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【待ってろ、ウエハラ!】ついに実現! 大畑大介vs上原浩治。マッチプレーは意外な展開に

ラグビー元日本代表の大畑大介が、高校の同級生で元メジャーリーガーの上原浩治を打ち負かすべく、ゴルフの修業を積む本連載。小澤美奈瀬、青木翔、両コーチの教えを受け、ついにいざ決戦の舞台へ!

PHOTO/Hiroaki Arihara TEXT/SHOTANOW THANKS/東松山CC

大畑大介(左)……1975年11月11日生まれ。ラグビー元日本代表、伝説のウイング
上原浩治(右)……1975年4月3日生まれ。読売巨人軍の元エースで元メジャーリーガー

ベストスコア「76」という上原に勝つべく、4カ月にわたり小誌連載『待ってろ、ウエハラ!』で猛特訓を重ねてきた大畑。その真価が試される時がやってきた。場所は埼玉の名門・東松山CC、9ホールのマッチプレーで勝敗を決める。「上原より早く準備を終えて、ビビらしてやりますよ」と意気込んでいた大畑だったが、渋滞に巻き込まれ、コースには上原が先に到着――。

上原 “コソ練”でもしてるんじゃないですか、それかビビって逃げたか。

大畑 いやぁ、お待たせしました! ちょっとスタイリングに時間がかかってしまって、スマン!

上原 スタイリングって、モデルか。ゴルフ対決するのに見てくれは関係ないやろ。

大畑 いやいや、神聖な対決なんやからビシッと決めんと。というか、なんでお前は寝ぐせやねん。なんか余裕あってイラっとするわ。

――顔を合わせるのは約3年ぶり、一緒にラウンドするのは初めてという2人だったが、そこは高校の同級生。前置きもなくいきなりくだけた雰囲気になった。

上原 13時過ぎにスタートしてハーフのマッチプレーって聞いてるから、お昼を先に食べよう。すぐに勝負がついて、早く終わっちゃう可能性もあるけどな。手加減はせんよ。

大畑 特訓を重ねたオレを見くびると痛い目に合うぜ。「最近調子が悪い」ってマネジャーさんから聞いてるし、現時点での実力的にはオレのほうが上やと思うで。

上原 むちゃ食い気味やん。しかし、まぁまずは腹ごしらえやな。何にする?

大畑 そりゃ、カツ丼に決まっとるやろ。

上原 余裕っぽいこと言って、ゲンは担ぐんかい! オレはオムライス。好きやから(笑)。

大畑 使えるものは何でも使うわ。カツ食べて、みっちり練習してからスタートや。

上原 じゃあ、オレはその練習、見学しとるわ。

大畑 お前は打たないんかい! どこまで余裕やねん。今に見てろよ。

――スタート前に練習場に移動した2人。普段は一切練習をしないという上原もボールを用意し、マネジャーが後方からスウィングのチェックをする熱の入れよう。一方の大畑も、口数がいつになく少なく、練習場は独特の空気に包まれた。

大畑 この前から練習のしすぎで、腰もひじも痛いわ。

上原 それって、負けたときの“アレ”にするやつ?

大畑 ちゃうわ。勝ったときに「痛い痒いあったけど勝ったぜ」っていう、さらなるマウントをとるための布石や。というか、現役時代から常にどこか痛かったから、そのほうが調子が出る気がする。

上原 仕込みすぎやろ。オレは慣れない練習なんてするから、なんか調子おかしいわ。これは出だし3ホールは“捨て”で大畑にやる感じやな。

大畑 それはチャンス! と言いたいところやけど、前の日にホール図チェックしたら説明文に「右はアカン」っていうワードがたくさん出てきて途中でそっと閉じました……。

上原 なんで自分にプレッシャーかけとんねん。おっ、そろそろスタートの時間だ。

大畑 現役時代とはまったく違うけど、なんか変な緊張してきた。

上原 確かに。4万人いる観衆より、スタッフ5人くらいのほうが、ジーッと見られてるみたいでドキドキするな。

――いつもはあっという間に場の空気を掌握する大畑だったが、この日ばかりはやや浮足立った様子。そんななか、いよいよ決戦の火ぶたが切って落とされる。スタートホールは389ヤードのパー4。オナーの上原が放ったドライバーショットは、見事なドローでフェアウェイをとらえた!


上原 よーし、ヨシヨシ!

