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【企業ゴルフ選士】熊谷組・大野雅紀さん「建設業界においてゴルフは“武器”です」

戦うだけのゴルファーではなく、会社に認められ、選ばれたゴルファーである“企業ゴルフ選士”をクローズアップ。今回は、熊谷組の大野雅紀さん。

ORGANIZER/Hironori Kogure PHOTO/Takanori Miki


熊谷組
専務執行役員
首都圏支店長
大野雅紀さん


1982年熊谷組入社。九州支店を皮切りに首都圏支店、本社、東北支店、北陸支店を経て、2016年から執行役員に就任。同社へ入社してから本格的にゴルフを始め、現在はゴルフ部創設に尽力しながら自身もゴルフへ打ち込む。ベストスコア75

熊谷組

創業127年のゼネコン。大型土木工事に定評があり、特にトンネル工事では高い技術力と実績を有し、関電トンネルなど最難関工事にも携わる。また当時世界最高となる台北101を建設するなど超高層建築も手掛け、近年では中大規模木造建築にも力を入れる

プレーヤーを兼ねつつ
ゴルフ部創設に尽力

熊谷組の専務執行役員を務める大野雅紀さんは、この連載で過去に紹介した村橋健一さんや沼口宣江さんとともに昨年の日経カップに出場した“企業ゴルフ選士”であり、同時にメンバーたちの宿願でもあるゴルフ部創設に向けて背中を押してきた立場でもある。ゴルフを始めたのは大学4年の頃。友人に誘われ、友人の親御さんに借りた9番アイアン1本で松戸の河川敷のショートコースを回ったのが始まりだ。

「でも、そこからゴルフにのめり込んだわけではありません。私が入社した1982年の頃はご存じのとおりゴルフの大ブームで、地方の建設現場までゴルフメーカーの営業さんが来ていました。そこで私も15万円くらいのクラブセットを買い、社内のコンペや付き合いのラウンドに行っていました。3回目で100を切り、上司から『君はすぐに上手くなるはずだよ』と言われましたが、本気でやるつもりはありませんでした」

建設業界はゴルフ好きが多いことから、日頃から誘いはあったのだろう。とはいえ当の本人に大きな思い入れはなく、会社の業績が低迷していた40代半ばの頃にはゴルフをやめようとさえ思っていた。

「ちょうど東北支店へ転勤になった頃です。仙台に引っ越す際、ゴルフクラブを捨てようと思っていたのですが、新たな上司がゴルフ好きで、付いて行くと勝負になるわけです。そこで毎回負けるのが悔しくて、逆に本気で打ち込むようになりました」

そこから状況は一転し、地元つくばへ帰省するたび近くにある南筑波ゴルフ場へと足を運ぶようになった。その日から現在に至るまで全ラウンドのスコアを記録し、スマホには南筑波Gだけで750件近くのデータが保存されている。他も入れると1400件弱。まさにビッグデータだ。「比叡山の“千日回峰行”のように、同じゴルフ場に1000回行ったら何か見えるのではないかと(笑)」

人の垣根を取り去る
ゴルフだからできること

そこから15年ほど月日が経ち、大野さんは社員が有志を募り、日経カップへ出場しようとしていることを知る。

「以前もゴルフ好きが集まって企業対抗戦へ出場していたことがありましたが、当時は会社の許可を得ていなかったので参加費用などは全部自前でした。今回は参加費用だけは会社が援助してくれましたが、プレー費は自前です。少しでも支援できればと思い、少額ですがポケットマネーで支援をしました」

とはいえ、同時に公平性という点には問題を感じた。

「主に出場選手は関東近辺の人から選んでいましたが、地方にも優秀なプレーヤーはいます。その人たちが負担なく参加できる環境を作るには、正式にゴルフ部を作って会社から援助してもらうのが良いのですが、ゴルフをしない社員は『ゴルフ部だけ?』という疑問を持つはずです」

社員のモチベーションや仲間意識を高める場として、会社も部活動に必要性を感じるなか、根っからのゴルファー気質からか、大野さんはゴルフ部が会社の部活動創設の皮切りになることを期待する。

「ゴルフは『18年間一緒に仕事するよりも18ホール回ったほうが性格はわかる』と言われるほど人間性が出るスポーツです。私もこれまで何度も経験してきましたが、初対面同士でも一緒にラウンドすれば本音で話ができますよね。建設業は、まだこの世に存在していない唯一無二のオーダーメイド品を造り上げ、提供する業態です。お客様の不安を払拭するためにはいろいろな垣根を越えなくてはいけませんが、人と人の垣根を取り去るゴルフが、ここで役に立ってくるんです」

と大野さん。そのためにもゴルフ部創設に向けた後押しは続けるつもりだが、もちろん個人の夢もある。

「私の目標はエージシュートです。ゴルフを続けてわかったことは、『やっぱりゴルフって難しい』ということですが、諦めずに行動すれば、夢はいつか叶うと思っています」

いつかゴルフ部ができたら、そんなことを伝えたいと微笑む。これからも先陣に立って自らも汗を流すスタンスは変わらなそうだ。

大野雅紀さんのクラブセッティング

「あまりクラブにはこだわりがないんです」と言いつつ、ドラコンプロの池田一耶氏にフィッティングしてもらったという13本。「一番練習する7IとPWが好きですが、昔3番アイアンのインパクトが見えた気がして……。何番でも良いのであのショットを再現してみたいです」(写真は本人提供)

週刊ゴルフダイジェスト2025年3月11日号より