【名手の名言】大迫たつ子「試合から帰ると、クラブとシューズを綺麗に磨いて床の間に並べ……」

レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回は、ツアー45勝を挙げ永久シードを保持する大迫たつ子の言葉をご紹介!

試合から帰ると
クラブとシューズを
綺麗に磨いて床の間に並べ
ゆっくり休んで疲れをとって下さい
と声をかけてから、自分も休むんです
大迫たつ子
女子プロ草創期から女王として君臨した樋口久子に対し、次代を担う岡本綾子と実力を二分したのが、大迫たつ子である。岡本は海外に雄飛したが、大迫はあくまで国内の試合に専念した。
農家の11人兄妹の末っ子として育ち、貧しい幼少時代を送った。中学を卒業すると集団就職で関西の宝塚GCへ就職。キャディの業務をこなしながら、定時制高校に通い、その合間にボールを打ち込んだ。
155cm、62kgの小柄な体ながら、19歳でプロテストに合格したのだから、よほどの才能と人並み外れた努力があったのだろう。
表題の言葉は、1977年に大迫が7年ぶりに賞金女王になった頃の、それだ。
苦労人であったからこそ、周りの人に感謝することを常に忘れなかった。自分の出身小・中学校、老人ホーム、敬老会などに、折にふれ寄付や贈り物をしていた。自分が使うクラブにさえも感謝の気持ちを忘れなかったのである。そんな大迫をファンやマスコミは親しみを込めて“たっちゃん”と呼んだ。
「ひとつの技術をつかむには3、4万発打って体で覚えないと」というのも口癖だった。
小柄な体で攻撃的なゴルフを展開するのだから、やはり体に無理を課していたのだろう。股関節を痛めて、結局それが致命傷になり、22年間のツアー生活の幕を閉じた。
その間、日本女子プロ4勝、日本女子オープン2勝を含むツアー45勝、他5勝。賞金女王3回の成績は、頑張り屋さん・たっちゃんをして満足たらしめる数字であったろうと思うが、本人はいかに。
大迫の生き方は、感謝の心を持ち続けることの大切さを教えてくれる。道具や周囲の人々への感謝を忘れず、謙虚な姿勢で努力を重ねることが成功につながるのだと、彼女の人生は物語っているようだ。
■大迫たつ子(1952~)
おおさこ・たつこ。宮崎県の農家に11人兄妹の末っ子に生まれる。中学卒業後、集団就職で関西の宝塚GCにキャディとして就職。その時はプロになることなど思ってもみなかった(ゴルフ場は男子だけにプロの道を開けていた時代だった)。しかしメンバーの中に薦める人があって、大迫は定時制高校に通いながら、仕事の合間にゴルフを覚えていった。19歳でプロテスト合格。155cm、62㎏と小柄ながら持ち前の頑張りで徐々に頭角をあらわしていく。22年間のツアーでメジャーの日本女子プロ4勝、日本女子オープン2勝を含む45勝、未公認試合5勝。賞金女王3回。93年、股関節の故障で引退を余儀なくされた。