Myゴルフダイジェスト

【さとうの目】Vol.251 桂川有人「驚異のパーオン率とバランス感覚」

鋭い視点とマニアックな解説でお馴染みの目利きプロ・佐藤信人が、いま注目しているプレーヤーについて熱く語る連載「うの目、たかの目、さとうの目」。今週の注目選手は現在賞金ランキング1位の桂川有人。

PHOTO/Hiroyuki Okazawa

「ISPS HANDA欧州・日本、とりあえず今年は日本トーナメント!」で、レギュラーツアー初優勝した桂川有人選手。SMBCシンガポール、東建ホームメイトでともに2位。この連載でも「今シーズンの初優勝は間違いなし」と言いましたが、4試合目にして早々と実現してくれました。

その大会前インタビューで、前週24位タイだった関西オープンについて、「先週ショットが思うようにいかなくて……」と振り返っていました。でも、桂川くんの関西オープンの4日間トータルのパーオン率は全体の3位です。調子が悪いなりに24位に入るところや、ショットの調子に不満を持ちながらパーオン率でも3位に入るショット力に感心しました。

東建でのパーオン率は1位、優勝したISPSでは関西オープンから修正したのでしょう、また1位。特に最終日は100%でした。かつて海外からの招待選手がたくさん来る試合になると、海外勢がよくパーオン率上位を独占しました。僕が彼のゴルフを「外国人選手っぽい」と感じるところが、パーオン率の高さなんです。

ちなみにプロ転向後、出場した国内ツアー13試合ですべて予選通過しています。アマチュア時代の6試合を含めても、予選落ちは19年のダンロップ・スリクソン福島オープンの1試合のみです。

桂川くんの魅力はいろいろな意味でバランスがいいことにもあります。ショット力の高さはもちろん、やたらと攻めすぎないマネジメント力の高さも感じます。グリーンのショートサイドに外すボギーが少なく、グリーンを広く使ってゲームを組み立てていくタイプ。というと、慎重な守りのゴルフのように思うかもしれません。ところが桂川くんの場合、場面によっては攻撃的なゴルフができるのです。優勝した試合でも、最終日の16番で3パットのボギー、ここで星野陸也に並ばれました。しかし続く17番では、ピンだけを狙って1.5mに。それをねじ込んで、力で初優勝をもぎ取りました。

長所と短所は表裏一体です。ときに慎重さは勝機を逃すことに、攻撃性は大ケガにつながります。しかし桂川くんの場合、そのバランスが実にいいのです。

性格的にもホワ~ンとした表情の裏に秘められた闘志が隠されているようです。そうしたギャップもとても魅力的に映ります。彼のプロレス好きは周知の事実ですが、好きな理由は倒れても倒れても立ち向かっていく姿だとか。

とかくアスリートの世界では、変わり者でなければ強くなれない、一流になれないといった迷信のようなものがありました。しかし桂川くんの場合、取材対応も真面目な人柄のにじみ出るものです。しかし単に真面目というだけでなく、表彰式で見せたプロレスのガッツポーズのように、ファンサービスも怠りません。このバランス感覚こそ、新時代のスターの武器なのかもしれません。

「小柄ながら軸の太い“骨太イメージ”で、試合運びの上手さはベテラン顔負け。ISPSで4日間のパーオン率は、驚異の88.889%。シーズンを通しても79.5%で堂々の1位(5月9日現在)。翌週の中日クラウンズでも3日目まで優勝争いに。レベルの高さと成長スピードは想像以上です」

佐藤信人

さとう・のぶひと。1970年生まれ、千葉出身。ツアー9勝。海外経験も豊富。現在はテレビなどで解説者としても活躍中

週刊ゴルフダイジェスト2022年5月31日号より