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【PGAツアーエキスプレス】Vol.9 チェ・キョンジュ「ヒデキが記録を超えることは驚くことではない」

ゴルフの最先端、PGAツアーの旬なネタをお届けする「PGAツアーエキスプレス」。第9回は、誇り高きアジアのスター、チェ・キョンジュを取り上げる。

取材/コーリー・ヨシムラ(PGAツアー アジア担当ディレクター)

チェ・キョンジュ
1970年生まれ韓国出身。1996年に韓国オープンで初優勝。1999年には日本ツアーで2勝を挙げ、翌年からPGAツアーに本格参戦を果たす

下の世代に大きな影響を与えてくれる

ソニーオープンで松山英樹がPGAツアー通算8勝目を挙げた。最終日のプレーはまさに勝者にふさわしい、堂々たるものだった。松山はこの勝利でチェ・キョンジュの持つアジア人最多勝利数に並んだ。しかし、この記録を更新するのは、そう遠くないだろう。

松山の勝利によってチェ・キョンジュが再びフィーチャーされている。そこで今回は、改めてチェ・キョンジュについて触れたいと思う。チェは1970年生まれの51歳。1994年にプロ転向し、かつては日本ツアーでもプレーしていた(日本ツアーで2勝を挙げている)。K・J・チョイの名で記憶している人も多いのではないだろうか。そして2000年、韓国人初のPGAツアープレーヤーとして本格参戦を始める。PGAツアーでの優勝は早く、2002年コンパッククラシックだった。その後も着実にキャリアを重ね2011年までに8勝を記録した、まさに韓国ゴルフ界の第一人者であり、スターだ。現在、多くの韓国若手プロがPGAツアーで戦っているが、チェの影響を受けている選手は少なくない。

そんな、韓国のレジェンドに並んだ松山だが、チェは、松山をどのように見たのだろうか?

「ヒデキと初めて会ったのは、彼が19歳か20歳くらいのときだったと思う。とても情熱に溢れた若者という印象だった。ヒデキは情熱だけではなく、その若さにして技術も持っていた。柔軟性もスピードも素晴らしく、これからもっともっと成長できると確信していたよ」

チェは2000年に本格参戦してからはや22年、年齢も51歳になった。今年はPGAツアーチャンピオンズ(シニアツアー)を主戦場にするが、時折PGAツアーにも出場予定だ。20年以上、世界のトップで戦い続ける秘訣は「技術や精神力ではない」と話す。

「重要なことはとにかくケガをしないこと。コンディションを維持できれば、ヒデキは間違いなくこれからも勝利を重ねることができる。だからこそ、ケガには細心の注意を払ってほしい」

長らくアジアのスターとして君臨していた男は、記録を抜かれることで訪れてしまう“世代交代”も気にする様子はない。

「ヒデキの記録は若い世代にいい影響を与え、他のアジア人選手も彼のようになりたいと思うだろう。ヒデキの活躍がこれからの若者のレベルも上げてくれる。本当に素晴らしいことだよ」

月刊ゴルフダイジェスト2022年4月号より

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