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【ゴルフ野性塾】Vol.1797「ゴルフは楽しき想いを浴びるスポーツ」

古閑美保、上田桃子など数多くの名選手を輩出してきた坂田塾・塾長の坂田信弘が、読者の悩みに独自の視点から答える。

前回のお話はこちら

今日9月7日、
午前11時15分。

昨日は涼しかった。
朝から晩迄、ズッとだ。
秋の訪れかと思った。
だが今日は暑い。
やっぱり夏は続いている。
それでも秋が四日に一回、三回に一回と入って来れば夏と別れる事は出来るだろう。
窓の外、小さな千切れ雲が8つ浮んでいる。
福岡空港の向うの山、稜線はっきりと見えるが、この空模様は夏の空か、秋の空か。
飛行機は海側から福岡市内に入り、海に向って着陸態勢に入っている。
今日の風は北風だ。
夏と秋の季節、交錯の時か。
講演会の依頼が増して来た。
世情もコロナ時とコロナ後の交錯の時、訪れているのか。

クラブ3本、ティーアップの球を打て。

フェアウェイにいくつもマウンドがあり、うねっている難コースでラウンドしました。ティーショット以外は平らなライがほとんどなく、左足上がり、左足下がり、つま先上がり、つま先下がり、さらにその複合ライといろいろな傾斜から打っているうちに、どう打てばいいのかまったくわからなくなり、ショットがボロボロになってしまいました。塾長、傾斜したライから上手く打つコツはありませんか。(千葉県・匿名希望38歳ゴルフ歴10年平均スコア93)


君子、危うきに近寄らずと申す。
ゴルフバッグの中の14本のクラブ、その14本全部、自信持って打つ事の出来る人、何人おられるだろうか。
14本全部が得意じゃないけど、苦手意識持たずに打つ事は出来ると申す方、ハンディ3以内の方と思う。
私はパッティングが苦手だった。ショットの練習はよくした。アプローチもだ。
特にバンカーショットはステンレス合金のサンドウェッジを1年で3本、摩耗させて使えなくなった時期を持つ。

ヘッドの溝が消えて行くのではなく、リーディングエッジから摩耗して行き、溝3本失くなる迄、練習した。
勿論、極端なグースヘッドになり、ヘッド重量も軽くなった。
クラブヘッド裏に鉛を貼ったが、クラブヘッド裏の重量とリーディングエッジの重量じゃ同じ重たさでも同じスウィング、同じ感覚で打つ事は出来なかった。だから、ヘッド重量が消えて行けば同じクラブ、同じシャフト、同じグリップのクラブをマルマンから取り寄せ、その新しいサンドウェッジで練習した。
周防灘CCコース管理棟、豊前海が見える処に私専用のバンカーとグリーンを作って貰い、試合のない時は朝から夕刻迄、バンカーショットだけを練習した。一年はやった。35年前、試合でバンカーのミスをしてから始めた練習だった。
バンカーから打つ球で文字が書けた。カタカナは簡単、ひらがなは少し難しかったが、それも2本摩耗させた後から難しさは消えた。

コース管理の人は感心した。
「バンカーから文字が書けるんですネ。この技術があればパーオン狙わずにバンカー狙いで行ったら3パットもないでしょう。どうです、18ホール全部パーオン外して、パープレーかアンダーなんて格好良くありませんか」
「バンカーからチップインバーディ取るよりは第1打第2打第3打をピン1メートルに付けた方がバーディの確率は高い。パーのゴルフじゃ賞金なしのゴルフだからな。一応は考えたよ。でも、私に遊び感覚はないんだ。古い人間だし、バンカー狙ってバンカーに確実に入る事もないだろうから。バンカー練習してるのは己の気持ちの弱さ、消極さ、そして屈辱を晴らす為だ。グリーンに近いバンカーショット程、寄せ易く、グリーンから遠いバンカーは難度が上る」
「こんな酷いサンドウェッジで打たれてたんですか。バンカーショットは砂の爆打、エクスプロージョンと聞いてましたが、この軽さで砂を弾く事出来るのですか?」
「取る砂の量次第だ」

