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【キミこそ王子だ】Vol.300 野球を経験して再びゴルフの道へ! 350Yに迫る驚愕の飛距離を持つ中部の雄

雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王子候補は愛知県出身、名古屋高等学校2年の矢野仁貴くん。一時のブランクを経て、再び全国レベルにのし上がった彼。過去に出会ったジュニアのなかでも上位を争う飛距離に武市大興奮!

今回の王子候補

矢野 仁貴さん

やの・じんき ●主な戦歴/2022中部高等学校ゴルフ選手権冬季大会 優勝 ●ベストスコア65(富士C可児C可児ゴルフ場 織部コース) ●トレーニング/なし ●練習/毎日300球 2~3時間


矢野仁貴くんは、わずか1歳でおもちゃのクラブを握り、小学時代に数々の大会で優勝。全国で名の知れた存在だったが、中学時代にはパッタリその名を聞かなくなってしまった。

「実は、中学では野球をやっていたので、ゴルフクラブは、ほとんど握っていませんでした」

「そうだったの?」

理由を聞き驚く武市。

「ゴルフをやらなくなったのはなんで?」

「投げる、走る、打つが全部詰まった野球をやってみたかったからです」

持ち前の運動神経を発揮し、ピッチャーやサードで活躍したそうだ。しかし、高校に入り、再びゴルフクラブを握る決心をした仁貴くん。3年間のブランクをあっという間に取り戻し、高1の冬には中部地区で優勝するまでに復調した。

その球筋がまたスゴイ!

「過去に取材したジュニアのなかでも上位を争うくらい初速が速い。冗談抜きで、当たったら350ヤードは飛ぶんじゃないかな」と驚愕する武市。


「プロゴルファーを目指すジュニアにとって、中学時代の3年間って大事な気もするけど、長い目で見ると、その時期にあえて野球をやるっていうのは相当アリ! 仁貴くんは、スウィング軸がまったくブレず回転力も強い。野球部の過酷なトレーニングに耐えただけのことはあると思う。ほかに、野球をやってよかったなと感じることはある?」

「メンタル面が強くなった気がします。特にピッチャーは、その試合はもちろん、チーム全体への影響力が強いので」

「いい時間を過ごしたね」

「ありがとうございます」

ゴルフに重要な心技体。野球をやったことで「心」と「体」が大きく成長した仁貴くん。残す「技」はというと?

「球を打つセンスがあるよね。力を入れるべきところと、力を緩めるところが、ちゃんとわかっている。彼のスウィングは、いわゆるハンドファーストのレイトヒット。レイトヒットとは、体の回転に遅れて腕が下りてくる打ち方なんだけど、絶対条件は、回転力の速さと手首と腕の柔らかさ。手首を固定し腕をカチカチにして、一生懸命振ろうとする人にはできない打ち方だよね。でも、まったく力を抜くわけではない。バックスウィングで掌屈させた左手首をキープしたままダウンスウィングし、アドレスでつくったハンドファーストのカタチに戻さなければならない。それには体の回転力に腕が負けてはダメで、きちんとコントロールする力が必要。彼はそのセンスがある気がする。だから、綺麗なイン・トゥ・インの軌道を描きつつも、球がつかまりすぎることがない。結果、ド迫力のフェード球で350ヤード近く飛ばせるんだね。アッパレです」

飛ばしは最大の武器だという武市。その大きな武器を持っている彼は、今後ますます注目される選手になるはず。そう確信する武市であった。

週刊ゴルフダイジェスト2023年6月6日号より