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【ゴルフせんとや生まれけむ】川野太郎<後編>「スタート時間になっても誰も来ない! 連絡してみると…」

ゴルフをこよなく愛する著名人に、ゴルフとの出合いや現在のゴルフライフについて語ってもらうリレー連載「ゴルフせんとや生まれけむ」。今回の語り手は、前回に引き続き、俳優の川野太郎

前編はこちら

いろいろなゴルフ場で、いろいろな人たちとプレーを楽しんできた僕ですが、何といっても一番の思い出はカミさんと2人で回ったハワイでのゴルフです。日本のゴルフ場のようにあれがダメ、これがダメという堅苦しいところがなくてカジュアルで気を使わなくてもいいのがハワイのゴルフの醍醐味。その時は、ゴルフコースの中のホテルに泊まっていて朝起きると「どうする、今日やる? やらない?」ってそんな感じ。カミさんと2人でカートで回っていると、ワゴンで焼きスパムやビール、ジュースを売りに来るんですけど、これがまたものすごく安い。日本でもあんなゴルフができたらいいんですけどね。

こんな楽しいゴルフを経験した半面、悲しいゴルフもありました。ある時、約束したゴルフ場で仲間が来るのを待っていたのにスタート時間が近づいても誰も来ないんですよ。「おかしいなあ、何かあったのかな」と思いながら電話をしたら「あれ、今日、中止にしたんだよ。連絡しなかったっけ?」と友人が言うんです。


仕方がないから他の組に入れてもらってプレーして帰りました。でも、誰と話をするわけでもなく黙々とプレーするというのは少々悲しいものがありましたね。やっぱりゴルフは気の合う仲間と一緒に冗談を飛ばし合いながらワイワイやるのが楽しいです。その時はそのことを痛感しました。

そうそう、あとはこんなこともありました。今から25年くらい前の話ですが、NHKのレッスン番組の収録で林由郎プロ、福嶋晃子プロとロサンゼルスに2週間ほど行きました。何もわざわざロスまで行くこともないのに、それも2週間。当時はまだバブルの名残りがあったんですね。それでその時、僕はバンカーショットが苦手だったので林プロに習ったのですが、林プロの打ち方ってめちゃくちゃフェースを開いてドンと切るようにして打つ、ものすごく独特な打ち方じゃないですか。それでも当時は何とか出るようになったのですが、今、その打ち方をやっても全然うまくいかない。考えてみたら、当時と今とではクラブの性能がまったく違います。今はクラブを信じて打てばよほどのことがない限りしっかり出るんですよ。だから、今は林流の打ち方でなくてもバンカーに泣かされることはほとんどなくなりました。

ちなみに、僕のベストスコアは84。もうずいぶん前のことで、富士山のそばだったような気がしますが、コースがどこかは覚えていないんです。最近は90どころか、なかなか100が切れません。でも「どうせ今日も大したスコアは出ないだろう」と力まずにプレーすると前半で45くらいが出たりする。で、「あれ、ゴルフって簡単じゃん、このままなら80台が出るかも」なんて思うと、決まって後半55、6叩いてしまう。ホントにゴルフってうまくいかないもんですね。

さて、今後のゴルフの夢というか、僕なりの目標はゴルフをやる時に「欲」をなくすこと。スコアはどうでもいいので(笑)、無心にゴルフというスポーツそのものを楽しみたい。いくつになってもそれができれば最高です。

川野太郎

かわの・たろう。1960年、山口県生まれ。早稲田大学時代は野球部に所属。1985年、NHKの連続テレビ小説「澪つくし」でデビュー。俳優の傍らテレビ朝日「料理バンザイ!」の「たまに行くならこんな店」のレポーターを長年務め、お茶の間の人気を集める。ベストスコア84

週刊ゴルフダイジェスト2023年10月17日号より