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菅沼菜々の魅力を深堀り!<後編>「プロゴルファーはアイドルと同じ。私にとっては“ファン”が一番大事です」

常に優勝争いに顔を出す実力もさることながら、笑顔を絶やさないプレーぶりでファンの心をつかむ菅沼菜々。彼女にとってのファンの存在とは? プロゴルファーとして大事にしていることとは? 深堀りインタビュー後半戦!

PHOTO/Takanori Miki、Hiroyuki Okazawa、Shinji Osawa THANKS/富士CC

>>前編はこちら

試合はアイドルのステージのようなものと考えました

――菅沼スマイルの進化の裏には「乃木坂46」があり、改めて自分のスタイルが明確になったという。

最近は「乃木坂46」のライブにもよく行くんですが、何なの、この笑顔の世界観って感じるコンサートなんです。彼女たちの笑顔のエネルギーでファンが笑顔になり、ファンは力をもらうんですよね。私もそのファンのひとりなんですが(笑)。そんなファンの笑顔を見て、今度は彼女たちが力を得るという、上がっていく瞬間を見ました。すごくいい関係ですよね。

プロゴルファーという職業は、乃木坂46のような“アイドル”と変わらないと思うんです。だって、現地の応援に加えてTV放送やネット放送など、全国の人たちが見ているなかでプレーしているわけじゃないですか。スポットライトを当てられながらプレーしているようなものですよ(笑)。だから私にとってはトーナメントがステージだと思って頑張ろうと再確認しました。それを見てファンの人たちが前向きになったり、元気になってくれれば、その姿を見て私自身も元気をもらったり、もっと頑張ろうという気持ちになれるんです。

ファンの方にとって私が大事であるとともに私自身もファンの方ってすごく大事な存在なんです。いくらでもサインもしますし、写真撮影も快く受けています。その際は、いつもやっている「ハートポーズ」を練習してきてくださいね! 意外と難しいですが(笑)。問題は試合日と違ってファンのいない練習日はモチベーションが上がらないということ……。まぁ要するに、めちゃめちゃ目立ちたがり屋なんですよ私(笑)。

証言者1●ファン
「常に笑顔でファンサービスもすごいんです」
証言者2●同伴競技者
「ミスをしても怒りではなく悲しいという感情に見える」
証言者3●カメラマン
「ついついシャッターを押してしまう存在」

周辺取材で皆が口をそろえて言うのが、ついつい目が菅沼のほうに行ってしまうということ。特にジュニア時代から追い続けているファンは「どんなときでもやさしく、笑顔が絶えない。一瞬でファンになっちゃいました」と言う


――ファンとの“見えないタッグ”が彼女の勇気あるショットを後押ししているのかもしれない。実際、ピンを鋭く狙ってくる……が、話はそっちに転ばなかった。

アイドルってやっぱり身だしなみから“可愛い”じゃないですか! だからファンに見られている私だって可愛くしなきゃと思ったんです。もともと前髪にこだわりは強かったんですが、より強くなった感じです。分け方は、右8、左2! これは譲れません! そうじゃないと気になってティーショットどころじゃなくなっちゃうんですよね(笑)。特にフォローの風が強いと前髪が浮いてしまうので、そういうときは、糊を使ってガッチガチに固めちゃうんです。風が強くないときはスプレーだけでも事足りるんですけどね(笑)。女子ツアーのなかで、こんなに前髪にこだわる人いないと思うんです。むしろ、みんな前髪を帽子から出すことさえしないですもんね。そんな前髪ばかり気にしないでプレーを大事にしたほうが……。なんて言わないでくださいね(笑)。これがプレーに集中するための儀式みたいな感じでもあるので。

こんな“アイドル”みたいなことを言っていますが、ステージのような場所で大好きなゴルフをできていること自体、すごく恵まれていると思いますし、感謝もしているんです。なので、まずは初優勝をしていろんな人に感謝を形で表したいなと思っています。

(左)「前髪は常に8対2。これは譲れません」/(右)「前髪は全力で走っても崩れないんです」


技術面も教えて!

