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【PGAツアーHOTLINE】Vol.31 ジョーダン・スピースに学ぶバンカー「2対1の法則」

PGAツアーアジア担当ディレクターのコーリー・ヨシムラさんが米ツアーのホットな情報をお届けする隔週連載「PGAツアーHOTLINE」。第31回のテーマはジョーダン・スピースに学ぶバンカーショットのポイントについて。

ARRANGE/Mika Kawano PHOTO/Tadashi Anezaki

30ヤードの距離なら60ヤードのスピード感

バンカーの名手ジョーダン・スピースから学ぶべきことを有名コーチ、トッド・アンダーソン氏はこう解説します。

「バンカーのミスの一番の原因はダウンスウィングでクラブが減速することです。本来ならスピースのように加速しながら打つべきですが、自信がないのでためらいながら打つから減速してしまう。そんなアマチュアが恐れず思い切りよく打つための鍵は、2対1の法則です」

2対1の法則とは、たとえば30ヤードのバンカーショットの場合、普段60ヤードを打つスウィングで打つというもの。バンカーの距離の2倍のスウィングスピードで打てば思い切りよくクラブを加速させながら打てるというわけ。

アンダーソン氏いわく「60ヤード打つつもりでクラブをボールの手前の砂に落とせば『砂のブランケット』が自動的にボールをバンカーの外に運んでくれます」


砂が軟らかい場合は比率を3対1(30ヤードのバンカーを90ヤードのイメージで)に調整します。そしてこの『砂のブランケット』こそアマチュアが覚えておくべき重要ポイント。

「ボール自体ではなく手前の砂をヒットするのがバンカーから脱出するための最大のコツ。まずはボールを使わず砂を打つ練習から。楕円形のスウィングアークの中心にボールがあるところを頭の中でイメージしてください。そしてイメージ上のボールの手前およそ5センチの地点にヘッドを加速しながら入れる。すると『砂のブランケット』が空想上のボールを空中に押し出してくれます」

魔法の絨毯ともいうべき『砂のブランケット』が勢いよくバンカーの外に飛び出せばボールも外へ、つまり脱出成功です。もし砂がスプラッシュしなければ脱出は失敗。

もう1つの注目すべきポイントがスピースのフェースの使い方。彼はスウィングを通してフェースが開いた状態を保っています。クローズにしてしまうとヘッドが砂に刺さり、ボールの下に届かないので脱出できません。

「下半身をどっしり安定させ距離の2倍のスウィングスピードでボールの5センチ手前を打つ。そうすれば『砂のブランケット』が球を押し上げ打球はカップに向かって転がってくれますよ」

難度の高いバンカーがひしめく全英オープンでも、スピースのテクニックを目に焼き付けよう

コーリー・ヨシムラ

PGAツアーのアジア全体のマーケティング&コミュニケーションディレクター。米ユタ州ソルトレーク出身でゴルフはHC6の腕前

週刊ゴルフダイジェスト2022年7月19日号より