【ゴルフせんとや生まれけむ】音羽山力三郎<後編>YouTubeでスウィング研究も「正解はない」

ゴルフをこよなく愛する著名人に、ゴルフとの出合いや現在のゴルフライフについて語ってもらうリレー連載「ゴルフせんとや生まれけむ」。今回の語り手は、前回に引き続き元横綱・鶴竜として活躍した音羽山力三郎氏。
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- ゴルフをこよなく愛する著名人に、ゴルフとの出合いや現在のゴルフライフについて語ってもらうリレー連載「ゴルフせんとや生まれけむ」。今回の語り手は、元横綱・鶴竜として活躍した音羽山力三郎氏。 初めてクラブを握ったのは21年前、関取になるちょっと前でした。兄弟子の福園(元十両・鶴嶺山)さんがゴルフ大好きで、連れていってもらったんです。千葉のほうのショートコースだったんですけど、クラブを借……
現役の頃は、相撲以外で怪我をしたら申し訳ないので、ゴルフは好きだけど、ある程度自制していました。今は親方になって誰の目も気にせずラウンドできています。特に音羽山部屋を持つまで所属した陸奥部屋は、親方(元大関・霧島)が大のゴルフ好きで、後援会のコンペなどもあったので、よくラウンドしましたね。
一番行ったのは新型コロナの流行で「三密」が禁じられていたとき。飲酒や食事はダメだけどプレーはOKということだったので、年間50回以上コースに出ていました。特に地方場所のときは、本場所が終わって巡業が始まるまでの1週間、ゴルフしかやることがない。九州場所なんか、場所前と場所後のゴルフが楽しみで毎日、出かけていました(笑)。
しかも、ゴルフはラウンド数が増えると腕も上がる。大相撲と一緒で“稽古はウソをつかない”から、ますますゴルフ場に行きたくなる。ベストスコアは、この頃に出した76。東京場所後に行った埼玉県のJGMおごせゴルフクラブでのスコアが、現時点での生涯ベストです。
得意クラブはユーティリティの5番。あと、パターはゴルフを始めたときからイメージ通りに打てて、好きですね。グリーンを読むのが面白いんです。今の課題はドライバーです。当たると280~290ヤードは飛ぶけど、普通は250ヤード前後で、それもよく曲がる。ドライバーのせいでスコアを悪くしている(笑)。OBを打つと簡単に6~10打違いますからね。飛ばそうと思わなきゃいいんだけど、根っから負けず嫌いだから、ついつい力んじゃうんですよ(笑)。
でも、あるとき、九州場所の後に後援会の人が連れてきたプロと一緒に回ったら、軽く振って345ヤードのパー4でグリーンをオーバーしたんです。本人の名誉のために名前は出しませんが、それだけ飛ばしてもトーナメントで活躍しているかといったら違う。まさに、ゴルフは「上がってナンボ」なんだなと思って、それ以来、人前では「飛ぶ」と言わなくなりました。
愛用のクラブは、ドライバーとユーティリティがテーラーメイドのQi35。5年間使ったステルスから最近チェンジしました。アイアンは、私用にフィッティングしてもらった三浦技研製で、これも気に入っています。
スウィングは、もともと相撲の現役の頃から研究するのが好きだから、最近はYouTubeでプロのスウィングを見て研究しているけど、見過ぎるのはよくない。いろんなプロが、いろいろ言っているけど「これが正解」というのはないんじゃないかな。相撲と一緒で、それぞれの体に合った自分にしかない相撲、スウィングを目指すのが一番かな、と。それが最近出した結論です。モンゴルにもゴルフ場はあるのですが、冬の寒い時期が長いので芝ツキが悪くてディボット跡だらけ。ゴルフは日本に限ります(笑)。
ゴルフを通じて大相撲ファンを少しでも増やせたらというのが願い。音羽山部屋は最近、ホームページも開設し、後援会員も募集しています。ぜひのぞいて、身近に感じてもらえると嬉しいです。よろしくお願いします。

音羽山 力三郎
おとわやま・りきさぶろう。1985年生まれ。第71代横綱鶴竜。2001年11月場所に初土俵を踏み、5年後新入幕。2014年5月場所に横綱に昇進した。現役時代は身長186センチ、体重154キロの恵まれた体で、右四つ・下手投げを得意とした。2021年引退。23年に音羽山部屋を設立。モンゴル・スフバートル出身
週刊ゴルフダイジェスト2025年7月8日号より