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森守洋「レッスンは受けるな」Vol.7 たった1つの動きで日本最高峰の試合に勝てる!

堀琴音、柏原明日架、香妻陣一朗ら多くのプロを指導する森守洋が、自身が行きついたゴルフスウィングの本質を語り尽くす。

PHOTO/ARAKISHIN

>>前回のお話はこちら


File.7
堀琴音の独自性スウィング


トップから頭を下げることで
タメを作っている

いよいよ今年も国内女子ツアーが開幕しましたが、今年も堀琴音プロと1年間向き合うと思うとゾッとします(笑)。今回はそんな堀プロのスウィングについてのお話です。 堀プロのスウィングを実際に見た人やテレビなんかで見たことがやってもらってある人は、おそらく「変わったスウィングだな~」と思った人がほとんどじゃないでしょうか。憧れるような格好いいスウィングではないかもしれませんが、彼女は日本でもっとも権威のある『日本女子オープン』に勝ったメジャーチャンピオンです。

そのなかでも、堀プロの動きで特徴的に見えるのはルーティンではないでしょうか。トップからの切り返し後に頭を地面につけるように上半身を屈曲させます。僕はこの動きを上半身と下半身を分離させると表現していますが、簡単に言うとタメを発生させるためにやってもらっています。 何が一般的かという議論は置いておいて、一般的な人はその分離を切り返しからダウンにかけて手首などの手元で行います。でも、堀プロは手首を上手く使えないノーコックで振るタイプなので、上半身を屈曲させることでタメを作っています。 

その動きを極端に意識してもらいたいので、お辞儀をするようなルーティンをしています。もちろんふざけていませんよ(笑)。人によってやりやすい動きというのがあるということをみなさんにはわかってもらえればと思います。 

ちなみにさらに進化系で、いまは「ヘッドに付いた“う〇ち”を地面で拭き取りながら打つイメージで振れ」って言ってさらに頭を下げてもらう動きを意識してもらってます。でもこれって3歳くらいの子どもにゴルフクラブを渡したとき自然と勝手にやる動作と同じなんです。なぜなら力がない小さい子どもにとってクラブは重いので引っ張るように動かすからです。 

ただ、この動きは決して飛ばせる動きではありません。堀プロも飛ばないことへの不満はあるようで「もっと飛ばしたい」って言うんですが、そもそも意図的に飛ばない動きをしているんだと常に説得しています。 僕が堀プロを見始めたときは、ドローを打とうとしていました。おそらく飛ばそうとしてスウィングを変えてダメになっていったんだと思いますが、元々の動きのクセから考えるとフェードの動きが合っていた。だから彼女のいいところを整理した結果、今のスウィングにたどり着いたのです。 

堀プロは自分の才能に気づいているのか気づいていないのかは分かりません。もっと飛ばしたいと文句ばっかり言いますけど、僕から言わせてもらえば彼女のスウィングは現代版の杉原輝雄さんだと思います。 

林の中から低い球で30ヤードを打つ針の穴を通すような動きがベースになったスウィングをしています。飛ばないけれど方向性はもちろんタテの距離感は恐ろしいほど正確です。それこそが堀プロの最大の武器。それを持って戦えばいいんです。 性格のクセだったり、動きのクセだったり、自分が無意識にやってしまうことって本当は強みであり、無意識にやってしまうことを抑え込んでしまうことのほうが怖いことなんです。 

クセは勝手に出るもので、それを毎回出しているほうが強いに決まっている。だから、変えてしまうことや型にはめてしまうレッスンは怖いんです。 

堀プロのスウィングは、おばちゃんがホウキで掃いているだけの動き。でもそれを強みだと思えれば、それだけでメジャーに勝てるということを知ってもらいたいですね。

トップから頭を下げるルーティンを行う堀琴音。これは彼女のクセを強みに変える最強のルーティンとなっている 

解説/森守洋

もり・もりひろ。1977年生まれ。静岡県出身。堀琴音、柏原明日架、香妻陣一朗ら多くのツアープロを指導。原理原則を謳い文句にゴルフスウィングの核心に迫る

週刊ゴルフダイジェスト2026年3月24日号より