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【世界基準を追いかけろ!】Vol.101 畑岡奈紗が黒宮をコーチに選んだ背景とは?

目澤秀憲と黒宮幹仁。新進気鋭の2人のコーチが、ゴルフの最先端を語る当連載。今回は、この度正式に畑岡奈紗のコーチに就任した黒宮が、その経緯を明かしてくれた。

TEXT/Masaaki Furuya ILLUST/Koji Watanabe

前回のお話はこちら

GD 黒宮さんが畑岡奈紗のコーチに就任したということで、まず今に至る経緯を教えてください。

黒宮 今年の1月中旬ごろですかね、僕のところに畑岡プロサイドから話があって。どんなことに悩んでいるのか、どんなふうにしたいのかなどをお話しして、2月ごろから徐々に見始めた感じですかね。畑岡プロは基本的にアメリカにいますから、すべてリモートでやっていました。

GD その時点で、レッスンのやり取りをしていたわけですね。


黒宮 スウィング動画を撮って送ってもらったり、GCクワッドとトラックマンのデータを送ってもらったりしました。それを基にスウィングやギアに関する提案を僕のほうからするという形でした。ただ、その時は彼女もまだお試し期間で、話半分だったと思います。その後、4月のハワイのロッテ選手権(※1)の時にスウィングがどうにもならなくなって……。それで、じゃあ一回、自分の言うことを丸々聞いてみようとなって、そうしたら翌週のインプラントLAオープン(※2)で優勝という結果になりました。

GD 優勝のコメントで、リモートでコーチのレッスンを受けて、よくなったというような話をしていましたね。謎のコーチとしてちょっと話題になっていましたよ。

黒宮 どうなんですかね(笑)。でもすぐに結果を出すのはさすがですよね。

GD その後のやり取りは?

黒宮 リモートでのレッスンは続いていたんですが、一度会って話をしたいということになり、日本に帰ってきた時に、直接レッスンをさせてもらいました。その後、2度目に帰国して会った時に、全英女子での帯同の話が出て、それが形になった感じですね。

GD 全英女子オープンの現地からの映像では、黒宮さんが練習グリーン周りで映っているケースをよく見ました。

黒宮 全英の10日間の帯同を通じて、僕のコーチとしての仕事の割合はショットが2割、パッティングが8割くらいでしたね。試合会場は10~15mくらいの風が吹いていましたから、風の影響を受けるパッティングストロークの形成は事前に室内でやってからコースに行ったんですよ。一方で傾斜に対するエイム(狙い取り)とボールを出すスピード作りは会場でやるというように分けて考えました。

GD 天候の変化や日々のグリーンの状況によって、それだけパットの成否が変わってくるということなんですね。

黒宮 そうです。日々そういう感じなので、パッティングコーチはずっと試合に帯同しないとダメだと思いましたね。そのことは、多分、目澤君も分かっていると思います。

目澤 デビッド・オー(パッティングコーチ)が今年、ジャスティン・ローズに帯同するようになって、「すごく疲れる」というメッセージを送ってきたのを思い出しました。幹人が言うように、僕も帯同コーチの役割の比重の7〜8割は、パッティングではないかと思っています。

(※1)ハワイのホアカレイCCで開催されたロッテ選手権、畑岡奈紗は「75」、「77」の2日間トータル8オーバー114位タイで予選落ち。渋野日向子が単独2位に入った。(※2)DIOインプラントLAオープン。畑岡は「67」、「68」、「67」、「67」の4日間トータル15アンダーで、2位のハナ・グリーンに5打差をつけて圧勝した

目澤秀憲

めざわひでのり。1991年2月17日生まれ。13歳からゴルフを始め、日大ゴルフ部を経てプロコーチに。TPIレベル3を取得。2021年1月より松山英樹のコーチに就任

黒宮幹仁

くろみやみきひと。1991年4月25日生まれ。10歳からゴルフを始める。12年関東学生優勝。日大ゴルフ部出身。淺井咲希、宮田成華、岩崎亜久竜らを指導

週刊ゴルフダイジェスト2022年9月6日号より