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森守洋「レッスンは受けるな」Vol.17 菅沼菜々のアプローチから考える、ライ角90度が違反な理由

KEYWORD 森守洋

堀琴音、柏原明日架、香妻陣一朗ら多くのプロを指導する森守洋が、自身が行きついたゴルフスウィングの本質を語り尽くす。

PHOTO/ARAKISHIN

>>前回のお話はこちら


File.17
クラブのライ角


菅沼菜々のアプローチは
公園のブランコ!?

今年のJLPGAツアーも開幕から3カ月が経とうとしていますが、今季も数多くの勝者が入り交じるとても面白い展開になっていますね。

そのなかで今回は5月に行われた新規大会『NTTドコモビジネスレディス』で通算4勝目を飾った菅沼菜々選手のアプローチとパッティングについて触れたいと思います。

トーナメント会場で実際に見た人やテレビで見て感じた人もいるかもしれませんが、菅沼選手はアプローチやパッティングでめちゃくちゃボールの近くに立って構えて、ハンドアップの状態で打ちます。
その近さは常識外と言ってもいいほどですが、実はこれは物理的にかなり理に適ったことをしているんです。


ゴルフのスウィングを公園にあるブランコと遊園地にある回転ブランコに例えて説明することがありますが、菅沼選手のアプローチはまさに公園のブランコ状態なんです。公園のブランコは、基本的には一定方向にしか動きません。

それに対して遊園地にある中心軸が回転する空中ブランコは、動き始めて徐々にスピードが出てエネルギー(遠心力)が上がり始めると、どんどん座椅子が上がり地面と水平に近いフラットな状態になっていきます。

実はこれ、ゴルフのスウィングと同じ原理でドライバーなどクラブが長くなって、スピードが出るクラブほどスウィング軌道はフラットになります。極端なアップライトでフルショットする選手がいないのは、それができないからです。でもスピードが出ないアプローチやパッティングに関してはアップライトで動かすことが最も安定するわけです。

アイアンを1本取り出して、グリップエンドを2本の指でつまむようにして持って、垂直に垂らした状態からヘッドをブラブラと揺らしてみてください。フェース面が変に開閉したりせず、安定することがわかるはずです。

要は垂直に近い状態で構えたほうが、フェースの向きは変わりにくいということです。ルール的にライ角が90度のクラブが違反になっているのは、これらのことが関係しているのかもしれません。要は簡単になり過ぎるということです。それに近いことを菅沼選手はアプローチとパッティングで取り入れているわけです。

クラブのことをどこまで考えているかはわかりませんが、菅沼選手は小さい頃からゴルフをやるなかで、アプローチとパターは本能的にこうやって使ったほうがやさしいと感じてきたんだと思います。
アプローチなんかは、こんなにヒールを浮かすの?っていうくらい浮かせてトウしか地面に触れていない状態で打ちますけど、そうすれば絶対にダフらないということを小さい頃から身につけてきたんだと思います。

だから菅沼選手は、クラブ視点でスウィングをとらえて上手くなってきたタイプだと言えます。

よくアプローチのレッスンでヒールを浮かせてトウで打つ方法は応急処置的な扱いで説明されることがあります。しかし、アプローチが苦手な人は絶対に試すべきだし、応急処置でもなんでもなくクラブ視点で考えるとめちゃくちゃ理に適った打ち方なんです。

これを機会に一度お試しください!

本能的に寄せやすい振り方とは何かを知っている菅沼選手

解説/森守洋

もり・もりひろ。1977年生まれ。静岡県出身。堀琴音、柏原明日架、香妻陣一朗ら多くのツアープロを指導。原理原則を謳い文句にゴルフスウィングの核心に迫る

週刊ゴルフダイジェスト2026年6月9日号より