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【シニアプロのトレーニング】田村尚之の「曲がらないショット」を支える体メンテンナンス

年齢を重ねるとともに体に変化があるのは皆同じ。同時にゴルフもダメに……と嘆く人は少なくないはずだ。しかし、あきらめてはいけない! シニアツアーで活躍中のプロたちに、どのようなトレーニングをしているのか調査。錆びない心身の作り方を聞いた。

PHOTO/Tsukasa Kobayashi THANKS/森永製菓トレーニングラボ

田村尚之(57歳)
パーオン率は現在1位。過去も20年を除きすべて4位以内と抜群の安定感を誇る。「変則スウィングですが球は曲がったことがない。トレーニングで軸が安定したのも要因でしょう」

「筋肉に刺激を入れないと
体がゆるむ」

8月のファンケルシニアクラシックで5年ぶり2勝目を挙げた田村尚之。サラリーマンから49歳でプロテストに合格、シニアツアーでシード権をキープし続けている。

田村が体を鍛える意識を高めたのは36、37歳の時。「真夏の日本アマから帰ったら必ず56㎏の体重が3㎏は落ち、2週間寝込む(笑)。トレーニングしないとゴルフだけでなく会社に迷惑がかかるし子どもとも遊べない。知人に相談したのがきっかけです」

始めてすぐに体重が5㎏増えた。食も太くなり体重も落ちなくなった。20年間、内容は変わってもトレーニングを続けている。

「実はプロ入り直後に黄色靭帯骨化症で背中の手術をして。成功しましたが、ここ数年痛みが……それでもゴルフができるのは体をケアしているからだと思います」

今は鍛えるというより整え。衰えるのを抑える感じだという田村。

「このラボ以外にも地元広島で週1、2回はジム通い。試合中は毎日、駅近のマッサージ店で軽くケアをします。トレーニングはケガするのも嫌なので負荷は大きくしませんが、たまに筋肉を起こすように刺激を入たい。マッサージだけだと体がどんどんなまるような、ゆるむような感じなんです」

では、具体的にどんなトレーニングをしているのか。ラボで当初から田村のトレーナーを務める中島裕さんは、「メニューはその日の状態や試合日程などを見て決めます。田村さんのスウィングのキーは下半身にあると思います。股関節が柔らかく力強い。上半身は硬めなのでストレッチは多めに。バランスをとりながら体幹を鍛え、下半身はさらにサポートするトレーニングをしていきます」


1. コンディショニング
背骨周りの小さな筋肉をゆるませる

背中~体側、腰や太ももを手でもみしだき全体的にリセットするイメージ。「背骨についている小さな筋肉がゆるむと全身のゆるみにつながる。ゴルフは背骨が上手く動くことも大事」(中島・以下同)。約20分行う

2. 胸を開くストレッチ
肋骨の動きを引き出していく

(左上)両腕を前後に広げ胸を開く/10回 (左下)横向きで片手を頭に置き胸を開く/左右10回ずつ (右)胸を開いて寝て、股関節から左右に動かす/左右交互に10回×2セット
「肋骨の動きがないとゴルフのひねり動作ができない。その動きを引き出す準備運動です」

3. 体幹トレーニング
腹筋の部位ごとに鍛える

ボールを両ひざの間に挟み(左)前後に腹筋/10回×2セット (右上)片手を逆のひざにつけて腹筋/左10回・右10回 (右下)お尻から下半身を上げる/10回×2セット
「腹筋と体幹は基本的に同じ。左と右上のメニューは腹筋の上のほう、右下のメニューは下のほうを鍛える」

4. 股関節を柔らかく強く
お尻や内転筋も鍛えていく

5. ゴルフの動きにつなげる

●お尻を中心とした下半身のトレーニング

下半身と体幹、全身トレーニング

「春先は大リーグ養成ギブスをつけていたようでしたが、テークバックがなんとなくラクになりました」と息を吐きながら話す田村。

「傾斜やラフで下半身が動くとアプローチなども安定しない。しっかり鍛えてズレないようにしたい。僕はトレーニングで何とかなっていますが、お腹が出てきて軸がブレる人や、3~4日間の試合になると体力的に辛くなる人もいます」

8年連続シードをほぼ手中にした田村。「もう一度くらいドキドキしながら優勝争いしたい。ショットで困ることはないので、パットが入ればできるはずです」

最後に中島さんからシニアのトレーニングについてアドバイスを。

「体の調子を整えるためストレッチやケアに注力するほうがいい。どんどん関節が硬くなるので、筋肉から関節をゆるませていく。また、自分のクセからくるアンバランスさを解消する動きを取り入れましょう。そして若い方にはぜひ、今から取り組むことをおすすめします。もちろん、年配の方もやる気があれば問題ない。自分の体と時間に投資してゴルフを長く続けよりよい人生にしてほしいですね」

総合アミノ酸やプロテインを積極的に摂る。「アミノ酸のおかげで疲れにくく肌や爪、髪の毛にも好影響。プロテインは筋肉をつくるだけでなくリカバリーするためのものなど用途に応じて」(田村)

週刊ゴルフダイジェスト2021年10月12日号より

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