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【わかったなんて言えません】Vol.97 清水大成 #3「調子が悪いとき、帰るべき場所」

「ゲンちゃん」こと時松隆光がプロを招いてトークをする連載「わかった! なんて言えません」。今回のゲストは、前回に続き若手のホープ、清水大成プロ。話は先輩、後輩との付き合い方や、技術の教わり方に及んでいった。

TEXT/Masaaki Furuya PHOTO/Hiroaki Arihara

ホスト/時松隆光

1993年生まれ、福岡県出身。ツアー通算3勝。プロ10年目。テンフィンガーグリップで戦う。愛称は“ゲンちゃん”

ご指名/清水大成

1999年生まれ、福岡県出身。日大卒業後、20年プロ入り。ルーキーにして賞金シード獲得。1勝目が待たれる。飛距離や爽やかさも魅力

前回のお話はこちら

時松 3月に福岡から千葉に引っ越したんだって?

清水 はい。移動が楽かなと思って。試合も茨城とか北関東が多いというのもありますし。

時松 自炊とかするの。

清水 試合がないときはちょこちょこ生姜焼きなんか作ります。

時松 試合中は?

清水 昨年から尚さん(片岡尚之)と練ランを一緒にさせてもらうことが多いので、時間が合えば晩御飯も一緒に行きます。でも本戦中はスタート時間が朝と昼と真逆の組み合わせになることもあるので、そういうときは一人でファミレスなんかに行っちゃいますね。

時松 仲がいい選手のチームはないの。

清水 自分のキャディさんやトレーナーさんなどで作るチームだったらいいと思うんですけど、選手同士のチームだと、トレーニングしたりケアしたりする時間が作れない気がして。源蔵さんは(池田)勇太さんと練ランされることが多いですけれど、どうなんですか。


時松 僕と塚田(陽亮)さんは、勇太さんとも近づきすぎず離れすぎずという感じだからね。ホテルがたまたま一緒だったときにはご飯も一緒に行かせてもらうけど、そういうのはシーズンを通してもセガサミーくらい。

清水 僕も尚さんには、都合が合わなければ「ちょっと行けないです」って言えます。気が合うというかノリが合うというか、一個上の先輩なんですけれど。

時松 日大のゴルフ部時代は、チームのなかでのつき合いとかはどうだったの。

清水 大学時代、僕が1年生のときのキャプテンが勝俣陵さんで、次が今野大喜さん、その次が岩﨑亜久竜さん。みなさん何でも話せる感じでした。調子が悪いときに相談すると、みんな優しく教えてくれました。僕は先輩といるほうが気が楽というか、後輩には変に気を使っちゃうんです。自分がキャプテンだったので気が張っていたのかもしれないですけど。もちろん同級生が一番楽です。

時松 先輩からは、どんなこと教わった?

清水 僕はゴルフの理論的なことは全然知らなくて。それで大喜さんからはフェードとかドローの基本から教えてもらいました。それすらほんとに知らなかった。

時松 そうなんだ(笑)。でも打ててはいたわけでしょう。

清水 もちろん感覚的にはできていたんです。たとえば、持ち球はドローなので、何となくイメージをしたら勝手にドローが出るとか。フックを打つときは、もっとフェースを返すイメージで打つとか。フェードの場合は、若干フェースをいつもより開いて構えて、テークバックを少し外に上げて、ハンドファーストをキープしながら当てるとか。本当にそのくらいしかやっていなかった。それを大喜さんから、ドローとフェードの理論的なことを教わりました。クラブの使い方がフェードとドローとは違う。ドローってダウンスウィングでタメてきて、それを球にぶつけていくときに解放するんですが、フェードはその解放のタイミングが少し早くなる。そういう、言葉で説明できなかったことを教えてくれましたね。

時松 そういう理論的なことを知れて、何が変わった?

清水 たとえば、ドローがかかりすぎたときの原因とか、逆球が出たときの原因が、感覚だけではわからないことってありますよね。

時松 うん。

清水 そういったことが理論的に説明がつくと違いますよ。

時松 確かに、大成もイメージだけでドローも打てていたわけだから理論的なことって普通に打てていれば必要ないけれど、いざ調子が悪くなったときには役に立つかもしれないね。

清水 今まさに、その調子が悪い状態なんですよね。

時松 今もお父さんに見てもらうことはある?

清水 親父ですか。

時松 うん。僕は試合の合間なんかに、ゴルフに一緒に行くんだけど、そしたら「おまえこうなってるぞ」と言われる。そのときは、「あ、そう?」って気のない返事をしておいて、後でこっそり言われたことをやってみる。そこはこっちも変なプライドがあるじゃない。

清水 わかります。言われたときは聞こえないふりをするけど、次の球を打つときには内心「あ、なるほどね」って。ヒントもらって打ってみるとスウィングがよくなることってありますよね。

時松 結局、僕らのスウィングをずっと見てくれているのは親父だから。悪くなったと思ったときは理論よりも親父、ということもあるかもしれないね。

週刊ゴルフダイジェスト2022年9月27日号より