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【名手の名言】ダグ・サンダース「ゴルフに急上達はないが、いつ始めても遅すぎることはない」

レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回は「フェアウェイの孔雀」の異名で人気を博したダグ・サンダースの言葉をご紹介!

派手なファッションで人気を博したダグ・サンダース


ゴルフに急上達はないが
いつ始めても遅すぎることはない

ダグ・サンダース


いまやプロを目指すようなプレーヤーは、3歳からゴルフを始めたという人も珍しくない。ゴルフに限らず、スポーツの低年齢化が進み、熾烈な競争を勝ち抜いてトップで活躍するためには、少しでも早くからその競技に打ち込む必要がある。

しかし一方で、比較的遅くゴルフを始めたにもかかわらず、トッププレーヤーに上り詰めてしまうような選手もいる。2016年に17歳で日本女子オープンを制し、現在世界ランクトップ10を堅持する畑岡奈紗がゴルフを始めたのは11歳のときだし、男女のレジェンド、岡本綾子とジャンボ尾崎がプロゴルファーを志したのは20歳を過ぎてからだった。

一般ゴルファーも、社会人になってからゴルフを始めた人が大半だろうし、50歳を過ぎてからゴルフを始め、シングルの腕前になってしまったという強者も決して少なくない。

まったくの未経験から50歳、60歳を過ぎても始めることができ、若者とスコアで張り合えるようなスポーツはなかなかない。「いつ始めても遅すぎることはない」まさにダグ・サンダースの言葉通りである。

ダグ・サンダースは1957年からツアーに参戦し、通算20勝を挙げた名手。

ジョージア州の片田舎で5人兄妹の貧しい家庭で育ち、少年時代から綿摘みをして家計を助けていたという。10歳の頃に近所にあった9ホールのゴルフ場でキャディを始めたことからゴルフと出合い、クラブプロから目をかけられ、奨学金を得てフロリダの大学に通うまでに。卒業後は保険員として働きながら、1956年に出場したカナディアンオープンでアマチュアとして優勝。翌年プロ転向を果たす。

そんな苦労人だが、ツアーではプレー以外の面で異彩を放つ存在だった。シューズから全身紫で統一するなど、ド派手なファッションでついたあだ名は「フェアウェイの孔雀」。

当時のギャラリーの合言葉は、「パーマーはどこにいるんだい? そしてサンダースは何を着ているんだい?」だった。

当代のヒーロー、アーノルド・パーマーに匹敵するほどの存在感を放っていたサンダースだが、格好だけでなくスウィングも特徴的。ドライバーショットでも、スリークォーターほどの非常にコンパクトなトップで「テレホンボックス・スウィング」といわれた。

2020年に86歳でこの世を去ったが、生涯にわたりゴルフの楽しさを自ら体現し、伝え続けてきたサンダースの言葉は、これからゴルフを始めようとしている者に勇気を与えてくれるだろう。

■ ダグ・サンダース(1933年~2020年)

アメリカジョージア州生まれ。経済的に恵まれない少年時代を送ったが、全国ジュニアを制し、フロリダ大学への奨学金を得る。57年ツアー参戦。20勝を挙げている。しかし、メジャーには一歩届かず、全米プロ、全米オープンで1回づつ、全英オープンでは2回、2位に甘んじている。派手なファッションで『フェアウェイのピーコック』、小さなスウィングで『テレホンボックス・スウィング』と称され、記録より記憶に残る人気者であった。