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【イザワの法則】Vol.22「苦手なタイプと回るとき影響されない方法は?」

世界も認めた美スウィンガー・伊澤利光が、ゴルフで大切にしていることを語る連載「イザワの法則」第22回。慣れない相手や苦手なタイプの同伴競技者と回るとき、プレーのリズムを崩さないためには、どうすればいいのだろうか

TEXT/Daisei Sugawara PHOTO/Takanori Miki ILLUST/Kenji Kitamura THANKS/福岡レイクサイドCC(PGM)

前回のお話はこちら

スロープレーは準備不足か
決断力不足の2パターンしかない

同伴競技者との「相性」が、プレーやスコアに影響してしまうというのも、ゴルフの難しさのひとつです。レジャーのゴルフであれば、相性が悪い人とは「一緒にプレーしない」というのが、いちばんの解決策ですが、競技となるとそうもいきません。

私自身は、あまり同伴競技者のせいでプレーのリズムが乱されるということはないのですが、度を越したスロープレーはやはり困ります。前の組がとっくにいなくなっても気にしないで、のんびりやられると、ちょっとだけイライラしてしまうので、できるだけその人のプレーは見ないようにしています。

スロープレーというのは、大体、準備不足か決断力がないかの2種類です。たとえば、ティーショットの打順が2番目だとして、1番目の人が打ったのを見届けてから、おもむろに手袋を着けだすとか。「前もって手袋しとけよ」と言いたくなるのが準備不足のタイプです。決断力がない人は、アドレスに入りそうになったところで、もう一度ヤーデージブックを見直すとか、クラブを2本持ったままずっと考えているようなタイプです。


プロの場合だと、急に風向きが変わったりして、少し慎重になる場面というのはあります。そういうときは、多少時間がかかったとしても、こちらも気持ちがわかるのでまったくイライラすることはありません。ただときどき、残りが150ヤード以内で、しかも無風というときにあれこれやられると、「そこは早くしようよ」とは思いますね(笑)。

リズムが合わない人には
「近づかない」のがいちばんの解決策

同じ組にプレーが遅い人がいるときに、周りが気を使って急いであげることがあると思いますが、実はそれだと問題は解決しません。周りが作ってあげた時間も、結局その人がひとりで使ってしまうからです。仲間内であれば、そこはきちんと指摘してあげて、その人自身がスピードアップできるようにサポートするのがベストです。競技の場合は、自分のペースを守ることに集中して、あとは競技委員にまかせるのがいいと思います。

ラウンド中の会話は、ゴルフに必要なコミュニケーションですが、中には、うるさいくらい話しかけてくる人もいます。そういう人の場合、ある程度は付き合ってもいいですが、プレーの前後は少し距離をとって、自分の時間を作るようにするほうがいいでしょう。私の場合は、最初からそういう人のそばには近づかないようにしますが(笑)。

それと、感情を爆発させるタイプというのも、一緒に回るとなかなか苦労することがあるかもしれません。プロがときどき、ミスした直後にクラブを放り投げたり、大声を出してキレたりする場面がありますが、あれはそのとき1回のミスが原因というわけではなくて、その試合中、少しずつ溜まったフラストレーションがそこでついに限界に達して、ああなってしまう。気持ちはわかりますし、プロならある程度は仕方ないと思います。本人が落ち着くまで、そっとしておくしか解決策はありません。ところで、タイガー・ウッズは絶対にパターをドンッと地面に叩きつけたりしません。あれは、ライ角とかロフト角が変わるのがイヤだからなんだそうです。やっぱり、一味違いますね、タイガーは。

「どんなときも自分のプレーに集中することが
最善の方法なのは変わらない」

ルーティンで集中力を切り替える

同伴競技者のプレーがどうあれ、自分のプレーに集中することが、リズムを乱さない唯一の方法だ。簡単なものでいいので、ショットに入る際のルーティンを決めておき、それを毎ショット行うと、集中力のスイッチのオン、オフができるようになってくる

伊澤利光

1968年生まれ。神奈川県出身。学生時代から頭角を現し、プロ入りしてからは、プロも憧れる美しいスウィングの持ち主として活躍。2001年、2003年と2度の賞金王に輝く。また、2001年、マスターズで日本人最高位の4位入賞(当時)。現在はシニアツアーを中心に活躍中

月刊ゴルフダイジェスト2022年9月号より