大畑 おぉ、さすがやな。本番の初球でバッチリ調整してくるあたりが、リリーフ投手っぽい。後ろで素振りしまくって圧をかけたのに全く動じんかったもんな。

上原 なんで打つ準備してるときに、オレより速いスピードで素振りしてんねん。そんなに振ったらヘッドがすっぽ抜けるで。

上原の1番ホールティーショット

大畑の1番ホールティーショット

――相手のショットを見て気負いすぎたのか、大畑の1打目はつかまりすぎて左の林を越え、隣のホールまで抜けてしまう。

大畑 いい弾道やったけど、左に行きすぎた……。

上原 惜しかったな。というかなんで隣のホールまで曲げてるのにオレより20ヤードも飛んでんねん。

大畑 オレの武器はこの飛距離と、前に前にの猪突猛進スタイル。1ヤードでも前に行けるルートを探すぞ。

――上原は手堅く2オンに成功。一方の大畑も、強気のスタイルでリカバリーし、3オン。それぞれ2パットで沈め、1ホール目は上原の勝利でホールアウトした。

大畑 プレーがカタいなぁ~。さすがやねぇ。

上原 なんかコース出たら、調子良くなったわ。次はパー3か。ここは無難に乗せて、突き放す。

大畑 もっと誌面的に盛り上がる展開とか考えんと。早く終わったらつまらんやろ。

上原 そんなん知るか。絶対に手は抜かん(笑)。

――言葉通り、上原のティーショットはグリーンセンターにナイスオン! 一方の大畑は、ピンを狙いすぎたのか大きくショートして、またしても難しいリカバリーを強いられる。

上原 大畑クン、パー3はグリーンセンターを狙わないと。それがアマチュアのセオリーやぞ。

大畑 そんなことしたらホールインワンが出ないやん。

上原 何を狙っとんねん!

大畑 オレはカップしか見てへんからな。

――大畑の2打目はラフからグリーン手前のピンを狙う高難度のショットだったが、カラーにワンクッションさせ勢いを殺すというシブい1打でナイスアプローチ!

上原 そんなシニアプロみたいな技、なんでできんねん。話がちゃうぞ!

大畑 カップだけを狙うスタイルとこれまでの特訓の成果が融合すれば、こんなのは朝メシ前や。

上原 このホールももらったと思ったのに、プレッシャーかけてくるな……。あぁ、そんなこと考えてたらショートしてもうたわ。

大畑 微妙な距離が残ったな。オレは手堅く2パットで上がるぞ。

――大畑は宣言通り2パットのボギー。上原は1mの上りラインだったが、これを外して3パットのボギー。2番はドローとなった。

大畑 ティーショットの後は“終わった”と思ったけど、粘っていれば何かが起きるんやな。

上原 いや、普通はあんな難しい状況から何も起こらんやろ。無駄にプレッシャー感じてしまったわ。

大畑 まぁ、上原クン。まだ2ホール目なんやから、そんなに気負ったらアカンよ。

上原 なんでオレが勝ってるのに慰められとんねん! 次こそ取って突き放すぞ。

大畑 3番はパー4か。見た目がけっこう狭いな……。

上原 393ヤードで下りやから、ここはUTで手堅く攻めるとするか。

大畑 なんや、そんな小さいクラブ持って。 もったいない。

上原 (クラブヘッド指さして)ゴルフはココやからな。柔軟に考えるのが大事やぞ。

大畑 オレが何も考えてないみたいなの、やめろ(笑)。

――方向性重視の作戦を取った上原だったが、打球はスライスして右のOBエリアに。一方の大畑は狭いロケーションも何のその。いつになく振りちぎり300ヤード近いビッグドライブ!

上原 こんなロケーションで、よう振れるな。

大畑 あれでも2割くらいしか力を出してへんけどな。

上原 嘘つけ! もう、いろいろ動揺して打ち直しもバンカーに入れてしまったやないか。

大畑 オレは残り100ヤードを切っとるから、ここは無難に乗せてこのホールはいただきや。

「UTで手堅く……と思ったら、やってもうたー」(上原)

「ふふふ。上原よ、ゴルフは“頭”でするもんよ」(大畑)

――その後、ナイスパーとはいかなかったものの、3番は大畑の勝利となりイーブンに戻した。

上原 1番ホールを終わったときには、序盤で大量リードかと思ったけど、ここまでイーブンか……。

大畑 見くびったらアカンよ。しかも次はオレが得意なパー3。

上原 さっきたまたまリカバリーが成功しただけやろ!

大畑 アレがまぐれではないことを証明したる。

――意気込んで臨んだオナーの大畑。しかしティーショットは手前のバンカーに落ち、さらにそこから乗せきれず3オンとしてしまう。上原もティーショットでグリーンを外すが、アプローチでしっかりグリーンオン。

大畑 8mくらいあるけど、2打で沈めればワンチャンあるな。

上原 ないわ! オレあと2mくらいやし。というかそんなに離れてたら2打はキビシイやろ。

大畑 オレのスーパータッチを見るがいい。これでどうだ!

上原 おぉ、ほんまにナイスタッチ。こっちが優位なのになんか緊張してきたぞ。

大畑 そんなところから3打はナイやろ、上原クン。

――この圧が効いたのか、上原はまさかの3パットでドロー。4番終了時点でイーブンとなった。果たして勝負の行方は⁉ 次回、ミラクルが起こりまくる後編に乞うご期待!

ここまでの成績

大畑上原
1番 PAR454上原 1UP
2番 PAR344上原 1UP
3番 PAR456イーブン
4番 PAR355イーブン

週刊ゴルフダイジェスト2022年1月25日号より