「いつどの試合に出るかは自分で決められるはず」ミケルソンは処分に不服。“LIVゴルフ”問題をおさらい
全米オープン開催中も人々の関心を集めた「LIVゴルフ招待シリーズ」の話題。PGAツアーとライバルリーグの間に存在する問題と現状をおさらいしよう。
開幕戦が行われた週に開催されたPGAツアーの「カナディアンオープン」最終日にテレビ出演したジェイ・モナハンコミッショナーは、LIVゴルフに参戦した選手に出場停止処分を下したことについて、「私は一貫して処分について説明してきました。選手はどちらか一方のツアーは選択できるが、両方を選択することはできない」と語った。
P・ミケルソン、D・ジョンソン(DJ)含め、17名が出場停止となったが、うち10名は初戦が始まる前にメンバー資格を辞退。しかしミケルソンは「自分は永久シードを持っている。これまで30年間、ツアーとゴルフ界の発展に貢献してきた。いつどの試合に出るかは自分が決められるはず」と処分を不服とし、メンバー資格を維持する意向を示している。今後さらに厳しい処分(永久追放など)があるかについて、モナハン氏は言及していない。
したがって自主返上した選手たちは、すでにフェデックスランクから除外されており、HPのプレーヤーリストからも削除されているが、返上していない選手たちはランクからもリストからも削除されていない。
「不幸な決断をしたプレーヤーは、我々が再三訴えてきたルールを強行突破しました。彼らは一連の“エキシビションマッチ”を行うのをよしとして、複数年の(財政的に)有利な契約に署名したのです」(モナハン氏)
一方、これまでに類を見ない高額大会を主催するLIVサイドは「我々がゴルファーたちにプレーする機会を作ることに専念している一方で、それを阻止しようとする勢力がある。フリーエージェントの時代は今に始まったことではない」と反発している。
なお、PGAツアーは4大メジャーを主催しておらず、全米オープンはUSGAの管轄。こちらは除外も検討したが、事前に決まっている今年の出場資格を後になって変更するのはフェアではないと判断した結果、受け入れたのでは。結果、LIVゴルフ組を受け入れている(来年以降は未定)。全英オープンを主催するR&Aから最終的な発表はないが、USGA同様の方針をとると見られている。また、マスターズは招待試合なので、委員会の決断に委ねられる。全米プロ主催のPGAオブアメリカも現時点での発表はなし。
では他ツアーの対応はどうか? 現時点でDPワールドツアーは出場停止処分を発動しておらず、LIVゴルフ組のS・ガルシアやG・マクダウェルらは「ヨーロッパで継続的にプレーしたい」意向を示している。JGTOは現時点で出場を認めている。
制裁なし、高額賞金と日本人選手にとっては良いことづくめかと思いきや、実際ロンドンでの第一戦に出場した香妻陣一朗の感想は、「思ったよりギャラリーが少なく、盛り上がりは微妙。観客数は日本ツアーの最終日くらいの感じでした」と捗々(はかばか)しくない。
サウジアラビアの“スポーツウォッシング”(スポーツで自国の人権問題をカモフラージュする方策)だけでなく、今後アメリカで開催する大会が、各団体がドナルド・トランプ前大統領の差別的発言を受け、使用を避けている同氏所有のコースで行われることにも批判が集まっている。
ただ、こんな状況にもかかわらず、モナハン氏の言葉を借りれば「財政的に有利な決断」を下す選手は出てきている。B・デシャンボーは7月に行われる2戦目に出場を表明。マスターズチャンピオンのP・リードやベテランのP・ペレスも移籍を決めており、R・ファウラーも移籍が噂されるプレーヤーのひとり。
その一方でPGAツアーに忠誠を誓う選手も多い。まだまだこの話題は続きそうだ。
週刊ゴルフダイジェスト2022年7月5日号より
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