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【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.801「ポジティブな人って言い訳しないと思いませんか?」

米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。

前回のお話はこちら


普段はそんなことないのに、自分はゴルフだとどうしても言い訳してしまうことがあります。プロは言い訳などしないと思いますが感情をコントロールする訓練などしているのでしょうか?(匿名希望・44歳・男性)


初めにお伝えしますが、プロゴルファーとはいっても普通の人間です(笑)。

あなたは、普段はそんなことないのにと言っていますが、ゴルフに限って言い訳が多くなる人、確かにいらっしゃいます。

きっと仕事などゴルフ以外では自信を持っているのに、ゴルフだけは思うようにプレーできず失敗が多くなってしまうのかもしれませんね。

あなたの頭のなかには、その思いがあるからこそ少しのミスでも必要以上に気になり弁解したくなるのではないでしょうか。

そもそも、言い訳とは何でしょうか。

ある辞典を開いてみたところ「事情を述べて、自分が悪くないことを説明すること。申し開き。弁解。弁明」とありました。

言い換えるなら、自分の過失や不祥事の原因や経緯を説明して、その結果について自分には責任がなく正当性があることを主張するものとも言えますね。


また、言い訳とは自分の陥った事態がいかに不運であるかを訴え共感を得ようとするものでもあります。

つまり自分の犯したミスに対する反省はない、ということになりますね。

こうした言い訳をすることがプレー中に行われるとすれば、一緒にラウンドするプレーヤーにとっては正直とても迷惑です。

ラウンド中、ある人が言い訳をし始めたとき、ほかのメンバーはどう反応するでしょうか。

とりあえず話を聞いて「大変だったねぇ」と同情するか。

「それは自業自得だ」と突っ込むか。

それともハナから取り合わずに無視するか……。

わたしは以前、相手の言い分に耳を傾け最後に「それで気が済んだ?」と聞き返したことがあり、相手はきょとんとした顔になって言葉も出ないようでしたが、ちょっとイケズだったかしら(笑)。

その人にしてみれば、きっと言い訳を聞いてくれるのは誰でも良く、相手の事情などお構いなしなのです。

言う人も聞く人も言い訳はどちらにとっても発展性のない不毛なことです。

自分の責任じゃないと認めてもらえたにせよ、スコアが良くなるわけではありませんし、聞かされた側は単なる時間のムダです。

ミスを後ろ向きに言い繕うネガティブな行動ですから、言うのも聞くのもポジティブなことはありません。

ただ、こんなミスをしてわたしって何てバカなの、と気持ちを切り替えたいときはあります。

わたしはプライベートで回る時、「ちょっと言い訳させて!」と宣言をして笑わせる時もあります。

もちろん、同組で一緒に回っている相手との信頼関係にもよりますが、相手の気持ちを考えているかどうか、気遣いの問題ですよね。

それは言い訳に限らず状況に応じた話題の選び方にも通じます。

ラウンドを終えた後のレストランで自分の18ホールを懇切丁寧に再現するゴルファーも少なくはありません。

プロの場合、コースの隅々まで知り尽くしていることも多いので、解説がより多弁になってしまうこともあります。

こういう話は、実は自慢や愚痴を交えた自分物語を自己満足として一生懸命に話しているだけで、こういう話をする人はあらかじめみんな分かっていますから、誰もまともに話を聞いていませんよね。

ついつい口に出る言い訳が何のメリットもないことは、プロでなくてもおわかりのはずです。

それでも言いたい人は、言い訳をやめない言い訳でも考えてみるのはいかがでしょうか?(笑)。

「言い訳したい気持ちはわかりますが、相手の気持ちを考えましょうね!」

週刊ゴルフダイジェスト2024年2月13日号より

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