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【シニアプロのトレーニング】<後編>ムリせず、ラクせず。ゴルファー寿命を延ばす体ケア

年齢を重ねるとともに体に変化があるのは皆同じ。同時にゴルフもダメに……と嘆く人は少なくないはずだ。しかし、あきらめてはいけない! シニアツアーで活躍中のプロたちに、どのようなトレーニングをしているのか調査した。

PHOTO/Hiroshi Yatabe、Yasuo Masuda ILLUST/Masaya Yasugahira

前回のお話はこちら

髙橋勝成(71歳)
「退化した筋肉を少しずつ戻す」

最近の試合でエージシュートを連発、日本プロゴールドシニアでは優勝を飾った髙橋。実は3年前の日本シニアオープンの時、脊柱管狭窄症になっていたという。

「背骨の3番と4番の間がダメで右足の太ももが痺れて歩けなくなって大変でした。20年くらい前から腰も相当悪くなって股関節もおかしい。鍼やマッサージで動けるようにしていましたが、やはりきちんと治さなければと大病院の整形外科に行き、理学療法士のリハビリを受けた。まず軽い基礎的なトレーニングをして、どこが悪いのかを調べてもらったんです」

髙橋の腰痛は、足首の硬さが原因だった。足首からひざにきて、腰にきて……と。

「足首を柔らかくする運動と足指のトレーニングを始めました。また、先生が『腹筋はできますか?』と聞くので『もちろんできます』と答えましたが、先生の指導どおりにひざを立て、手を頭の後ろに置き、起き上がろうとしても1度もできない。僕の腹筋は、ももの筋肉を使っていたんです。正しく行うため最初は腰のところに枕を補助として入れて反動をつけてやるように。今は補助なしで30回1セットで少し休んで毎日3セットを。ストレッチボードに乗って、ひざの曲げ伸ばしをするのも腰にいいみたい。片足でやるとバランスがよくなります。何十年も使わず退化している筋肉を、少しずつ元に戻してあげる感じ。あと何年もかかるかもしれませんが、やり続けます」


足指を鍛え、足首を柔らかく

足指にゴムを引っかけ、グー・パーを繰り返す。20回×3セット。足指を鍛えるとアドレス時の感じや足の裏のバランスがよくなる。また、立った状態で野球のボールを足裏で踏んでゴロゴロさせる。片足5分ずつ。足首に効く

細川和彦(50歳)
「ストレッチポールを有効活用」

シニアルーキーの細川のトレーニングは、オフ中心。「オフにはジムに行き、腹筋、背筋を器具を使って鍛えたり、走ったりもしていますが、シーズン中はしていません」

しかし、家ではストレッチポールを使ったストレッチを行う。

「ストレッチポール上で寝ていろいろしますが、時間は30分だったり40分だったり決めていません。ストレッチポールというのは整体を行ったくらいの効果があると言われているので、体をほぐす感じにできます。あとは部屋のなかでも振れる短いクラブで素振りです。スウィングをチェックしながらストレッチにもなります。

また、スタート前にはチューブを使って肩甲骨周りや肩周りを20分程度ケアします。チューブを頭の上で伸ばしたり、体の前後で伸ばしたり引っ張ったりするんです」

猫背防止と股関節ストレッチ

ストレッチポールの上に寝転んで、背骨を真っすぐに伸ばす。「どうしても猫背になりやすい。ポールの上に寝ながら両足の足裏を合わせて、体のほうへ引き寄せる。股関節のストレッチになって、骨盤を広げるんです」

鈴木 亨(55歳)
「体のバランスを整えるのが大事」

シニアツアーで4勝を挙げている鈴木だが、今年の春先にケガをし、今はトレーナーと相談しながら回復に取り組んでいるという。

「右の上腕三頭筋に力が入らなくなってしまった。痛みもなく、普段の生活には問題はない。でも、飛距離が280ヤードから220ヤードにまで落ち、握力も38㎏になってしまった」

10年くらい前には左腕に力が入らず腕立て伏せが1回もできなくなったが、スウィングで左腕は“舵”なので、そこまで影響はなかった。右腕は“パワー”なので、飛距離などに直結するのだ。

「原因は首のヘルニアからきています。左手を痛めてから右手主導のスウィングになり、ついに体が悲鳴を上げたという感じです」

理学療法士の指導のもと、体のバランスを整えるケアとトレーニングを1回2時間、週3回のペースで行う。「トレーニングといっても、ウェートを持ち上げたりではなく本当に地味なもの。真っすぐ立っているつもりでも体はどちらかに傾いているので『もう少し右に力を入れて』とか『左にズラしなさい』とか、背骨に対してスクエアに動かす。とにかく縦の軸は真っすぐにしたい。でも、背骨は真っすぐではないのでそれをどうイメージするかが問題です。背骨の1つ1つが摩擦を起こさないようにできれば、間の軟骨が突起することもない。試合をしながらスウィングを立て直すのは簡単ではないですが、今はだいぶいい方向に向かっています」

真っすぐな縦の軸を確認する

家でもバランスを整えるトレーニングを行う。「鏡を見ながら体をひねったり、シャドースウィングをしたりして、バランスのチェックをします。スクワットも。きちんと鏡を見て真っすぐに腰を下ろすようにするのが肝心で
す」

秋葉真一(56歳)
「トレーナーの教えを自分流に」

最近好調の秋葉の現在のトレーナーは渋野日向子と同じ斉藤大介さん。

「トレーニングはオフとシーズン中では違います。斉藤さんに月1回、1時間見てもらい『最低でもこれくらいは』というものをスマホで撮って自分流にアレンジして自宅で行います。ほとんど自重でできるトレーニングです」

バランスボールで背中を伸ばしたり腹筋を使ったり下半身を使ったり、体をあずけて行うものを10分くらい。「『これはいいな』と思ったものはオフに取り入れました。チューブを使って胸や肩甲骨を開いたり、チューブをドアノブに引っかけてわきを締めたり。3~5㎞をゆっくり30分くらいかけるランニングと合わせて1時間くらいです」

踏ん張り力をアップさせる

自宅ではスクワット系で踏ん張るようなトレーニングも。「足元にゴルフボールを置き、左片足を屈伸して右に置いたボールを拾い、それをまた屈伸して置く。交互に繰り返し15~20分やるのでかなりキツイ。足が筋肉痛になり
ます」

週刊ゴルフダイジェスト2021年10月12日号より