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【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.919「1センチ1ミリの毎日の積み上げをできる人間に成長と成功が待っています」

米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。

TEXT/M.Matsumoto

>>前回のお話はこちら


調子の波は誰にも起こることですが、下降気味の時に注意すべき点はなんでしょうか。初心者でも今日はリズムがいいと感じる日がありますが、意識してリズムを良くする方法はあるのでしょうか。(匿名希望) 


好不調の波は誰にでもあります。

上がり調子の時と下がり気味の時で注意すべき点は何か。

自分でその波をコントロールすることはできるのかどうか。

それができるのならば悪い流れに入った時のリズムを良くする方法はあるのではないか。

毎日練習を重ねて少しでも自分のレベルを向上させようと努力して、上手くいく日もあればそうでないときもある。

だからこそ自分の体調やショットの調子のバラつきが気になり、その波を抑えることができるのか。

ですがこうした疑問を解消する正解はおそらくありません。

それは算数の公式で導かれる種類の問題ではなく、人間が営みのなかで直面する課題であり、一定の答えや解決法が用意されているわけではないからです。

そして同じ疑問は人によって反応が違い、その課題の乗り越え方もさまざまということもあるでしょう。

基本は同じでもスウィングはゴルファー各人というのと似ています。当人なりの答えには、練習や成長を続けている途上のどこかで不意に遭遇するものだと思います。


その答えを誰かに教えてもらえたとしても、そのときは分かったような気になってもほんとうには理解できず身にも付かない。

しかし突如として“これか!”と直感的に体で分かるときがある。

それがヒラメキであり成長の瞬間、進化の成功体験だと思います。

もう少し頑張れば、いま疑問に思っていることや思い通りにできなくてイライラしていることが解決され、新たな世界が開けるようになるでしょう。

練習の成果はすぐに出るものではなく、スキルの習熟度は右肩上がりに上昇していくわけでもなく、そこには向上期と停滞期の波があり、少しずつしか進んでいかない。

スポーツ技能に限らず、すべての成長の行程はらせん状の曲線を描きながら前進するものです。

でもどこまで行けば次の段階へ進めるか、どれだけ耐えれば次のステップに到達するか見えないから未来を疑い悩んで迷います。

そのため練習や課題に取り組むことをやめてしまい、答えが得られないどころか、これまでの練習や努力がすべて無駄になってしまいます。

さらに現代はコスパやタイパなど効率が求められる時代です。

分からないことはスマホで解決できる便利な環境が整っているため、地道にコツコツやっていくのは古臭く効率の悪いやり方に見えるかもしれません。

だから悪気もなく「好不調の波をコントロールする方法を教えてください」といった質問が多くあるのも時代の流れなのかもしれません。

レベルに関係なく先の見えない状況は不安ですが、日々の努力の経験があるとないとでは違います。 努力の経験がある人は、停滞期が永遠に続くものではないことを知っているからです。

だからこれまでやってきたことの意味と価値を信じてグッと耐えることができると思います。

今はすべてにおいて環境が整い恵まれているだけに、逆に悩んだり迷ったりする人の数も増えているように感じます。

わたしがアドバイスするとしたら、まずは1カ月、3カ月、半年、1年といった区切りに達成したい目標設定をすることです。

たとえば「9番アイアンで安定した球筋が打てるようになること」が3カ月でクリアできれば次の目標設定に移る。

時間割は人それぞれですから焦る必要はありません。

自分のペースで熱意を持って続けることが大切なことです。わたしがゴルフを始めた当初は、同じことを繰り返す退屈な練習でさえ、楽しくて仕方なかった記憶があります。

毎晩、翌日の練習が待ち遠しかった。

たった1ミリの進歩でもいい、そうした成功体験を実感できれば、まずは自分で考える力が自然と付いてきて、自分の力で打開できる力が少しずつ付いてくると思いますよ。

「やればやるほど上手くなるから毎日の練習はワクワクであふれているはずですよ!」(PHOTO by Ayako Okamoto)

週刊ゴルフダイジェスト2026年8月11日号より