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【ゴルフせんとや生まれけむ】与田剛<前編>「星野仙一さんからもらったベンホーガンのフルセット」

ゴルフをこよなく愛する著名人に、ゴルフとの出合いや現在のゴルフライフについて語ってもらうリレー連載「ゴルフせんとや生まれけむ」。今回の語り手は、 元プロ野球選手の与田剛氏。

2016年から6年間、コーチ(楽天)、監督(中日)を務めていたので、その間は年に1、2回ラウンドする程度でした。一昨年、ユニフォームを脱いでからは機会が増え、秋田で行われた知り合いのコンペに呼ばれたことがありました。たくさんの方が集まってくださったんですが、久しぶりだったこともあってスタートホールのティーショットで緊張して。見事な空振りを披露しました(笑)。いやあ、恥ずかしかったなあ。見ていた人たちは「今の空振り? 素振り?」と、どう反応したらいいのかわからない、困ったという顔をしていて。もちろん、紳士のスポーツですから「今のは空振りでした!」と自己申告しましたが、周囲は何とも微妙な雰囲気が漂っていました(笑)。ところが、そういうときに限って2打目がキャリーで280ヤードくらい飛んで、しかもフェアウェイのど真ん中。そのナイスショットのおかげで皆さんは「やっぱり与田さんは上手いんだな」っていう顔になってくださったものの、最終的には本領発揮で115くらい打ってしまって(笑)。結局、皆さんは私が「上手いのか下手なのかわからない」といった複雑な顔をしていましたね。

そもそも私がゴルフを始めたのは入団1年目のシーズンオフ。サポートしてくださっていたスポーツメーカーからいただいたクラブセットで始めようと思っていたところ、新人王と最優秀救援投手賞のタイトルを獲ったお祝いにと星野(仙一)監督がベンホーガンのフルセットをプレゼントしてくださったんです。当時はパーシモンの時代でしたけど、ゴルフをやったことのなかった私にはベンホーガンの価値など全くわからなかったんですね。それで最初のチームコンペに参加した際、そのクラブを持って練習もせずにゴルフ場でフィルムをはがして使っていたんです。すると、それを見ていた星野監督が「何や、お前、そんなクラブ持ってきて」「監督にいただいたので喜んで持ってきました」「アホか。それ、なんぼすると思っとんのや。初心者がベンホーガン使うな」「これ監督がくださったから……」、そんなやり取りがあったことを今でもよく覚えていますね。結局1ラウンド終わったらヘッドが傷だらけになってしまって、でも折れなくて良かったーと思ったものですが、もちろん、今でも大事に取ってあります。

ゴルフを始めて33年。長く思えますが、現役時代はあまりやっていなかったこともあり、100を切ったのも始めてから7、8年後。現役を終えて、やる機会が増えたからには多少は上手なほうがいいだろうと練習場にもマメに通い始めたんです。2015年くらいまではごくまれにではありますけど、80台が出るようにもなってベストスコアの87が出たのもこの頃でした。そのときはさまざまな運に恵まれました。林に打ち込んだかと思ったら木に当たってフェアウェイに戻り、バンカーではレーキに当たって花道のいいところに止まり、トップしたらピンに当たってセーフ! その結果の「87」。いいスコアが出るときって得てしてそんなものじゃないですかね。

>>後編につづく

与田剛

よだつよし。1965年生まれ。亜細亜大、NTT東京を経て1990年ドラフト1位で中日に入団。この年に最優秀新人賞と最優秀救援投手賞受賞。引退後は2009・13年のWBC日本代表、16年から楽天で投手コーチを歴任し、19年から3年間中日の監督を務めた。ベストスコアは87

週刊ゴルフダイジェスト2024年5月7・14日合併号より