Myゴルフダイジェスト

【私のマスターズ観戦記】#3「テレビより迫力と立体感がありました」

ゴルフの最高峰の試合「マスターズ」。この夢の試合を観戦するためにオーガスタを訪れた4人のゴルファーに、オーガスタでの出会い、気づき、旅の思い出を聞いた。第3弾は、2018年のマスターズを観戦した河原和弘さんの観戦記。

PHOTO/ご本人提供、Tadashi Anezaki

「テレビより迫力と立体感がありました」

河原和弘さん(52歳・HC10・ゴルフ歴40年)

子どもの頃からテレビで見ていて、雑誌などで観戦術を探りながらも「一生行けないかな」と思っていた時、練習日とパー3コンテストに行く機会をいただきました。

その日、開門と同時に入り、機関銃を持った警備の方を見ながら進んでいきました。実際コースに入るとテレビより迫力と立体感がある。すべての色が綺麗で。緑も美しく花も咲いていましたが、まず圧倒されるのが入場してすぐにドーンとある白いリーダーズボード。そこから歩いていくと左側のクラブハウスのほうに白と緑のパラソルがある。「サスペンデッドでよく選手が待機していたパラソルだ。あそこから先は別世界なんだろうな」と思いながら、まずは練習場に行きました。

すでに練習していた松山英樹プロは、宮里優作プロとそそくさと練習ラウンドへ。僕も追いかけました。途中、入れない場所もあるので、スタンドで見たり、また練習場に戻ったりしていました。確かに起伏が激しくて、とても疲れそうですが、僕はアドレナリンが出ていて気にならなかったんです。

一番すごいと思った選手はタイガー。復帰してすぐで下馬評は全然ダメでしたが、練習場で一番の球を打っていました。ロングアイアンでも横にスピンが入らず前にしかいかない。ホップもしないしポーンと上がってそのままストーンと。230ヤード先なのにほぼ同じ場所に落ちるんです。

出発前、経験者の方々にビニール袋は観戦に必須などと、いろいろな事前情報をいただいて。「飲み物のカップを持って帰るとお土産になる」と皆さんに言われ、6つくらい持ち帰りましたよ。パー3コンテストも見ました。基本的にミーハーなので、いろんな選手をウォッチ。トム・ワトソンはすごかった。このお爺ちゃんは、まったく衰えないのかって(笑)。

マスターズはやっぱり特別です。競技というより祭典という感じ。パトロンの方、ボランティアの方含め、すごく上手く運営していると感じました。コロナ禍となり不確実なことも多いですが、足腰がしっかりしている間にまた観戦に行きたいですね。 

レジェンドたちの競演

往年の名選手を見られるのもいいと河原さん。「観戦に使った椅子をお土産にできます。もちろんプレーもしてみたいコースです。夢ですね」

こちらもチェック!

