PHOTO／Masaaki Nishimoto

高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。

スウィングというものは形やのうて、道具をどんなふうに使うかの話やと僕は思うとります。

何人かのプロと遊びで、また神戸GCへ行く計画を立てておりますけど、去年一緒にまわったエビさん（海老原清治）も入っています。

神戸GCではコースが用意しておるキャディバッグに、10本のクラブを選んで入れ替えるのが決まりになっております。

「今度はオレ、ドライバーを入れるよ」とエビさんは言うとります。「やっぱりドライバーがないとダメだよ」と。

去年、初めてまわったとき、エビさんはドライバーを入れてなかったのです。コースをよく知っている僕がちゃんと助言しなかったのが悪かったのですが、ドライバーなら270ヤードも打てるし、1ヤードの距離にも対応できるわけです。

270ヤードの飛距離が出る選手が、240ヤードにボールを止めたいときには、スプーンを持ちます。けど、それではあかんのです。ドライバーで240ヤードでも180ヤードでも打てるのが、技術を駆使した道具の使い方。それがスウィングやと僕は思うとるのです。

ハーフショットでやってもええですけど、できたらフルショットのカット打ちやったら、ほんまに格好ええと思いますよ。

SWだったら70ヤード。AWだったら100ヤード。9Iだったら120ヤード飛ばさなあかんと、なんかそんなもので頭のなかに縛りをかけておるような気がします。はめ込みですな。

AWで普通に振って100ヤードだとしたら、何とか頑張って振りちぎって105ヤードに飛距離を伸ばしたいと思っているアマチュアの人は多いみたいです。

せやけど僕は思い切って振りちぎって95ヤードにするほうが、もっと切れ味が鋭い止まる球になると思っています。

神戸GCは10本縛りですけど、もし7本縛りやったら、僕はまず58度のSWを外します。52度で十分やからです。あとはドライバーとパター、残りの4本のアイアンは奇数番手か偶数番手かのチョイスです。道具の使い方さえわかれば、スコアは14本を入れたのと同じか、もっとようなるんやないでしょうか。クラブチョイスに迷いがなくなりますからね。

10本縛りでドライバーを入れたエビさんが、神戸GCでどんなゴルフを見せてくれるのか、楽しみ にしています。道具使いの名人ですからね。

本数縛り、あなたは何を入れる?

「少なくても、道具の使い方さえわかればスコアは変わらん。クラブチョイスに迷いがなくなります」

奥田靖己

おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する

週刊ゴルフダイジェスト2021年9月14日号より