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【名手の名言】ヘイル・アーウィン「能力は同じでも、それを上手く使うか使わないかの差が結果となって表れる」

レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回は70~80年代に活躍し世界ゴルフ殿堂入りも果たしているヘイル・アーウィンの言葉を2つご紹介!

アーウィンのシニア45勝の大記録はいまだ破られていない


能力は同じでも
それを上手く使うか使わないかの差が
結果となって表れる

ヘイル・アーウィン


この言葉は、アーウィンが45歳で全米オープン3勝目(最年長記録)を果たしたあと、ゴルフ通の作家・伊佐千尋氏と対談した際に発せられた。

アーウィンは幼少の頃から、ゴルフだけでなくアメフトやバスケット、野球などもたしなみ、スポーツ万能で、身体的能力の高さはコロラド大学の頃から評価されていた(学業も優秀で大学も卒業している)。

しかし、どんなに高い身体能力を持っていても、それを生かせなければ宝の持ち腐れ。ことゴルフに関しては、ただ速くクラブを振ればいいわけではなく、球を狙った場所に運ぶために特殊な形状のクラブを使いこなさなければならない。

さらにスコアを守るためのマネジメント力や、状況に応じて最適なクラブ&打ち方を選択する判断力、微妙な距離のパーパットを決め切る精神力など、あらゆる力が求められる。

アーウィンのような高い身体能力を持った人はほかにもいるだろうが、全米オープンを3度も勝てる人は極めて限られている。シニア45勝といういまだ破られていない大記録もまた、身体能力の高さだけがすべてでないことを物語っている。


心が弱いゴルファーほど
無謀な攻めをする

ヘイル・アーウィン


アーウィンほど、自虐的なまでに忍耐強いゴルファーはいなかったのではないか。全米オープンに3度勝っていることも、それは物語っている。

ご存知のように、全米オープンでは優勝スコアがパープレーを目安に設定される。そのコース設定は、プレーヤーに徹底的に忍耐を強いる。ただのワンストロークも甘えは許されない。

そこが他のメジャーと違うところで、全米オープンがその年の実力世界一を決める試合だといわれる所以だ。

アーウィンは、学者のような柔和な顔ながら、困難な状況になればなるほど真価を発揮し、競り合いにめっぽう強く「羊の皮をかぶった狼」と称せられた。そのアーウィンが言う。

「強気な攻めとは弱い心の裏返しだ」と。

もちろん、勝負所で果敢に攻めることは大事だが、とくに全米オープンのようなタフなセッティングでは、リスクを負って攻めた1打がミスになった場合の代償が極めて大きい。攻めていいかどうかの状況を的確に見極め、ときには徹底的に守る“勇気ある撤退”も必要になる。闇雲に攻めだけのゴルファーは、百戦錬磨のアーウィンの目には「心が弱い」と映ったわけだ。

■ヘイル・アーウィン(1945年~)

米国ミズリー州生まれ。子供の頃からシーズン・スポーツに親しみ、どれも非凡な才能を発揮した。コロラド大学ではゴルフを選び、卒業後すぐPGAツアーに参加。全米オープン3勝を含むツアー20勝を挙げている。シニアでは2009年までに45勝、賞金王にも3回輝いている。柔和な風貌ながら強靭な精神力を発揮することから、「羊の皮をかぶった狼」と形容された。92年、ゴルフ殿堂入り。

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