【ゴルフ初物語】Vol.82 男子ツアー国内開幕戦“東建”は1993年に鹿児島でスタートした
男子ツアーの国内開幕戦・東建ホームメイトカップが三重の東建多度CC・名古屋で開幕。今年で29回目を迎えたが、当初は鹿児島の祁答院(けどういん)GCで行われ、大会名も「東建コーポレーションカップ」だった。
PHOTO/Tadashi Anezaki
第1回大会を制したのは飯合
1974年に土地活用の専門会社として愛知県で創業した東建コーポレーション。89年に地元の中部圏以外で初となる事業拠点を札幌に開設。翌90年には首都圏で事業展開を開始するも、知名度の低さに苦戦。そんな折に舞い込んできたのが男子ツアー開幕戦のスポンサードの話。社名を全国にPRできるまたとないチャンスと考え、1993年3月、「第1回東建コーポレーションカップ」が、鹿児島県・祁答院ゴルフ倶楽部で開催された。
当時最年少シード選手だった宮瀬博文が大会2日目にコースレコードの「62」をマークして試合を引っ張るが、スコアを伸ばせず11位タイ。記念すべき第1回大会を制したのは飯合肇。持ち前のビッグドライブを封印し、ドライバーでのコントロールショットを多用したことが、最終日に吹き出した強風に対して功を奏し、逆転で89年のよみうりサッポロビール以来となる4年ぶり6勝目を飾った。
開幕戦で幸先よく勝利を手にした飯合は、「目標は年間3勝」とコメント。すると2戦目のインペリアル3位、3戦目の静岡オープンで2位と、3試合で早くも前年を上回る賞金を稼ぎ出す。そして4月のダンロップオープン、10月のラークカップと、有言実行の3勝を挙げ、師である尾崎将司を約400万円差で退け、初の賞金王を戴冠した。わずか2年前には、あわやシード落ちかという崖っぷちからの鮮やかな復活だった。98年にもこの大会で勝利し、コースとの相性のよさを見せつけた。
シニア入りした04〜06年までは米シニアツアーに参戦。日本のシニアツアーに本格参戦した08年にはいきなり賞金ランクトップとなり、史上初のレギュラーとシニアの両ツアーで賞金王に輝いている。
第1回~8回、10回の東建コーポレーションカップが行われた鹿児島・祁答院GC。飯合肇は98年の第6回大会でも優勝している
週刊ゴルフダイジェスト2022年4月12日号より
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