【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.266「本番には“二重の保険”がかかる」
奥田靖己「ゴルフはつづくよどこまでも」
高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今回もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。
PHOTO/Tadashi Anezaki
>>前回のお話はこちら
- 高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。 PHOTO/GD写真室 >>前回のお話はこちら 人に何かを教えるいうんは難しいです。人にはそれぞれ理想とするゴルファー像があって、タイガーやマキロイのスウィングが理想でお手本にしているとか、まあできるかど……
たとえばハイドローなりローフェードなり、日頃課題にして練習していた球がラウンドの朝の練習場では打てていたのにコースに出るとまったく打てなかった。こんな経験をしたことは誰もがある思います。
その要因と対処法を、先月の初頭に行った合宿で弟子の加藤龍太郎プロに伝えたときのアドバイスをケーススタディにして説明します。
龍太郎プロはフェードヒッターで、合宿ではドローの習得が一つのテーマでした。もちろんドローも打てますけど、一緒に合宿に参加した木下彩プロのようなナチュラルで強いドローを打てるようにして、コース攻略の幅を広げるんが狙いです。
右側がOBのホールに来たときに龍太郎プロに、「とりあえずここはハイドローやな。いいドロー打とうとか思わんでええからな」と声をかけました。
ところが結果は右のOBを避ける中途半端なショットに。クラブを右の上に投げる感じで振っていかないといかんのに、逆に右のOBを避けるように左に振っていってしまったんです。
練習場では完璧なドローを連発しておったのに“何で”と思ったやろうね。練習場では何発も打てるけど、たとえ練ランでも「この一球」となった瞬間に伸び伸び振れなくなり、体のパフォーマンスは半分以下に落ちてしまう、これが要因です。
そこで、対処法です。その後、左がOBのホールに来たときに、龍太郎プロの1打目は左サイドギリギリに着弾。練習ですからね、2球目のティーショットを打つ前に「左のOBに入れるつもりで打て。そしたらしっかりしたスライスになるからな。スライスの厚みが違うから」言いました。
結果は1打目の60ヤード先のフェアウェイキープです。人間には危険を回避する能力が備わっているので「OBに打ち込もう」思うて打っても無意識にそれを避ける動きが出るもんです。
加えて最初に言ったように、本番は練習よりも動きのパフォーマンスが半分になるので、この“二重の保険”がかかってOBに向かって打ってもナイスショットになった。しかも振り切っているから飛距離は60ヤードプラスです。危機には勇気を持って立ち向かうことが大事なんやね。

「龍太郎プロ、勇気を持ってコースに立ち向かい、途中からええ球を打ってました」

奥田靖己
おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する
週刊ゴルフダイジェスト2026年3月24日号より


レッスン
ギア
プロ・トーナメント
コース・プレー
書籍・コミック




















