Myゴルフダイジェスト

【ビタッと止まるアイアン】#1「止まる弾道」の3つの条件

8番アイアンを握ったら確実にグリーンに乗せたいところだが、うまくグリーン面に落ちても、思ったよりランが出て、グリーンの奥へ……。なぜ、同じぐらいのヘッドスピードの女子プロのショットはピタッと止まるのに、我々のショットは止まらないの? 弾道データを分析すると、その違いが浮き彫りに!

TEXT/Daisei Sugawara PHOTO/Hiroaki Arihara、Tadashi Anezaki、Shinji Osawa、Hiroyuki Okazawa ILLUST/Kenichiro Tanaka THANKS/アコーディア・ガーデン東京ベイ、Five elements

解説/河野勝成

こうのかつなり。スウィングをデータと感覚の両面から解説。矢野東のコーチとして、シード復活に貢献。麻布の「Fiveelements」でレッスンを行う

●CONTENTS●
#1 「止まる弾道」の3条件
#2 「トップで一時停止」で入射角が安定
#3 「超極端大根切り」でロフトが立つ
#4 「フォローをゴール」で打点が揃う

8番アイアンで6000回転が目標

現代は球筋がデータで丸裸になる時代。データ分析が得意な河野勝成コーチは、「男子プロの、いわゆる『めくれる球』がスピン量8000回転(8番アイアン)くらいで、これは普通のアマチュアには難しいです。女子プロの平均は6000回転くらいですが、打ち出し角をきっちり確保すれば、これで十分止まる球になります」と言う。つまり、アマチュアがまず目指すべきは、女子プロと同じ「6000回転」だということ。これを実現するためには、「入射角」、「インパクトロフト」、「打点」の3つを、女子プロと同じ条件に近づける必要がある。データでは、アマチュアのほうが入射角が浅く、ロフトが寝て当たり、打点がばらつくことがわかっている。目標の「女子プロ弾道」には何が必要か、さらに詳しく見ていこう。

女子プロ弾道を手に入れるに3つのポイント

【1】入射角
約5度ダウンブロー

アイアンはそもそもハンドファーストに構えるように設計されていて、正しいボール位置で設計通りに打てば、5度程度ダウンブローになる

【2】インパクトロフト
6~10度立った状態

ハンドファーストでインパクトするため、本来のロフトよりも6~10度ロフトが立って当たる

【3】打点
芯もしくは芯よりやや下

芯よりわずかに下で打つと「縦のギア効果」により、スピンが増える。女子プロはほぼ芯に当てているが、男子プロと同様に、あえて下めの打点で打つ選手もいる

女子プロと8I弾道は理想的な値

三ヶ島かなと勝みなみの8番アイアンの弾道を計測すると、両者とも5度近いダウンブロー、かつ6~10度ロフトを立てて打っていた

アマチュア50人の8I弾道を調査してみると…

●入射角……1~2度ダウンブロー
●インパクトロフト……約2度寝た状態
●打点……トウ寄りが多い
※女子プロとほぼヘッド速度が同じアマチュア50人を調査。それぞれ5球打ってもらい平均値を算出

肩より下からクラブを下ろす

3つの課題(入射角、インパクトロフト、打点)をクリアするには、「切り返しでのクラブのポジションが大事」と河野コーチは言う。スウィング自体は十人十色だが、女子プロ全員に共通する点がある。それは、クラブが「右肩より下」を通って下りてきていることだ。

「切り返し直後にクラブがプレーン上にないと、その修正のほうが忙しくて、とても『ヘッドを上から入れる』とか、『ロフトを立てて当てる』といった調整は不可能になります。切り返しでは、グリップエンドの向きを気にしてください。飛球線後方から見て、グリップエンドがボールの少し先を指していれば、概ねオンプレーンになっている目安です。ボールのはるか先を指す場合はクラブが『寝すぎ』、ボールの手前を指すようなら、クラブが『立ちすぎ』ということになります」(河野)

Check 1
グリップエンドがどこを指しているか

切り返し直後にクラブが立ちすぎていると、クラブを引っ張ることでフェースが開く方向に力が働いてしまう。グリップエンドがボールの先を指す程度に、シャフトが寝ていることが重要

Check 2
フェース面はどこを向いているか

グリップエンドの向きと同時に、フェース面の向きもチェックしたい。左腕が作る面(左腕のプレーン)と平行になっているのがスクエアの目安。無理に閉じる必要はない

Drill
肩の下から下ろす感覚を養う

クラブの両端を両手で挟むようにして持ち、ダウンスウィングの動きをしてみる。肩の下からクラブが下りてくる感覚がわかる

#2 「トップで一時停止」で入射角が安定
#3 「超極端大根切り」でロフトが立つ
#4 「フォローをゴール」で打点が揃う

月刊ゴルフダイジェスト2022年3月号より