  • ゴルフの最高峰の試合「マスターズ」。この夢の試合を観戦するためにオーガスタを訪れた4人のゴルファーに、オーガスタでの出会い、気づき、旅の思い出を聞いた。第4弾は、2002年のマスターズを観戦した中野龍之さんの観戦記。 PHOTO/ご本人提供、Kiyoshi Iwai 2002年のマスターズはタイガー・ウッズが史上3人目の連覇を達成した 機内での出会いが奇跡を生んだ 中野龍之さん(69歳・HC14・ゴルフ歴42年) マスターズ観戦は長年の夢でした。観戦が実現してみてあらためて思うのは、夢は心に思っているだけではなく、実際に行動に移すための第一歩を踏み出すことが大切だということです。2002年のマスターズ開催2週間前のことでした。私が経営する会社の社員から、「来週のマスターズ、社長は見に行かないんですか?」と軽く言われたのです。「チケットを取るのは極めて困難なのに、来週に行けるはずないだろう! 簡単に言うな」と。翌朝、本社のある福岡から東京へと出張している最中に、その社員から電話が。「3人キャンセル待ちの後に、申し込み枠がありますよ!」。その旅行代理店の住所を聞くと、まさに今、自分がいる日本橋の、行きつけのカフェの2階だったんです(笑)。旅行代理店へ行き、その場で交渉をしてチケットを譲っていただきました。アトランタ行きの飛行機では、日本人女性と隣席でした。どこへ行くのか聞かれ、心を弾ませている私は「マスターズトーナメントへ行くんですよ!」と意気揚々と答えました。そこからは、詰め込んだ豆知識やオーガスタの歴史などを得意げに話しました。会話が弾んで気づけば10時間ほども女性と話しっぱなしでした。するとアトランタへ降りたとき「実は私もオーガスタに少し関わっているの。何か困ったことがあったらお電話ください」と渡された名刺を見ると、『オーガスタインターナショナル日本代表』の肩書きが! まさに釈迦に説法でした(笑)。私はタイガー・ウッズさんの大ファンで、ぜひ現地ではロープぎりぎりのところで見たいと思っていました。でも実際には、大ギャラリーの中では前になどとても行けませんでした。しかも向こうの中学生ほどの背丈しかない私には選手がよく見えず、あきらめようとしていました。すると、観客のみなさんが察してくれて、みなさんで前へ前へと押し出してくれたのです。目の前には、ウッズさんが! これには感激しました。また、各ホールのスタンドは一度座ると、なかなか移動できません。私はのどが渇き、お腹もすいてきましたが我慢していました。すると横に座っていた家族が、ジュースとサンドイッチをどうぞと、笑顔で差し出してくれました。「パトロン」と呼ばれる観客たちの心の広さや思いやりに触れました。 タイガーのプレーぶりへの感想は「Next is best!」という中野さん。憧れの人がマスターズで優勝する姿を目の前で見られるとは、強運の持ち主だ! 撮影が許可されている練習日、美しいコースやそこでプレーするタイガーの写真を多く撮った。「パトロンの皆さんも本当に親切でした」 私には福岡から大切に持参してきた荷物がありました。それは、第14代柿右衛門の絵皿2枚です。ウッズさんが優勝するたびにお母さんとハグをしている場面を見て、母子家庭で育った私も母への愛情はとても深く、気持ちが伝わってきました。そこで、ウッズさんのお母さんへのお土産として、日本の伝統文化である絵皿に、英文・和文のメッセージを添えて持ってきたのです。しかし、前年の9・11の同時多発テロの影響で、手荷物制限が厳しく、絵皿はセキュリティに預けることに。これではお土産を手渡すことは難しい、そう思ったとき、あの機内で出会った女性を思い出したのです。電話をして事情を告げると、「ああ、機内で大事に持っていたのはそれだったんですね、わかりました。ゲートへお越しください」と。ガードマンと一緒に現れた女性に、「破損してはいけないので2枚お預けします」と言うと、「直接お渡しできないので、支配人に私がお渡しします。支配人から渡してもらい、そしてもう1枚を支配人にあげてもいいですか?」と。お願いしますと告げて、私はオーガスタに別れを告げて帰国しました。帰国後、私はマスターズでの思い出にふけりながら、日常を過ごしていました。