UTくらいでビタビタ寄せてくるんです。これは技術の差というよりボールの回転量の差なんです。

彼女たちのスピン量は風の影響を受けにくいんです。もちろん彼女たちはボールの回転を肌で感じているし、だから管理できるわけですが、男子の場合は管理しづらいほどのスピン量が勝手に入ってしまうわけです。ウェッジで1万回転を超えると風の中で管理をすることが一気に難しくなります。

長年、男女ツアーでコーチをやってきて、試合を見続けてきましたが、道具の進化によって現代は男子のほうがゴルフが難しいんじゃないかとさえ感じます。

例えば130ヤードくらいのショートでも、男子ならPWなど、女子プロですと8番くらいですが、やはり少し風が吹くと女子の8番のほうがピンに寄る確率は高いんじゃないかと感じます。しつこいですが上手い下手ではなく、スピン量の差がそうさせているのです。

そう考えると、アマチュア男性のアベレージは女子プロとそんなに差がありませんので、スピン量という観点でゴルフを考えればUTの恩恵も受けることができますし、風の影響も男子プロより受けにくい。日頃の練習からボールのスピン量に意識を少し持っていただいて練習していくだけでも、また違った発見があると思います。ぜひアマチュアの方もスピン量を少しでも意識して練習してみてください。

距離のあるセカンドショットでもFWとUTを巧みに使いこなしピンに絡める技術を持つ青木瀬令奈

解説/森守洋

もり・もりひろ。1977年生まれ。静岡県出身。堀琴音、柏原明日架、香妻陣一朗ら多くのツアープロを指導。原理原則を謳い文句にゴルフスウィングの核心に迫る

週刊ゴルフダイジェスト2026年6月30日号より