【笑顔のレシピ】Vol.126 「新しいことにチャレンジさせるベストなタイミングとは?」
メジャーチャンプ・渋野日向子を育てた青木翔が“コーチング”のこだわりを語る連載「笑顔のレシピ」。ゴルフだけでなく、仕事や育児などでも役立つヒントが満載!
TEXT/SHOTANOW
トップレベルを目指す選手は、どこかのタイミングでコースマネジメントを身につける必要があります。ただ、これをいつ教えるか見極めるのが難しい。
指導者は、選手が成長しているときに新しいことにチャレンジしがちです。伸びているときは、どんなことでもグングン吸収するように感じるもの。
ただ僕の場合は、選手に限界が訪れるまで待つようにしています。例えば、飛距離が伸びて安定してきたけれどスコアが伸び悩んだり、試合で結果が出せなかったりという時期を待つ。そこで初めて、じゃあマネジメントを考えてみようかと提案をするのです。
限界が訪れるタイミングまで待つのは、2つ理由があります。
1つは、ベースの技術がないのに次のステップに進んでも、使いこなすことができないから。コースマネジメントをするためには、大前提として狙ったところに打つ技術が必要です。
これは他のスポーツや勉強でも同じではないでしょうか。基本動作ができないうちはゲーム形式の練習をやってもあまり成果は出ないし、計算が正確にできなくては応用問題も解けませんよね。
もう1つの理由は、選手の納得度が高くなるという点です。取り組んでいることが上手くいっているとき、選手は新しい武器を手に入れる必要性を感じていません。そのままやっていけば成長を実感し、結果もついてくるわけですから。一方、頭打ちになっているときというのは現状打破したいと思っているので、新しいことへの取り組む姿勢ややってみたときの納得度が違います。前のめりに学ぶためそれだけ吸収も早くなるのです。
今回はマネジメントを例に出しましたが、例えば球筋のコントロールやアプローチの引き出しを増やすときなども同じです。
まずはそれ以前のベースができているか。そして今持っている技術をフルに使った状態で伸び悩んでいるか。新しいことに取り組む際は、この2点に注意してほしいと思います。
青木翔
あおきしょう。1983年生まれ。福岡県出身。渋野日向子をメジャーチャンプに導き、三ヶ島かななどツアープロや、全国トップレベルのジュニアゴルファーの育成に努めている
週刊ゴルフダイジェスト2022年6月7日号より