あの女性からは、「支配人がウッズさんに渡せるかわからないですが、それでもいいですか?」とも聞かれていたので、絵皿のことは、渡っていればいいなというぐらいに思っていました。ところが、ニューヨークの支店のスタッフから、驚きの電話が飛び込んできました。「タイガー・ウッズという差出人から手紙が届いています!」と。スタッフに日本へ届けてもらって開封すると、それはウッズさんからの感謝のお手紙でした。あの絵皿が、ウッズさんのお母さんに、しっかりと手渡されていたのです。ウッズさんがご自宅からわざわざ送ってくださったお手紙には、ウッズさんのサインもしたためてありました。しかも、それだけではありません。オーガスタナショナルの支配人からも、お礼のお手紙と、そして、ウッズさんがマスターズで初優勝されたときにパーティで使用されたオーガスタの美しい絵皿を贈っていただきました。絵皿の返礼が絵皿だなんて、なんて粋なことをされるのかと感服しました。そのウッズさんのお手紙と、オーガスタの絵皿とを、私は額装して会社のラウンジの壁に今でも飾っています。それを目にするたびに、マスターズ観戦という夢の旅で出会った、素敵な人々のことを思い出します。 日頃から出会いを大事にするからこそ、新しい出会いをつかめるのだろう。「お手紙はもちろん、絵皿の返礼が絵皿だなんて。とても粋ですよね」会社のラウンジに飾っているタイガーからの絵皿と手紙。見るたび夢の旅を思い出す こちらもチェック! 週刊ゴルフダイジェスト2022年4月19日号より
  • ゴルフの最高峰の試合「マスターズ」。この夢の試合を観戦するためにオーガスタを訪れた4人のゴルファーに、オーガスタでの出会い、気づき、旅の思い出を聞いた。第2弾は、2013年のマスターズを観戦した芝鳥のぶあまさんの観戦記。 PHOTO/ご本人提供 「まるで別世界に入り込んだかのよう」 芝鳥のぶあまさん(50歳・平均スコア95・ゴルフ歴14年) 当時アメリカの世界トップ100コースを精力的にラウンドしていた時期で、オーガスタナショナルも1回は見ておきたいと。いずれ回れたらと思っているので地形も見ておこうかと(笑)。そしてチャンスは来ました。私はトーナメントを“テレビで見る派”なんです。生の緊張感・臨場感は素晴らしいですが、試合全体を楽しむのはテレビのほうがいいかと。ですから、練習日に行くことにしました。試合では禁止されているカメラの持ち込みが可能だったというのも大きい。世界中のコース写真を撮影するのも趣味なので、オーガスタナショナルを撮影しておきたいというのが一番の目的でした。通常は50枚くらいですが、高揚感もあり300枚くらい撮った記憶があります。さて、コース入場時は金属探知機のセキュリティチェックを通過します。他のツアーにはないもので、まず、これだけで別世界に入る気分になれます。 芝鳥さんの撮った写真は美しい。「アーメンコーナーの12番・パー3はテレビと同様、美しいと思いましたが、10番・パー4の高低差は、知識以上で驚きました」 会場に入って感じたことは、パトロン全員の静かなる高揚感。今週これから行われる戦いにワクワクしている感じが伝わってきます。次にコースの美しさ。この週のためにパーフェクトに整えられているコースは本当に素晴らしく特別感がすごい。花も完璧な状態ですが、とにかく本当に緑です。ある意味つくられたコースだと思いますが、アメリカっぽくていい。テレビで見る以上に起伏がある、という情報を聞いていても、実際のアップダウンのすごさに驚きます。そして、練習日ということもあり、選手たちも笑顔を見せながらラウンドしていて、見ている私も微笑んでしまうようなシーンの連続でした。また、クラブハウス前のテーブルでは、アーノルド・パーマーが談笑している。世界中のゴルファーの特別な週であることを実感できました。 P・ミケルソンとR・ファウラーが楽しそうに一緒に回っていたり、A・パーマーがテラス席で談笑していたり。「お祭り感がありました」 コースを後にし、ラウンドを楽しむ旅に。試合最終日は、ノースカロライナ州のパインハーストNo.2をラウンド後、コースのホテルロビーでワインを飲みながら誰にも邪魔されず一人大きなテレビで観戦できたのも思い出深いです。 ホスピタリティも楽しい パイやサンドイッチなどを食べることも可能。「オーガスタで飲むビールは最高。天気もよかったですし。お土産は大量に買って郵送しました」 週刊ゴルフダイジェスト2022年4月19日号より こちらもチェック!
