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【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.202「“ちょうどの距離”より“間の距離”」

高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。

PHOTO/Masaaki Nishimoto

前回のお話はこちら

多くの人は、ゴルフは“ちょうどの距離”を打つもんや思っています。それでいつも、PWでちょうど、7Iでもちょうどの距離ばかり熱心に練習しとるわけです。

でもね、そんなんは1日のラウンドで2回くらいですよ。あとは全部、“間の距離”を打つことになるんです。グリーンには傾きがあるわけで、フックで間の距離を打って傾斜に当てていくからピンに寄るんです。いつもちょうどの距離のフルショットを打つ練習ばかりして、間の距離を打つ技量や傾斜を利用するという感覚がなかったら、寄せることはできんでしょう。

普段の練習ラウンドで若い選手と回ると、僕なんかティーショットで50ヤードも70ヤードも負けますけど、上がったときのスコアでは負けません。


彼らはちょうどの距離を真っすぐ打つ練習ばかりする。そんな練習ばかりして、「いろんな球を打ってスウィングがバラバラになるんが怖いんかな」と思うけど、でも「元々バラバラやったんちゃうんかい」いう話ですわ。

試合で多くのプロはヤーデージブックを持っています。プロでもないと不安なんやから、アマチュアの人なんかはなしにラウンドできんのでしょう。でもね、それホンマにいるんか、いうことなんです。

ヤーデージブックの数字を見ることによって、“ちょうどの距離”を打つことにとらわれてしまう弊害ってありますから。本当は間の距離で手前から攻めたらいいのに、距離を見て無理に番手を上げて“ちょうどの距離”を打とうとしてミスすることは多いもんです。

多くの人は、数字をあてにしてやったほうが上手くいくと思うとる。38ヤードのアプローチを、キャリーで28ヤード打って、10ヤードは転がす計算して緻密にやれる自分が偉いように思うているんです。

でもね、やっぱりゴルフ場は真っ平らな場所なんて少ないわけで、平面上での計算の通りにピッタリといくことなんて少ないんです。

普段から”間の距離”を打つ練習をすること。そしてラウンドではヤーデージブックを持たんでラウンドすること。この2つをやることで、ゴルフはうんと上手くなります。

「ゴルフは、“ちょうどの距離”より“間の距離”でっせ!」

奥田靖己

おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する

週刊ゴルフダイジェスト2024年11月19日号より