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【世界基準を追いかけろ!】Vol.115「怒るなんて“カッコ悪い”」若手世代に共通するメンタルの強さとは? 

目澤秀憲と黒宮幹仁。新進気鋭の2人のコーチが、ゴルフの最先端を語る当連載。今回のテーマは、最近活躍している若手選手たちのメンタルの強さについて。

TEXT/Masaaki Furuya ILLUST/Koji Watanabe

前回のお話はこちら

GD ジュニアの選手に対するアドバイスとして、試合中にメンタルを安定させる良い方法はありますか。

黒宮 試合中に不安になるのは自信のなさの表れで、それを払拭するには成功体験が必要だと思います。でも、いくら練習場でナイスショットを打ったところで成功体験にはつながりません。試合の現場は練習場と同じではないですからね。試合では結果を求められるし、そこにはギャラリーもいる。そうしたシチュエーションにおいては、まずはどこに成功のレベルを設定するかを考えるべきなんです。

GD 例えば?

黒宮 試合で緊張して、手が震えてティーにボールを乗せられないというジュニアの子がけっこういるんですよ。そういう子たちには、成功のレベルを落として、まずティーに上手く乗せられたら今日のラウンドは成功だと思ってみたらというアドバイスをします。それで徐々に冷静さを導き出せてきたら、成功のレベルを上げていけばいいわけですよ。

GD 高校生、大学生ぐらいになるとメンタルコーチとかはついているんですか。

X メンタルコーチは主要大学チームにはいますよね。特にアメリカの大学は、メンタル面の強化はめちゃくちゃ進んでいますからね。大西魁斗とか丸山獎王(ショーン)とか、向こうの大学で育った選手は、メンタル的な部分のコントロールは上手いですからね。

GD でも確かに最近の若い世代って、スコアを叩いたラウンド後も怒りの感情をあらわにしない選手が増えましたよね。以前は、我々メディアがコメントを取ろうとしても声を掛けづらかったり、取材拒否の選手もいましたが、そういうケースは本当に減りましたよね。

目澤 今は、選手の態度が悪かったりすると、SNSなどで叩かれるじゃないですか。そういう状況を見てきているから、そんなことをやるのはメリットがないということが分かっているんじゃないですかね。プロスポーツ選手に限らず、あの世代の若者には、そういう傾向があるような気がしませんか。

GD 確かに、社会がそういう風潮になってきていますよね。企業や有名人の謝罪会見の失敗を受けて、アンガーマネジメントの必要性や重要性がよく話題になりますよね。

目澤 怒ったりキレたりするのを周りに見せて、周囲を威圧するような振る舞いは、恐らく彼らの世代にとっては格好悪いと映るんじゃないでしょうか。むしろ反面教師ですよね。桂川有人などは、そんなに優しそうでプロとして大丈夫かなと心配しましたけど、でも逆にブレない芯を持っていて、実際に凄い活躍をしていますよね。

X 中島啓太の場合は、ナショナルチームでガレス・ジョーンズコーチのもとでメンタル面も含めて、メディア対応も指導を受けていると聞きます。そういう負の感情を表に出さないように上手くコントロールができているんだと思いますよね。

目澤秀憲

めざわひでのり。1991年2月17日生まれ。日大ゴルフ部を経てプロコーチに。TPIレベル3を取得。2021年1月より松山英樹のコーチに。2022年レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞

黒宮幹仁

くろみやみきひと。1991年4月25日生まれ。10歳からゴルフを始める。12年関東学生優勝。日大ゴルフ部出身。淺井咲希、宮田成華、岩崎亜久竜らを指導

X氏 目澤と黒宮が信頼を置くゴルフ界の事情通

週刊ゴルフダイジェスト2022年12月13日号より