12月で私も60歳を迎えました。干支は寅年。昔は私はタイガーだ! と友人に言ってゴルフもめきめきと上達する予定だったのですが、錯覚だったかもしれません……。そんななか、先日友人たちに誘われて還暦ゴルフコンペを開催してもらったのですが、用意されていたのが赤一色のコーディネート。やめてくれよ〜とも思いましたが、祝われるのはやっぱりうれしいものですね。

ILLUST／アオシマチュウジ

【林家正蔵の曇りのち晴れ】Vol.285「史上最高の名店はどこ? の巻」

生まれ年はタイガー・ウッズの寅年

還暦を迎えた。1962年の12月生まれ。ちなみに寅年である。タイガー・ウッズが全盛期の頃は、俺も虎だ、タイガーだと、心の中でゴルフがすごく上手くなると夢を描いていたのだが、どうやらそれは錯覚のようであった。

ゴルフダイジェストの読者の中には、私の年齢よりずーっと年上の先輩もおり、よく特集でシングルさんの練習法なんていうページが組まれると、必ず70歳代の方がいて、しかも平均ストロークがワンオーバーなんていう強者。しかも筋肉がモリモリしているのだ。

私が所属しているゴルフクラブにも御年92歳の先輩がいて、82歳のときにエージシューターになっているのだから頭が下がる。しかし、さすがに60歳ともなると、老いを感じる。

まずは食事である。ラーメンが大好きで若い頃は、と言っても40歳手前まで、二郎系、家系の大ファンであり、おいしいという噂頼りにいろいろと食べ歩いていた。背脂、太麺、肉増し、にんにく増し。どうかすると一日に二軒はしごなんてすることもあった。

年を重ねるにつれて小食になっていった

ところが先日、久しぶりにこってり系の店に行ったのだが、隣で増し増しの大盛りをがっつり食している若者の姿におびえてしまい、小さい声で小盛りを注文し、それでもそのストロングな味とボリュームにその日一日、胃もたれをしてしまった。だから近頃は、年齢に合わせて醤油味のあっさりした中華そばにハマっている。

50代前半によく行っていた浅草のラーメン屋で、いつも食べていたラーメン、半チャーハンセットもきつくなった。ここではラーメンの麺を先に食べて次に具をいただく。つまり、メンマ、ナルト、チャーシュー、青菜をとっておき、チャーハンのお供にして、パラパラの米粒とスッキリスープで食す。ラストはスープを白飯にかけて、茶漬け風にしてたいらげるのが私の流儀。

ところがラーメンの麺をたいらげた腹が、近頃いっぱいになってしまうのだ。しかしチャーハンは食べたい。ここのチャーハンは、焼豚、卵、ネギにナルトを細かく刻んだものが入っている。このナルトがとてもポイントで、町中華の名店ならではのトッピングなのだ。色は濃すぎず、薄すぎず。味付けはしっかりしていてパラパラのご飯に味がしっかりコーティングされている。半チャーハンで十分量はあるのだが、いつも平気で完食していたので、55歳を過ぎてこのチャーハンの最後の2口、3口が辛くなってきた。

近頃では、ラーメン半チャーハンセットの注文の折、小声で「ラーメン、麺半分でお願いします」なんて言い出す始末になっている。

真っ赤にコーデされた還暦コンペ

さてゴルフとなると、道具のおかげで80台をキープしておりますが、先日もスリーパットがなければ、70台という調子のよさだ。そりゃ90台を叩くこともたまにはあります。その時はたいてい初めてのコースだったり、気を使う客人との初めてのゴルフだったりする。

先日、「おい、還暦ゴルフのコンペやらないのかよ」と友人から連絡がきた。そういえば何度か還暦コンペや喜寿コンペなんていうイベントに参加させていただいたこともある。よくあることなのだが、還暦コンペの主役となると赤のちゃんちゃんこや水戸黄門の頭巾の赤いやつをかぶったり、真っ赤なセーターやパンツ、ソックス、シューズと人間赤唐辛子みたいなものを着せられる。

そんなとんちきな格好はごめんこうむりたい。だから嫌だと断った。それでもしつこく友人がやろうやろうと誘ってくる。まだまだコロナも収まっていないから、多勢のコンペはやりたくないと言ったら、いつものゴルフ仲間1組で行こうじゃないかと話がまとまった。

しかし、還暦とかの集まりは祝われる人が、集まったゲストを振る舞わないと縁起が悪いと聞いていたので、プレー代は俺に出させてくれとお願いした。

さてプレー当日、悪友たちとコースに着き、ロッカールームで着替えていると「おい、今日のお前のウェアはこれだぞ」と、赤いセーターに赤いポロシャツ。そして赤いパンツに赤いソックス、しまいにはシューズも赤だった。悪友たちの還暦祝いだ。せっかくそろえてくれた物を無下にするのも悪く、とうとうその日は、全身赤いゴルファーと化身した。ありがたいことにすれ違う見知らぬ人が「還暦おめでとうございます」と何度も声を掛けてくださった。

さて、ティーイングエリアに立つと、「おい、今日のボールはこれだ」と真っ赤なボールをくれた。OBばっかで何個あっても足りないぞと言ったら、「心配するな!　3箱持ってきたから」とのこと。ちなみにその日のスコアは96。100は叩かなくて済んだ。しかし、思い出になる一日となった。還暦コンペを開いてくれた友よありがとう。

60歳　真っ赤なコーデで　祝われる

月刊ゴルフダイジェスト2023年2月号より