いま“インドア練習場”が第2次ブーム!?暑さを避けて賢く上達! 練習するならインドアが最強なワケ
毎年のように“猛暑”がニュースになる日本列島。ゴルフに行きたくても二の足を踏んでしまうほどの暑さが連日続く昨今において、強い味方なのが「インドア練習場」。その現状や活用法、ゴルファーにとってのメリットについて調査した。
PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/ドライビングレンジ東新宿、浜松町ゴルフ倶楽部
インドアの第2次ブームが来ている
高温多湿な日本の夏。猛暑日となれば「不要不急な外出は控えてください」と熱中症警戒アラートが出るほどだ。そんな炎天下で1ラウンドとなると、なかなか厳しいものがある。だけど、ゴルフはしたいし、練習もしたい……。そんなゴルファーに朗報なのが、昨今の「インドア練習場」の増加だ。シミュレーションゴルフのリーディングカンパニー、ゴルフゾンジャパンの福川諒さんに話を聞いた。
「国内で2000台近く、シミュレーションゴルフを設置させていただいていますが、昨年ぐらいから注文や問い合わせが増えています。当社では『インドア練習場・第2次ブーム』と、とらえているほどです」
ちなみに第1次ブームは、カラオケと同じようにお酒や食事が楽しめる「ゴルフバー」が流行した約10年前だ。当時、お酒を飲みながらゲーム感覚でゴルフが楽しめると人気を集めた。今回の第2次ブームは、どこが違うのか?
「今のブームは、ほとんどがリアルゴルファーばかりの利用です。ゴルフバーのときは未経験者も多く、シミュレーションゴルフは二次的な要素でしかありませんでした。でも今は上達志向の強いゴルファーが本気で練習する施設、というふうに変化しています。まさに“インドア練習場”として利用されているのです。東京や神奈川、大阪など、都市部でインドア施設が増えていますし、今後も増えていくと予想しています」
そもそも都市部で屋外練習場を新設するのは無理がある。土地がないからだが、インドア練習場ならまだまだ発展の余地がありそうだ。では、第2次ブームの要因はどこにあるのだろうか?
「いちばんはシミュレーションゴルフの進化です。ハイスピードカメラを使った弾道計測は高価な弾道測定器並みの精度があります。正面と後方から動画撮影ができますし、動画に線を引いてスウィング分析も可能です。スマホのアプリと連動させれば、データの共有ができますし、保存するのも簡単です。さらにラウンドモードでは、よりリアルなプレー体験が可能になりました。そういったシステムの進化が大きいといえます」
インドア練習場といえば、目の前のネットに向かってただボールを打つだけ、と思っているゴルファーも少なくないだろう。だが、最近のインドア練習場はスクリーンが完備されたシミュレーションゴルフが主流になりつつある。当然、インドア練習場ならエアコンが効いているので、涼しい施設で思う存分練習できるのは、ゴルファーにとっても嬉しい限りだ。
「当社の直営店『ドライビングレンジ東新宿』では、会員登録なしでも利用できるビジター料金が設定してあります。ぜひ体験してもらって、その魅力やメリットを実感してほしいです」
【第1次ブーム】2010年前後
お酒や食事が楽しめる「ゴルフバー」が大人気
2010年前後からブームとなった「ゴルフバー」。お酒や食事が楽しめる施設のため、男女の飲み会やコンパの場として多く利用されていた。完全個室やソファがあるなど、練習場という雰囲気はあまりなかった
【第2次ブーム】2021年~
上達志向のゴルファーが集まるインドア施設が増加
利用するのは熱心なゴルファーが中心。しかも練習目的のため、上達志向も強い。インドア練習場は都市部に多く、ほとんどが年会費による会員制を導入している。予約できる、すぐに行けるなど、利用者のメリットも多い
都市部を中心にインドアが急増中
アウトドア練習場 | インドア練習場 | |
東京都 | 157(−2) | 476(+88) |
神奈川県 | 119(−5) | 124(+24) |
埼玉県 | 132(−1) | 68(+21) |
千葉県 | 119(−3) | 68(+12) |
大阪府 | 71(−1) | 142(+29) |
兵庫県 | 108(−1) | 54(+11) |
「インドアは練習に最高の環境。
計測器を使えば確実に上手くなります」
解説/吉田一尊
