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【イザワの法則】Vol.23「朝の練習は何をどれだけやるのが正解なのか?」

世界も認めた美スウィンガー・伊澤利光が、ゴルフで大切にしていることを語る連載「イザワの法則」第23回。スタート前の過ごし方は人それぞれだが、ドライビングレンジでボールを打たないプロはひとりもいない。朝の練習は何を意識して打てばいいのか。また、球数はどれくらい打つのがベストなのだろうか

TEXT/Daisei Sugawara PHOTO/Hiroaki Arihara ILLUST/Kenji Kitamura THANKS/福岡レイクサイドCC(PGM)

前回のお話はこちら

フェードを選んだ理由は
圧倒的にケガが少ないから

アマチュアだと、スタート時間の20分くらい前にゴルフ場に着いて、ロッカールームから1番ティーに直行、なんていう人は結構います。もちろん、ほとんどのアマチュアの方にとってゴルフは「遊び」ですから、スタート前の過ごし方も自分流でいいと思いますが、少しでも「スコアをよくしたい」とか、「アマチュア競技に出たい」と思っている人であれば、スタート前の準備はもう少していねいにしたほうがいいでしょう。

ゴルフ場に着いたところで考えるべきことは、スタートホールのティーショットを「いい状態」で迎えられるようにすることです。「いい状態」というのは、適度に体がほぐれていて、無理なくフルショットできる状態。それに、頭がちゃんと覚醒していて、ショットの判断が的確にできる状態のことです。

誰だって、朝起きてすぐにドライバーでフルショットするのは無理ですが、そこからどうなったらポンとドライバーを渡されても大丈夫になるか。10代、20代の若い人なら、ほんの少し準備運動すればすぐにそういう状態になるかもしれませんが、30代から40代、さらに50代以上になると、もっと時間がかかるでしょう。


だからまずは、自分の体と相談して、準備運動にどれくらい時間が必要か考えて、コースに着く時間を設定する必要があるということです。この部分を端折ってしまうと、スコアがどうとかいう前に、ケガのリスクが高くなってしまうので、年齢が上の人ほど、十分に時間をかけてストレッチなどを行うことをおすすめします。

曲げる動きをしてどのぐらい曲がるのか
練習場で見極めよう

体がある程度温まったら、そこでドライビングレンジやパッティンググリーンに向かうわけですが、ここでの「理想の球数」はいくつなのか。私自身の感覚で言うと、大体「50球」くらいがベストじゃないかと思っています。シニアの試合だと、球数が「20球」に制限されている場合がありますが、それだとちょっと足りないと感じますし、50球以上打つと、何となく「練習のための練習」みたいな感じになってきて、多いと感じます。

試合の日の朝の、私のルーティンは、まずパッティンググリーンに行って、5分くらいボールを転がしてからドライビングレンジへ。最初にサンドウェッジ(58度)で何球か打って、そこから日によって偶数番手か奇数番手を何球かずつ、下から順番に打っていきます。たとえば、初日が奇数番手だったら、2日目は偶数番手といった感じです。

バッグにはハイブリッドが入っていますが、これはまず打ちません。理由は「自信があるから」(笑)。というか、ハイブリッドやフェアウェイウッドは、「大体あの辺」に飛べばいいクラブなので、スタート前に球筋を確認しなくてもいいと思うからです。ただし、ティーショットでレイアップするケースが多いコースの場合は、3番ウッドだけ少し打ったりもします。

ドライバーは大体いつも、7球くらい。調子が悪いときでも12~13球くらいです。そのうちの2球くらいは、長めのパー4を想定して「しっかり」打ちます。私はフェード打ちなので、ドライバーでは曲がり幅を確認して、「今日は浅めに打っていこう」というふうに、その日の方針を決めます。いずれにしても、朝の練習の目的は、あくまで体の準備と調子の確認だということを忘れないでください。

「大事なのはスタートホールでポンとドライバーを手渡されて、
無理なくフルショットできる体の状態かどうか」

ドライバーは2球だけ「しっかり」

伊澤プロが朝の練習で打つドライバーの球数は「7球」。そのうち、長いパー4のティーショットを想定して、2球だけ「しっかり」打つ。「しっかり」というのは、バランスの崩れない範囲で、ある程度飛距離を出せる速さのこと。決して「マン振り」ではない

伊澤利光

1968年生まれ。神奈川県出身。学生時代から頭角を現し、プロ入りしてからは、プロも憧れる美しいスウィングの持ち主として活躍。2001年、2003年と2度の賞金王に輝く。また、2001年、マスターズで日本人最高位の4位入賞(当時)。現在はシニアツアーを中心に活躍中

月刊ゴルフダイジェスト2022年10月号より