Q. 超個性的なハイトップですよね?
A.「プレーンに下ろしやすいんです」

ジュニア時代からずっとこのトップですね。バランスが悪そうに見えますが、私にとってはすごく振りやすいです。バックスウィングをタテに上げて、切り返しで左手首を掌屈させることで、クラブをプレーンに乗せます。そこから体の回転でボールをつかまえていくんです。そうすると持ち球のフェードが上手く打てますが、トップが低くなってしまうと、逆球が出やすくなってしまうんです。そこは課題のひとつですね

「ポイントはフェースを開かないこと」

バックスウィングでフェースを開きながら上げると、切り返しから手を返して閉じる動きが必要になる。それが嫌なので、フェースを開かずに上げることを意識しています

Q. 左ひじの抜け方が独特ですよね?
A. 「最後のひと押しができるんです」

アッパー軌道で振ろうとすると、左わきが空いてフォローが大きくなるんです。パットで重要なのは、転がりのよさで、そのためにはきれいな順回転をかけることが大事。このストロークだと、最後のひと押しができていい転がりになるんです

毎日10分の練習を10年間続けてきた

10メートルでも入れる自信があります。それはパットの練習を毎日コツコツとやり続けているから。どのクラブよりも練習しているから信頼と自信があるんです


私、ネジが1本抜けてるかもです

――笑顔だけが注目されがちだが、決してそうではない。菅沼の頭の中は“一流”だった。

フワフワしているっていうのは誤解を生むかもしれないのですが、多分、私ネジが1本抜けていて、ミスをしても「まあいいや精神」がすごく強いんです。そのなかでも大事にしているのがその日の感覚。もともとフェードが持ち球ですが、絶対にフェードじゃないとダメってことでもなく、その日の練習の感覚とイメージでフェードのイメージが出なかったら「まあいいや」と思って違う球筋で攻めるようにしているんです。なので“王道”の攻め方というものがなくて、ホールごとに考えているということです。

でもひとつだけ決まりごとがあります。それはマネジメントを考えるときはカップから“逆算”するということ。逆算すると外しちゃいけない場所が明確になるので、攻めと守りの見極めが簡単になるんです。イメージがはまったときにとことん攻めたショットを打ち、少しでも不安があればとにかくグリーン真ん中、あとは得意のパットでねじ込むという感じです。

――試合中は、道具に話しかけておまじないをかけることも多々あるという。不思議ちゃんらしい話ができた。

これを言うと頭がおかしいと思われるかもしれないのですが、私は道具には魂があると思っています。だからミスしても絶対に道具に当たらない。むしろボールに「真っすぐ行ってね、お願い♡」とか話しかけちゃうんです。そうやって道具に話しかけると自分も落ち着くし、優勝が懸かった大事な場面で、絶対に道具も気持ちに応えて力を貸してくれるはずなんです。

「ボールやクラブに話しかけることもあります(笑)」

――最後にもうひとつ質問です。今後の目標や課題はありますか?

将来的には、賞金女王になりたいかな。でもいま考えているのは、1つの試合に強い選手ではなく、常にトップ10に入り続けられるような選手になること。だからですかね、優勝争いよりもトップ10ギリギリの争いのほうが、プレッシャーに感じることが多いんですよね。課題はFWバンカーとパーオン率の精度。グリーン周りは本当に自信があるので、この2つを改善できれば自ずと初優勝へも近づけると思っています。

編集後記
「ファンになる瞬間の気持ちってこれだったのか」

試合中の笑顔で菅沼ワールドに引きこまれたと思ったら、ショット前にはキリッとした表情に様変わりするギャップには驚く。取材中も嫌な顔は一切せず、帰り際は見えなくなるまで助手席から手を振り続けてくれました。もう菅沼ファンの一員になっちゃいますね

月刊ゴルフダイジェスト2022年12月号より