小誌でレッスン企画を担当するほか、自らクラブもプロデュース。わかりやすい理論的なレッスンには定評がある。5月に自身が初プロデュースしたインドア練習場「浜松町ゴルフ倶楽部」がオープン
インドア練習場は、どう活用するのが賢いのか? 5月に自身がプロデュースしたインドア練習場をオープンさせた吉田一尊プロによると、
「実はインドアのゴルフスクールはけっこう多いんです。ですが、それを利用しているのは全ゴルファーの3割程度です。あとの7割はそもそもレッスンに興味がありません。コロナ禍もあってゴルファーが増えている今を考えると、とくに都市部で練習場が少ないわけです。そこで考えたのがインドア練習場でした。全打席に最新のシミュレーションゴルフを導入していますが、練習するならインドアのほうが断然メリットは大きい。なぜなら、今の機器は弾道計測ができますからリアルな弾道データを取れます。屋外の練習場は打った球筋が見えるので確かに気持ちよさはありますが、自分が何ヤード打ったのか? 球の高さは? スピン量は? といったデータは取れないところがほとんどです。インドアだからこそ、弾道データを見ながら練習できる。インドア練習場は、最高の練習環境といえるでしょう」
吉田プロがプロデュースした「浜松町ゴルフ倶楽部」は全10打席あり、24時間利用可能だ。スタッフがいない場合でもスマホで入退室できるシステムがあり、ゴルファーのニーズに合わせて自由に利用できる。仕事帰りに1時間とか、ゴルフ中継を見ていてゴルフがしたくなっても予約すれば、すぐにボールが打てるのだという。
「ゴルフが上手くなりたいなら、まずは質より量を増やすことです。プロは毎日ボールを打ちますが、アマチュアは難しいですよね。でも毎日10分でもいいからボールが打てると、それだけで確実に上達するものです。その点でいえば、インドア練習場は時間内なら打ち放題ですから、たくさんボールが打てます。それにインドア練習場の多くは都市部にあります。通いやすい環境なら練習もどんどん積み重ねていけます。インドア練習場は会員制(入会金・年会費)がほとんどですから、料金的にもお得だと思いますよ」
吉田プロが考えるインドア練習場のメリットはほかにもある。
「たとえば、1球いくらの屋外練習場だと、30ヤードのアプローチや片手打ちといった練習はなかなかできません。でもインドア練習場なら打ち放題ですから気にせずできます。胴体や腕などに取り付ける練習器具を使うようなドリルでも“恥ずかしい”思いをせず専念できます。つまり自分の練習に集中できるわけです。屋外練習場は周りから見られている感があるので、どうしても見栄を張りがちです。そうなると多くのゴルファーはフルショットしかしなくなります。ハーフショットなどのドリルも集中してできれば、その効果は飛躍的に高まるはずです。
いつでも気軽に、毎日でも利用できる、手ぶらでもできる、といった環境もインドア練習場の大きな魅力だと思います」
インドアは最高の練習環境と言える4つのポイント
【Point 1】時間内なら打ち放題
「アマチュアが上手くなるためにはボールを打つ時間(量)も必要です。1球いくらと気にすることなく、ボールが打てるのは大きなメリットでしょう。ゴルフの上達にはまず質より量です」(吉田プロ・以下同)
【Point 2】スウィングの特徴や弾道が明確にわかる
「予約制の個室には最新機器を導入。スウィング解析ソフトウェア『スウィングカタリスト』、4つの高速カメラで弾道計測できる「GC4」、全身やクラブの動きを測定できる「ギアーズ」を完備。あらゆるデータ計測が可能です」
【Point 3】“恥ずかしい”ドリルでも専念できる
屋外練習場で練習器具を使うのが恥ずかしい、と思うゴルファーも少なくない。「練習器具を使ったドリルだけでなく、片手打ち、タオルわき挟み打ち、椅子に座って打つなど、どんな練習でもインドアなら気兼ねなくできますよ」
【Point 4】都市部で利用しやすい
インドア練習場の多くは人口が密集した都市部にある。利用しやすい環境があれば、練習を積み重ねることもしやすい。ほとんどが会員制の施設であるため、スマホで予約、入退室もできるなど、ユーザーの利便性も向上している
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週刊ゴルフダイジェスト2022年8月16日号より
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