バンカーの苦手な人はボールの手前5センチ10センチと遠い処からヘッドを入れて来る。
しかし、今の私はボールぎりぎりにヘッドを入れる。
勿論、取る砂の量は少ない。
薄く薄くだ。
その為には体重移動は必要ない。バックスウィングの大きさとインパクトの力加減、そしてフィニッシュの大きさのいずれかで打てばピン迄の距離も方向も狂う事はない。
バンカー内の砂の上に1本の線を引き、その線消しの練習すれば3つの打ち方のコツは見付けられるだろう。

中嶋常幸が言った。
「それだけの練習すればバンカーショット上手くなるのは当り前だ。しかし、疑問一つ。どうして、その集中と執着をパッティング練習に向けないのか、それが不思議で仕方ない。どんな練習があったとて一番大事なのはパッティングだろう。サンチャンの苦しみもそこに在るのに背を向けてないか。パットの練習もっとしなよ」
誰にも言わず、原稿に書く事もなかった事、一つ在り。
パット練習すると腰痛が出たのです。
背中が強張り、腰の鈍痛、時には鋭痛が生じ、30分と練習出来なかった。13本のクラブに腰痛は起きず、パットだけが腰痛持つプロゴルファーだった。

プロテストに通り、翌年ツアー参戦したが、私は短いパターを使っていた。前傾姿勢強きパッティングスタイルだった。
その時、少しの疲れを覚えて腰を伸ばした。ピッと音がした。
その後、徐々にパッティング練習時の腰痛強まり、埼玉県の嵐山で行われた関東オープン、スタート前の練習、長き時間は取れなくなっていた。
ショット上手、パッティングど下手はゴルフ始めて3年と11カ月の27歳でプロテストに通ったがその後の5カ月間で生じたものだった。
克服出来なかった。腰痛治すには自転車乗りがいいと思い、シーズンオフ、20キロ30キロの山道を走ったが、治らなかった。パッティング練習だけに生じる痛みだった。

貴兄は難しいコースでラウンドした。そして自信失くしての本稿への相談だ。
そうゆう難しいコースへは二度と行くな。貴兄にとって得となるラウンドではない。
ゴルフは苦しみを楽しむ競技ではないと思う。楽しき想いを存分に浴びるスポーツである。
克己と言うが、克己必要とされるのはハンディ10以上。平均スコア93の貴兄に克己は要らぬ。楽しくプレーすりゃいい。
フェアウェイにうねりのコースで楽しく、克己心全面に出してプレーするには今少しの時間が必要と思う。平均スコア85であれば、うねりのコースでのプレーも勧めるが今は時期尚早だ。
自信持ちて打てぬクラブ無理して練習するよりは楽しく打てるクラブの練習に精出して貰いたい。得意を伸ばすか、不得意を解消するかは得意伸ばすが最善と思う。
それでも傾斜のライからのショットに拘るのならば爪先上りの球、打たれる事を勧める。
練習場、ティーアップした球を打てばいいのです。
スウィング中、手首を多用すれば爪先上りの球は打ち難い。
爪先下り然りだ。

私はジュニア塾生に手首を使うなと教えた。手首を使えばトップ時、左手グリップ小指と薬指が緩む。その緩みを右手で補おうとするから球は曲る。
緩みと過信は駄目だ。緩みは体・技・心の中の技の領域であり、過信は心の領域であろう。
そして、1球2球の緩みのトップでいい球打てば、これでいいのだ、の過信は生じる。
然ればミス球1球2球で悩みが生じる。
ティーアップの球を打て。
6アイアン、9アイアン、サンドウェッジの3本のクラブで打てば良い。その時、トップ時の左手グリップを緩ませるな。
以上です。

坂田信弘

昭和22年熊本生まれ。京大中退。50年プロ合格

週刊ゴルフダイジェスト2023年9月26日号より

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