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【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.188「品のある素振り」

高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。

PHOTO/Masaaki Nishimoto

前回のお話はこちら

素振りには功罪がありますが、まず、スウィングを作るには素振りが一番です。

僕は若い頃に、毎日500回以上素振りをしておりましたし、プロになってからも素振りは欠かさずやっておりました。この素振りが僕のゴルフの基軸になっているのは間違いないです。

このときに、「ピャン!」いう甲高い音が左側で鳴るように振るんですけど、2回は続いて同じような音が出ても、3回目にはちょっと「ブン」という鈍い音になったりと、3回連続して同じ音にならんのです。


素振りで同じにならんのやから、実際のショットで同じような球が出るわけがない。このときに盛んにやったんが、クラブをちょっと上げて横に振る打ち方で、これが師匠の高松志門さんに教えてもらった「ゆるゆる水平打法」です。

ところが、ラウンド中にやる素振りには注意が必要で、素振りをしていると力が入ってくるんです。

よくおりますよね、コースでブンブンとやる素振り。これは品がないし、やるほどに力んでしまうことが多い。僕なんかは、打つ前に軽く一度やりますけど、クラブを感じようとしている素振りで、これはゆったりして品がある。

よく、打つ前の素振りでこれから打つ球筋のイメージをして、実際のショットでそれを再現するいうやないですか。これも意外とよくないんです。たとえば、僕は最近パターで素振りをせんようにしてますけど、パターで素振りのように打とうとする、これがあかんのですわ。

パッティングの前にする素振りは大抵、「このくらいの振り幅やろ」とか「頭残して」とかになるわけです。今度、打つときになると、今やったことを再現しようとする。要するに、「振り幅はこれくらい」「頭を残す」こういう形の“再現”を台本通りにやろうとするんです。

そうなると、イメージとしてせっかく湧いているラインやタッチいうのは二の次になって、打ち方のイメージを丁寧にしようとするわけです。これやったら入らへんです。

パットにしろショットにしろ打つ前の素振りは、ヘッドの重みを感じながらひと振りし、後は打つだけ。コレですわ。

「素振りで育ちました。フォローでピャンです!」

奥田靖己

おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する

週刊ゴルフダイジェスト2024年8月6日号より