  • ゴルフの最高峰の試合「マスターズ」。この夢の試合を観戦するためにオーガスタを訪れた4人のゴルファーに、オーガスタでの出会い、気づき、旅の思い出を聞いた。1人目は、2017年のマスターズを観戦した千葉祥子さんの観戦記。 PHOTO/ご本人提供、Tadashi Anezaki、Kiyoshi Iwai 「パトロンがファミリーのように温かかった」 千葉祥子さん(平均スコア88・ゴルフ歴20年) 2017年、S・ガルシアがメジャー初優勝を挙げたマスターズは、コースを彩る花もなく、大雨でパー3コンテストが史上初の中止となった異例の大会だった。マスターズは同じコース開催で、それを毎年テレビで見ているから馴染みがある試合。いつか行きたいと思ってはいましたが、この年、いざ行こう! と決めはしたものの、行くのが大変だと知らなくて。結局ツアーに入りました。開催まで1カ月もない時期です。コースに入った瞬間、涙が出るかと思いました。あの世界に足を踏み入れ、あの芝生の上に立っている自分というだけでもう、ハッピーで(笑)。神聖な場所に来た感じがしました。神社の鳥居をくぐると空気がガラッと変わりますよね、そういう感じです。私は水曜日と初日(木曜日)に行きましたが、練習日は大雨で3ホールしか見られなかった。でも、雨のおかげで、偶然行っていた小中高の同級生とご飯を食べる時間ができたのはよかった。ほかにラッキーもあって、初日、ゴルフジャーナリストの舩越園子さんの解説付きで松山英樹くんに付いてハーフを歩いた。ツアーで夕食をご一緒する予定が、変更になってしまい代案でやってくれたんです。ホールや選手の説明はもちろん、「あそこにいるのはリッキー・ファウラーのフィアンセとお爺ちゃん」なんて面白かったです。あの年の松山くんは調子が悪かった。グリーンをダイレクトオーバーしたり、今の松山くんならピンにビシビシくるのかなあと思います。コースは話には聞いていたけど、アップダウン、傾斜がきついので歩くのが結構大変で。でも、椅子を置いて自分の場所を確保できるシステムなんかすごいと思いました。そしてパトロンが“ファミリー”のようで。私は背が低いので、後ろのほうで見えないと思っていたら、「前に行け」とどんどん出してくれる。日本のツアー観戦ではありえないことがたくさんあって……すべてに愛を感じました。10番・パー4のティーイングエリアからの風景も好きですね。打ち下ろしで、なんだか雄大で。最終日は、帰国後にテレビ観戦。1人だけサインをもらったのがジャスティン・ローズで、そのキャップを握り締めながら見たんです。その後で18番グリーンの写真を見たら私の後ろにガルシアが! プレーオフした2人と偶然関わっていたのはすごいですよね(笑)。 ローズとのプレーオフを制し勝利したガルシア。「練習日、私の写真の背後に写っていたのがガルシアで、たった1人サインをもらえたのがローズだったんです」。キャップにローズのサインと、アーニーズ・アーミーの缶バッジ。この年にしか手に入らない思い出が形で残っている。「時間もなく1人にしかサインをもらえなくて。私って結局、運がいいんですよ」 印象深いのは初日のスタートホール。パーマーが亡くなったばかりで、J・ニクラスとG・プレーヤーがティーオフして……感動的でした。実は私の夢を書き綴るリストに、「次はマスターズの決勝に行き、松山くんが優勝するシーンを現地で見る」と書いていた。それが去年、衝撃的な優勝で。リアルではないけど、テレビで見たから、まあいいかなと今は思っています。 「アーニーへの想いに涙が出ました」ポール・シーハンとパーティに参加!(左)A・パーマーが亡くなった直後、感動的なオナラリースタート。椅子には故人のブレザーが。「空に向けて挨拶したニクラスのティーショットが印象的でした」/(右)「友人とポール・シーハンのパーティへ。仲良くなりました。これも雨のおかげです(笑)」 週刊ゴルフダイジェスト2022年4月19日号より

週刊ゴルフダイジェスト2022年4月19日号より