【桜美式“エイトフィンガー”】<前編>テンフィンガーが進化! 力みが消えて、振りがスムーズになる魔法のグリップとは?
週刊ゴルフダイジェスト
数々のジュニアを育ててきた「桜美式ゴルフ」の代名詞といえば時松源藏プロたちが使う「テンフィンガーグリップ」。しかし、現在はそれがさらに進化し「エイトフィンガーグリップ」となった。いったいどんなグリップで、どんな効用があるのか?
PHOTO/Shinji Osawa、Norimoto Asada


解説/篠塚武久
しのずか・たけひさ。福岡市で「桜美ゴルフハウス」を主宰。福岡大学の大石迪夫教授と作り上げた「OSゴルフ理論」で多くのジュニアが結果を出す。18年レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞
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- 数々のジュニアを育ててきた「桜美式ゴルフ」の代名詞といえば時松源藏プロたちが使う「テンフィンガーグリップ」。しかし、現在はそれがさらに進化し「エイトフィンガーグリップ」となった。引き続き、その効用について教えてもらおう。 PHOTO/Shinji Osawa、Norimoto Asada 解説/篠塚武久 しのずか・たけひさ。福岡市で「桜……
エイトフィンガーなら
自然と力みが抜ける
「エイト」とは数字の「8」。右手の人差し指と中指の間にシャフトを置き、「8本の指」で握るイメージのグリップである。
今夏の日本ジュニアで桜美ゴルフに通う高校生3人を直撃した。3人のグリップをよーく見てみると、確かにクワガタ虫のような形で握っている。しかし、振っている姿にはまったく違和感はなく、むしろスムーズでダイナミックなスウィングだ。
加藤蓮くん(沖学園高1年)がゴルフを始めたのは11歳。最初から「エイトフィンガー」だったので「これが普通」。
「右手を使わないので、自然に振り抜けている感じがします。かといって、飛ばないわけではないんです。手を使わないから体が使えてインパクトにエネルギーを集約できる。だからボールが飛んで曲がりません」
大地陸遥くん(沖学園高3年)は、ゴルフを始めた7、8歳頃はテンフィンガーだったが、「もう戻さないと思います。ケガもないですし」ときっぱり。体は決して大きくないが、ドライバーで290~300ヤード飛ばす。
「これで握ると“クラブが飛んで行きそう”という大人がいますけど、そのイメージこそがいいんです。だって力を抜くことが目的なんですから。力が入るとミスするし絶対飛びません」
久我健心くん(熊本国府高3年)は、最初はオーバーラッピングで握っていたが、小学生時代に左手の甲を疲労骨折、体にやさしいスウィングを求めて12歳で桜美式の門を叩いた。
「振りやすくて曲がり幅が減りました。力が抜けて軽く振れるのでケガもないですね」
「エイトフィンガー」について、ジュニアたちはしっかりした受け答えでそのメリットを語ってくれた。

左から久我健心くん・加藤蓮くん・大地陸遥くん。毎年霞ヶ関CCで開催されるジュニアの日本一決定戦「日本ジュニア選手権」。この大舞台で“桜美ジュニア”たちは、エイトフィンガーグリップでクールに戦っていた!
「誰もがラクに上達するエイトフィンガーでゴルフが変わるし、ゴルフ界が発展するはずです。子どもたちには『皆が、ゴルフ改革者の1人になるんぞ』といつも伝えているんで、そんな答えが出るんでしょうね?」と考案者である篠塚武久コーチは語る。
「一番大きな効果は、右手を3本の指と2本の指に分けるので、“握らなくなる”こと。だから体全体がリラックスし、筋肉に頼らず振れるからスムーズなスウィングになり故障しません。皆さんはグリップは“握る”ということしか考えていない。それが力みを生み、スウィングはもちろん、人間をすべて硬くしてしまうんです」
「クラブが飛んで行きそう!このイメージが大事なんです」(大地)
大人が“怖い”と感じるイメージこそエイトフィンガーのメリットだという。「だって力を抜くことが目的なんですから。ケガもしなくなりますよ」


「僕はこの8フィンガー。振りやすくて曲がり幅が減りました」(久我)
他の2人とは少し違い、親指と人差し指を握らないエイトフィンガー。「力を抜くのがこのグリップの目的。これでも同じ効果があるんです」
ゴルフの天敵
“ねじり”がなくなる
「皆、スウィングにおいて、疑いもなくねじりまくっています。ねじると体が疲れるし、故障にもつながります」と篠塚氏。親指と人差し指は肩や腕ともつながっていて、運動神経が集中する指でもある。
「2本を外すことで右手が脱力し、ねじりやブレーキがなくなる。もちろん、左右の手は重ねて持たないこと。これもねじりを生みます」
エイトフィンガーは左右の手が別々に動く。これにも意味はある。
「左手に役割は必要なくて、ただ持っているだけでいい。そのうえで右手を脱力させて振るんです。ゴルフには『ああしなさい、こうしなさい』が多いですが、エイトフィンガーは理屈ではない。エイトフィンガーにすると必然的にねじりがなくなります。ねじりがないから常に芯に当たり、再現性が高くなるんです」
ゴルフの天敵、“ねじり”がなくなると、飛んで曲がらない。
「ねじりがあると再現性が悪くなり、プレッシャーがかかる場面では不安からリズムも早くなり、急ぎ打ちになって曲がったりミスが出る。ねじりは自分ではなかなか気づきません。だから、エイトフィンガーという“仕組み”を使って、必然的にねじりを生まないスウィングにする。それに人間、不器用にしたほうがプレッシャーには強いんです」
これこそ、桜美式ゴルフが追求する「体にやさしい、ラクに上達できるシンプルスウィング」だ。「100を切れないゴルファーは多いですよね。難しく考えず、グリップを変えるだけで、きっと90を切れるはずですよ!」
8フィンガーを研究し続ける弟子が語る
「グリップは“握る“ではなく“支える”
スウィングは“振る”ではなく“引く”」
50歳、ゴルフ歴40年の中島さん(仮名)はオーバーラッピング、テンフィンガーと進み、現在のエイトフィンガーにたどり着いた。
「ずっとベタ足でスウィングしていたし、GGスウィングにも取り組んでいてシャローイング、ノーローテーション、体を伸ばして地面反力を使う……と複雑なことに取り組んできた。でもこれには運動神経が必要です。篠塚先生はシンプルなことしか言わない。話すごとに納得していき、先生がエイトフィンガーを提唱したので僕も今年初めに踏み込んだのです。
最初は何十年もやってきたスウィングから“ねじる”要素が消えなかった。でも、足の使い方など、人間本来の動き方を学んで実践するとゴルフがどんどん簡単になっていく。グリップは握るものではなく支えるものとなり、脱力できるようになった。するとスウィングは振るのではなく足を使って引くほうがいい、となる。1つ1つ実践していくなかで、振る感覚はなくなってきました。無意識にボールに当たるようになってきたんです」


右の中指・薬指・小指でボールが当たった衝撃を支える。「3本で支えるだけでフェース面が変わらないので右手1本で打てるんです」
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- 数々のジュニアを育ててきた「桜美式ゴルフ」の代名詞といえば時松源藏プロたちが使う「テンフィンガーグリップ」。しかし、現在はそれがさらに進化し「エイトフィンガーグリップ」となった。引き続き、その効用について教えてもらおう。 PHOTO/Shinji Osawa、Norimoto Asada 解説/篠塚武久 しのずか・たけひさ。福岡市で「桜……
週刊ゴルフダイジェスト2025年12月2日号より


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