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障害を越えて世界の頂点へ。25カ国の強者がウェールズに集う世界大会の熱き鼓動【THE G4D OPEN】<前編>

5月14日〜16日、障害者ゴルフの世界大会「THE G4D OPEN〜the golf for disabled open」が開催された。 4回目の今年から舞台がウェールズのセルティックマナーリゾートに。 25カ国から80人のトップ選手が集結した本大会をレポート。 選手や関係者にたっぷりと話を聞いた。

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1927年と2010年にライダーカップ開催! 看板にはウェールズ語を並記。眺めのよい丘陵コースだが、コース全体にある大きなアンジュレーションとスロープ、そして風と天候の変化が選手を苦しめた

それぞれのゴルフ
それぞれの理由

“新顔”が多いと感じた今年の大会。世界中から集った多様な強者たちに、ゴルフの魅力や、ゴルフの存在の意味について聞いた。 カラフルなウェアがひときわ目立つイッサ・ヌラレブ・A・アマン(STANDING1)はカメルーン出身、その人生は劇的だ。

「コースにいると自分を感じられる」
イッサ・ヌラレブ・A・アマン (カメルーン・35歳・プロ・WR4GD7位)

11歳の時に母を亡くし、母国に2つしかないコースの1つ、ヤウンデGCで“生きるために”ボール拾いの手伝いをしていた。テレビで試合を見て「あんふうになりたい」とキャディとなり、週1度のプレーの機会を使い上達。プロとなり18年にはセネガルオープンで優勝するまでに。

しかし同年アルプスツアーの最中、細菌性髄膜炎に敗血症を併発。両足下肢を切断し、左手の指を4本、右手の指を2本失った。しかしスウィングを工夫し、21年にEDAGの試合でゴルフ界に復帰した。

「スウィングを工夫して病気から復帰できた」 両足は義足、指のない左手のグローブを巻き、布切れでドライバーのグリップに固定する。「今はティーチングも行っている。工夫することで戻ってこられたから本も書きました」と誇らしげ

父は日本人で日本在住。

「実は日本には行ったことがあるけど、肌の色で拒絶されたことがある。ハイクラスのコースでした。でもまた日本には行きたいです。ゴルフは自然を感じられる、綺麗な空気を吸える、そこで自分と向き合うことができるスポーツ。そしてゴルフはマイライフ。私を静寂にしてくれるし、コースにいるときこそ自分を感じられます」。

フレデリック・ブロックフェルト=クリスチャンセン(STANDING2)はデンマーク出身、伸び盛りの19歳だ。生まれつき脊柱側弯症を抱えるが、ゴルフは2歳で始め、9歳でメンバーコースを買ってもらい、ずっと続けている。

「食事や寝る以外はゴルフだけ!」
フレデリック・ブロックフェルト=クリスチャンセン (デンマーク・19歳・HC+1.6・WR4GD10位)

「ゴルフがとても好き。嫌になったことはない。2年前に学校を中退しゴルフに専念、だから成長できたのかもしれません。やはり練習こそが大事だけど、何の練習をするかを毎回きちんと決めて練習するようにしています」

スラリと伸びた体躯から300ヤードドライブを見せるも「パターが得意です。ゴルフはハンディキャップがあり、皆でプレーできるのがいい。食事や寝る時以外はゴルフしかしていない。彼女もいるし週に8時間は商品陳列のバイトもしているけど(笑)。やっぱり今はとにかく上達して欧州の大会でいい成績を残したいです」。

「飛距離より、もっと精度の高いショットを」 キュートな19歳。主要な大会は父・アンダース氏がキャディを務める。「飛距離はそこまで気にしていなくて、もっと精度の高いショットを打つことのほうが大切だと考えています」

アメリカ・ユタ州出身のマックス・トギサラ(SITTING2)は若き最強車椅子ゴルファーだ。本大会もイギリスに来るのも初めて。第1、2回大会で優勝した友人、キップ・ポパード(イギリス)の誘いで参戦した。3歳の時、父や兄に連れていかれゴルフを始め、入る大学も決めていたが、18歳の時スキーの事故で下半身不随の障害を負う。

「すべてを支えてくれたスポーツ」
マックス・トギサラ (アメリカ・21歳・HC5.5・WR4GDシッティングクラス1位)

しかし彼はゴルフをやめなかった。現在シッティングクラスの世界ランク1位に君臨。「常に車椅子の選手だけではなく、他の選手とも戦えることを見せていきたい」。飛距離も出る。「飛ばしには柔軟性が一番大事で、その次に上半身の筋トレ。障害があるから上半身しかできないけどね」と人懐っこい笑顔を見せる。

「ゴルフは僕に自由を与えてくれる。プレーしている時、障害は関係ない。ゴルフは僕のすべて。障害から立ち上がらせてくれ支えてくれた。ゴルフから学ぶことは本当に多いし、そもそも楽しいんです」

「車椅子でもすべてのプレーヤーと戦える」  前回会場のウォーバーンGCとR&Aのロゴ付き。「今回は借りました。慣れは必要だけど、そんなにプレーに影響はしません」。アメリカでは車椅子カートを断るコースはほぼないという

ワカス・シャー(STANDING3)も本大会は初出場、イングランド国籍だがパキスタン出身だ。10歳の時に木から転落、骨折した左腕がきちんと接合せず、今も腕の可動域が制限されている。


「精神的に健康になれる、自然に近い」
ワカス・シャー (イングランド・36歳・HC11.8・WR4GD205位)

ゴルフは5年前、地元のミニコースで始めハマった。

「パキスタンにコースは55くらいあるけどリッチな人のもの。ここで世界レベルの選手と戦えていることが国や村に対しての誇りでもあります。ゴルフは人々と交流できるし自然も近く、心身によい作用がある」

「ここで戦うことは自分の国と村の誇り」 奥さまとイギリスに住む。「イギリスならゴルフのチャンスが出てくると思いました。ゴルフは自分を阻むものは何もないのだと自分自身に証明する機会を与えてくれます」

最近、試合にも積極的に参戦。

「どんな結果でももっと練習したくなるモチベーションはあります。ゴルフで生活することが目標。僕の村はゴルフを知らないので、素晴らしいスポーツだと知ってほしいのです」

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週刊ゴルフダイジェスト6月16日号より