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【笑顔のレシピ】Vol.95「塵も積もれば山となる」いい意味でも、悪い意味でも

TEXT/SHOTANOW

メジャーチャンプ・渋野日向子を育てた青木翔が“コーチング”のこだわりを語る連載「笑顔のレシピ」。ゴルフだけでなく、仕事や育児などでも役立つヒントが満載!

前回のお話はこちら

「塵も積もれば山となる」ということわざ。普通これは、ポジティブな意味で使われます。

例えば自宅でのパッティング練習。毎日5分だけでもやれば、1年で30時間もやったことに!

そうはいっても、なかなか続くもんじゃないですよね。プロならまだしも、アマチュアの人で毎日継続できている人は本当にすごいと思います。ジュニアの選手は大人のように長期的な視野を持つことは難しいので、「少しでも続けることは力になる」ということを繰り返し伝えるようにしています。

一方で、自ら日々の努力を続けられている選手にも同じ話をします。ただし、意味合いは逆。

つまり「もし毎日5分、練習時間を削ってしまったら、どれくらいの差が出ると思う?」という聞き方です。


例えば、練習のちょっとした合間に、スマホに触れたとします。友だちからのメッセージを返したり、SNSをチェックしたり。数時間の練習のなかでは、合わせてもほんの5分ほどの時間かもしれません。ただ、それが1年積み重なってしまうとどうなるでしょう?

こんなふうに塵はプラスにも積もるし、マイナスにも積もるのです。

いま、コーチングをしている高校3年の梶谷翼にも同じ話をしたことがありました。彼女は世界のナンバーワンになるという高い目標を持っていて、そのためにトップ選手と飛距離の“差”を埋めるという課題もちゃんと把握できています。

ただ、そうした技術的なことと同じくらい大切なのが、取り組み方の“差”。練習時間のなかで120パーセントやり切ったと言えるか? 集中を切らしてしまってはいないか? シビアですが、世界を目指すというのはそういう小さな差をいかに埋めるかということだと思います。

身長や練習環境などに差はあるかもしれませんが、時間は平等。限られた条件でベストを尽くすことを根気強く続ける。これがトップを目指す選手に必要な力なのです。

1日5分が1年では30時間の差になる(PHOTO/Hiroaki Arihara)

青木翔

あおきしょう。1983年生まれ。福岡県出身。渋野日向子をメジャーチャンプに導き、三ヶ島かななどツアープロや、全国トップレベルのジュニアゴルファーの育成に努めている

週刊ゴルフダイジェスト2021年9月28日号より

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