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【笑顔のレシピ】Vol.111「スポーツ一家の子どもの自立が早い理由」

メジャーチャンプ・渋野日向子を育てた青木翔が“コーチング”のこだわりを語る連載「笑顔のレシピ」。ゴルフだけでなく、仕事や育児などでも役立つヒントが満載!

TEXT/SHOTANOW

前回のお話はこちら

ジュニアへのコーチングをする際、まずは選手をよく知ることから始めます。そこで僕が本人のことと同じくらい大事にしているのが、家庭の情報です。

最近の子は、ませているとはいっても中学生や高校生ではまだまだ子ども。学校や習い事でコミュニティができ上がっていきますが、人間形成に最も大きな影響を与えるのは家庭です。

家庭にはそれぞれのルールや方針があるので、あまり深く立ち入ったことは言えません。ただ、親子のコミュニケーションを見聞きしていて「やっぱり違うな」と思うのが、親御さんがスポーツをやっていた家庭です。


スポーツに一生懸命打ち込んだ経験のある親御さんは、本人の取り組んでいることに対して指導やアドバイスをすることがほとんどないのです。ゴルフの技術的な助言ができなくても、体の動かし方や取り組み方など教えられることはたくさんあるはずですが、それをせずに見守っているケースが非常に多い。

おそらく元スポーツマンの親御さんは、本人が自ら課題や上達のコツに気づかなければ、本質的な成長につながらないことを分かっているのでしょう。

そして、その気づくタイミングも人によって千差万別ということも知っているので、あえてできるようにさせる助言はしないのです。

一方で、そのタイミングというのは日々の練習で考えてトライし続けなければやってくることはないので、継続することの大切さというのはしっかり伝えてくれています。

そういった環境で育てられた子どもたちは、「自分で考えることを続けて、課題を見つけてクリアする」という癖がついているので、コーチとしてもあまり手がかかりません。

教えてしまうことのほうが実は簡単で、できるようになるまで見守ったり一緒に悔しい思いをすることのほうが大変です。

それを楽しめるような親子関係を作れれば、自立した選手への道が少しずつ開けてくるでしょう。

教えたいところをグッと我慢することも大事です(PHOTO/Hiroyuki Okazawa)

青木翔

あおきしょう。1983年生まれ。福岡県出身。渋野日向子をメジャーチャンプに導き、三ヶ島かななどツアープロや、全国トップレベルのジュニアゴルファーの育成に努めている

週刊ゴルフダイジェスト2022年2月1日号より

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