【頑固オヤジ】Vol.150「チッパーを有効活用するための正しいチューンは?」
東京下町でゴルフ工房を営む店主がギアに関する悩みに答える連載「頑固オヤジのクラブ工房」。今回のお悩みは「チッパー」のチューンナップ法について。
ILLUST/Kochi Hajime
Q.冬場に有効なチッパー、
グリップチューンの正解は?
冬場は転がしで寄せたいと思い、チッパーを購入。よりパター感覚に近づけようと、ソフトタイプの太めのグリップに交換したところ、距離感が全然合わなくなりました。どうすればいいですか? (57歳・HC14・会社員)
しっかり打てるグリップを選ぶ
いやあ、正月早々いいニュースだったよな、松山英樹のソニーオープン優勝。39年前の青木功のウィニングショットは、ウェッジのフルショットでチップインイーグルだったけど、松山は3番ウッドでベタピンイーグル。
青木のときはアレ!? て感じでビックリしたけど、松山のはパットまでの勝利感を楽しめたよな。
「オヤジさん、読者からチッパーの質問が来ました」
担当さん、寒いのは嫌いだからまだ打ち初めラウンドはしてないんだと。こんな言い訳してると、ラウンド数は増えねえよな(笑)。
「冬場ラウンド向けにチッパーを購入したそうですが、愛用パターと同様のソフトタイプの太めグリップに交換したところ、距離感がボロボロだとか。どう直せばいいのか、知りたいそうです」
冬場にコロガシで寄せる発想は悪くないし、そのためにチッパーを入れるのもいい選択だと思う。ただ、グリップをソフトにするのはいただけないな。
「本人も気づいていると思うけど、グリップ交換がダメだったな。パターと同じようにしたいと思っても、チッパーを使う場面はピンから10~30ヤードぐらいだろ。ロングパットぐらいしっかり振るのに、フワフワのグリップじゃ、バラつくのが当たり前だよ」
「ソフトタイプはショートパット向き、ということですか?」
「そうとは限らないんだけど、しっかり打ちたいのにソフトグリップで対応できるのは、それこそ上級者。特に手がかじかむような冬場は、月イチレベルじゃ無理だと思うよ」
だから、チッパーにはノーマルな太さと硬さのグリップでいい。
バックラインをアレンジする
ただ、グリップの挿し方を工夫すると、より扱いやすくなるポイントはある。
「パターと違ってチッパーは、平らな面があるグリップは装着できないよな。でも、バックライン入りはOK。これを生かすんだ」
「バックラインで、何が変わるんですか?」
「バックラインを、左手親指と人差し指で挟める位置に持ってくる。通常の真下の位置から、120度くらい回した所だな。こうすると、フェースの向きを感知しやすくなるんだよ」
別に、バックラインの位置はここに限定しなくていい。自分で、グリップのどこが出っ張ればフェース面を感知しやすくなるか、探すといいんだ。
「バックラインをより強調するのに、昔は竹串とかを下巻きの中に仕込んだけど、ゴルフプライドの『アライン』ぐらいしっかりしていれば、そこまでする必要はないと思うね。太さもバリエーションがあるから、しっくりくるのを選べるし」
「なるほど。他に、チッパーのチューンでオススメは?」
「特にないけど、まず購入時点でロフト選びは気を付けないとな」
「オヤジさんのオススメは?」
「35度以上はほしいな。というのも、昔からチップショットは6、7番がベターだったんだけど、当時のロフトがそのぐらい。転がしといっても、適度なキャリーとスピンが入らないと、コントロールが利かないからな。それ以上ロフトが立っていると、グリーンエッジから3ヤードぐらいまでしか使えないだろうしね」
「ヘッド形状はパター寄りとかアイアン寄りでは、どちらが?」
「好みでいいけど、オイラはアイアン型のほうが、使い勝手はいいと思うよ。パター型は真っすぐ振るイメージしか許さないけど、アイアン型なら少しカットに振ったり、トウ寄りに当てたりして加減が利くからな」
ちなみに、ソール幅は広めがいい。ポンと球が浮くからね。
月刊ゴルフダイジェスト2022年4月号より