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【頑固オヤジのクラブ工房】Vol.144「飛ぶけど曲がる」が悩み。抑えて打ちやすいドライバーのチューン方法は?

ILLUST/Kochi Hajime

東京下町でゴルフ工房を営む店主がギアに関する悩みに答える連載「頑固オヤジのクラブ工房」。今回は「飛距離は出るけど曲がる」という悩みを持つお客さんに、フェアウェイをキープしやすいドライバーのチューン方法を指南。

前回のお話はこちら

Q. 置きにいってもミスにならない
スペックの選び方は?


ホームコースのシングルさんとラウンドしたとき、ドライバーの振り回しすぎを指摘されました。コントロール重視で置きにいけるドライバーのスペック選びとかチューン方法があったら教えてください。(41歳・HC11・会社員)


シャフトをいじるのは危険

梅雨が明けたら台風とか、傘がいらなくなったら猛暑日続きだし、なんだかな。まあ、テレビでオリンピックは楽しんだけどね。

「オヤジさん、ラクにプレーできるドライバー、っていうのはシャフトを少し軟らかくすればいいんですかね?」

この常連さん、当たれば270ヤードは飛ぶ、というのが自慢なんだが、なかなかシングル入りできないのが悩みのタネ。

「飛ばし屋、もう返上かい?」

「いや、先週ホームコースのシングルさんと回ったときに、ドライバーを振り回しすぎるからポカをやるんだ、と言われて……。で、加減したら低いスライスとか、逆にミスが出て。するとシングルさんから、ドライバーが難しすぎるんじゃないか、と」

「ああ、なるほどな。それで8割スウィングで、安定して打てるスペックのドライバーがほしくなったわけだ」

シャフトが硬すぎたり、ロフトが立ちすぎてると、加減して打つと球のつかまりが極端に悪くなることがある。引っぱたき屋がスリークォーター感覚で打てるようにするのに、スペックを見直すのは正解だと思う。

「だから、まずシャフトをSからSRにすればいいのかな、と」

「いや、そいつはダメだな。シャフトをいじると、スウィング全体に影響が大きい。せっかくカチャカチャ機能がついてるドライバーなんだから、まずはそこからいじるといいよ」

元々速く振れる力はあるんだから、シャフトはSのままで十分。加減してつかまらなくなるポイントは、フェース向きやロフト角の調整で間に合うはずだ。

“球をそろえる”打ち方を考える

「まず、シングルさんの意見を嚙み砕くことが大切だな」

「どういうことですか?」

「振り回しすぎ、ってのは球が左右に取っ散らかってることだろ。それをまとめるには、加減して打つだけじゃなく“一方通行”にしろ、ってこと。つまり”球をそろえろ”ってことさ」

アマチュアなら、軽いスライスとかがいい。フック系は軽く打とうとすると、チョロとか引っかけとか、逆に大ケガになりがちだからな。

「本当はロフトが十分にあるヘッドで、ホーゼルのカチャカチャ機能でロフトを少し立てると適度にオープンフェースになるから、軽いスライスを打ちやすくなる。で、少しプッシュ気味にスライスを打てればいい」

「……私のはロフト9度です」

「それを立てると、ぜんぜんつかまらなくなるからダメ。逆に、ロフトを寝かして、加減しても球が上がるようにするんだ」

「でも、少しフックフェースになりますよね。フェード系は打ちにくいんじゃ?」

「だから、加減して打つんだよ」 加減して打つ、ということはかなりつかまりが抑えられる。大型ヘッドだと、それだけで右に滑る危険性があるんだ。

「ロフトを増やしたぶん、ボール1個ぐらい右に置いて打てば、右に出やすくなるし、フックしなくなる。左へのミスを消すように、置きにいけるようになるよ」

ただし、高く上げようとあおったらダメ。フックフェースが生きて大フックになる。

「置きにいくわけだから、低く打つ気持ちは大切。だから、プラスアルファでチューンするとしたら、グリップの向きを変えてみるのもいいよ」

フックフェースを相殺するように、バックラインをウィーク方向に回して挿し直す。これが結構、効果的なんだ。

「後はテンポを加減しやすいよう、ヘッドに鉛を貼るのも手。まずはカチャカチャで様子見だな」

月刊ゴルフダイジェスト2021年10月号より